中性炎と還元炎の違い|焼成の基本と釉薬の色変化、窯の特徴を解説

陶芸の焼成における中性炎と還元炎の違いをご存じですか?炎の種類によって釉薬の発色や作品の仕上がりが大きく変わります。酸素量の調整方法や、電気窯では実現が難しい理由まで、焼成の基本をわかりやすく解説します。あなたの作品に深みを出す焼成技術を知りたくないですか?

中性炎と還元炎の違い

白磁を焼く時は中性炎じゃないと台無しになります。


この記事の3つのポイント
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炎の種類と酸素量

中性炎は酸化と還元の中間、還元炎は酸欠状態で作る青白い炎です

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釉薬の発色変化

酸化銅は酸化炎では緑色、還元炎では赤色に発色します

窯の選択と制約

電気窯は酸化焼成専用で還元焼成には向きません

中性炎と還元炎の基本的な違い


中性炎と還元炎は、窯内の酸素量によって決まる炎の状態です。中性炎は酸化炎と還元炎の中間にあたる炎で、青白い色をしています。酸素の量を絶妙に調整して、完全燃焼と不完全燃焼の境目を保つ必要があります。


還元炎は窯の中を酸欠状態にすることで作る炎です。酸素の供給を減らすと、炎が出てきて黒いススが上がっていきます。


この状態が還元焼成です。



ロウソクの炎で例えると分かりやすいですね。中心部分は青く暗い炎で、これが還元炎に近い状態です。外側の明るい部分は酸素が十分にある酸化炎になります。


炎の状態は作品の仕上がりに直結します。酸化炎、中性炎、還元炎の3種類を使い分けることで、陶芸作品の表現の幅が大きく広がるんです。


参考)https://yumetoubou-21.amebaownd.com/posts/2351061/


中性炎が必要な白磁焼成の理由

白磁を焼成する際は中性炎を使う必要があります。白磁は胎土や釉薬から鉄分などの不純物をできる限り取り除きますが、すべては取りきれません。この微量の鉄分が炎の種類によって色を変えてしまうんです。


酸化炎で焼くと、鉄分が酸化して黄色味を帯びた白になります。還元炎で焼くと灰色や青白色を帯びてしまいます。どちらでもない中庸の状況、つまり中性炎で焼かないと美しい白磁にならないということですね。


白磁の純白を出すには中性炎が原則です。ただし、古い白磁には青や緑、黄がかったものがあり、それらはその時代の色とも言えます。不純物が完全には取りきれなかったことで、逆に暖かみと潤いが生まれていたんです。


現代の技術では精製され過ぎて、無機質な冷たい白しか生み出せないこともあります。


還元炎による釉薬の色変化と効果

還元炎で焼成すると、釉薬の発色が大きく変わります。生地や釉薬に含まれる酸化物が還元することで、独特の色が出るんです。


鉄分を含む場合は青灰色に発色します。



酸化銅を使った釉薬は、酸化炎では緑色の織部になりますが、還元炎では赤色の辰砂になります。この赤色を出す技術は難しく、中国の明代・洪武期の釉裏紅は黒色になっている場合も多くみられます。青磁釉織部釉も還元焼成で美しい発色が出る代表例です。


参考)陶芸作品の焼成方法!亀井俊哉が電気窯とガス窯の違いを解説: …


釉薬の種類 酸化炎での発色 還元炎での発色
土灰 黄褐色を帯びる 青みを帯びる
酸化銅 緑・織部 赤・辰砂
酸化鉄 赤・黒・黄・緑
酸化コバルト 青・緑

還元焼成の開始時期は釉薬が溶け始める950℃あたりからです。開始が早すぎると釉煙巻きの現象を起こし、遅すぎると還元不足になります。


つまり、タイミングが命ということですね。



中性炎での焼成温度と酸素調整のコツ

中性炎での焼成は、火力と酸素の量を細かく調整する技術が必要です。通常は酸化の状態で焚きますが、950度を越えたら酸素の量を減らして還元にしていきます。その後、酸素の量を調整して青白い炎になるようにすれば中性炎になります。


300度まではゆっくり温度を上げていくのが基本です。火入れから6時間ほど経過すると、950℃を越えて還元に入るタイミングが来ます。


還元に入る時期は850~950℃に達したときが目安です。石灰釉、石灰マグネシウム釉、石灰バリウム釉などの透明釉では900℃で還元に入れば間違いなさそうです。青磁は染付よりもやや濃い目の還元を必要としますが、むやみに濃い還元を行うと不純なガスを吸い込んで色が汚くなります。


中性炎を見つけるのは経験が必要です。酸欠状態にするため空気量を減らして調整しますが、中性炎がなかなか見つからないこともあります。


窯焚き中は常に目を離せない作業です。



参考)https://ameblo.jp/benraku-asobu/entry-12884043515.html


電気窯と還元焼成の制約と対策

電気窯は基本的に酸化焼成専用の陶芸窯です。


電気窯だけは酸化焼成しかできません。


酸素を制限する雰囲気を作るのが難しく、鉄や銅を使った深みのある発色は出しづらいんです。


電気窯で還元焼成を行うとヒーター線が早く劣化する問題があります。還元焼成はヒーター線の消耗を酸化焼成の3倍は早めるため、酸化で2回焼いたら1回還元というようにポイントを絞って使用すべきです。


参考)還元焼成と陶磁器の色変化と特徴と技法


それでもガス窯や石油窯を別に購入するのは大変ですし、場所もありません。そこで、電気窯の下部にトチバーナーを差し込んで簡易還元焼成を可能にしたモデルがあります。焼成の状況としては中性炎での焼成に近いとお考え下さい。


家庭用電気窯の選び方と還元焼成可能なモデルについて詳しく解説されています
ガス窯や薪窯なら還元焼成が可能です。薪をくべる焚口周辺が還元状態、奥に進むにつれて酸化状態になります。薪をくべれば燃焼の際に酸素を消費して還元気味になり、薪が燃え尽きれば酸化状態に戻っていきます。


還元焼成を目指すなら窯の選択が重要です。初心者が自宅で使うにはハードルが高く、窯焚きの経験や知識が必要になります。


還元焼成でよくある失敗と予防策

還元焼成では様々なトラブルが発生する可能性があります。釉薬の色が期待通りに出ないのは、還元度合いが適切でない場合に起こります。例えば、青磁釉が青くならず緑色になってしまう場合は、還元が不十分である可能性が高いんです。


器の表面に黒い煤がこびりつくのも代表的な失敗例です。還元をかけすぎると、窯の上部に作っておいた穴から炎が出てきて、作品に煤が付着してしまいます。還元に入る時期が早すぎると釉煙巻きの現象を起こします。


参考)還元焼成に挑戦! : こんなん出来ちゃいました…


窯内の気流が複雑になるため、温度ムラが生じやすくなります。還元焼成のことを「攻め」といいますが、ちょっと窯に無理をさせる焼き方だと思うので慎重に行う必要があります。


失敗を防ぐには経験を積み重ねることが成功への道です。還元炎で焼成したのに酸化になったり、炭化焼成したのに中性になったり、なかなか思うとおりにはなりません。それでも何度も挑戦して、自分の窯の癖を知ることが大切ですね。





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