陶芸では釉薬の色が焼成雰囲気で正反対の色に変わります
「雰囲気」は日常会話で頻繁に使われますが、その正確な意味を説明できる人は少ないです。この言葉は英語のatmosphereやambienceに相当し、特定の場所や人物を取り巻く気分的なものを指します。曖昧で言語化しにくい概念ですが、身体・感情や感覚・場所との相互関連が指摘されています。
漢字で書くと「雰囲気」となり、「雰」は霧や霜、ほこりなどの意味を含み、「囲」は囲む、「気」はオーラや気配を表します。つまり直訳すれば「オーラが囲んでいるオーラ」となります。目に見えないものが周囲を取り巻いている状態ですね。
参考)雰囲気 - ナムウィキ
陶芸の世界でこの言葉を理解すると、作品が持つ独特の存在感や、工房全体が醸し出す空気感を表現する際に役立ちます。作品の表面的な美しさだけでなく、そこに宿る目に見えない何かを感じ取る感覚が養われます。
参考)陶芸とは?初心者にもわかる魅力や種類、楽しみ方を徹底解説
陶芸では「雰囲気」という言葉が技術的な専門用語として使われます。焼成雰囲気とは、窯の中の空気の状態、特に酸素の量を指す言葉です。酸化焼成と還元焼成という2つの焼成方法があり、これが作品の色を決定します。
酸化焼成は酸素が十分にある状態での焼成で、還元焼成は酸素が不足した状態での焼成です。焼成雰囲気が違うと同じ釉薬でも色が激変します。たとえば織部釉は、酸化焼成では美しい緑色になりますが、強めの還元焼成をすると正反対の赤色に変化するのです。
これが原則です。
この現象を理解していないと、意図しない色の作品が焼き上がってしまいます。電気窯と薪窯では焼成雰囲気が異なるため、同じ釉薬を使っても全く違う結果になることがあります。窯の種類と焼成方法の関係を把握しておくことで、失敗を減らせます。
陶芸作品には、形や色以外に「雰囲気」という要素が存在します。これは作り手の感情や技術、さらには焼成時の偶然が組み合わさって生まれる独特の存在感です。同じ形の器でも、作り手によって全く異なる雰囲気を持つことがあります。
窯変という現象も雰囲気を生み出す重要な要素です。窯変とは焼成中に予期せず起こる色や質感の変化で、これは自然が生み出す美しさとされています。作り手の意図を超えた偶然の産物が、作品に唯一無二の雰囲気を与えるのです。
作品の雰囲気を意識することで、技術的な完璧さだけでなく、人の心に響く何かを宿した作品を作れるようになります。茶道で重視される「わび・さび」の概念も、この雰囲気と深く関わっています。完璧すぎない不完全さの中に美を見出す感覚が養われます。
陶芸において雰囲気を感じ取る能力は、経験によって磨かれます。多くの作品に触れ、制作を重ねることで、言葉にできない微妙な違いを認識できるようになります。これは単なる技術習得とは異なる、感性のトレーニングです。
🎨 雰囲気を感じ取るための練習方法
感覚を言語化する練習も重要です。「この器は温かみがある」「この作品は緊張感がある」といった抽象的な印象を、自分なりの言葉で表現してみましょう。言語化することで、漠然とした感覚が明確になります。
意外ですね。
工房の環境も雰囲気作りに影響します。自然光が差し込む明るい空間で制作すると、作品にも明るい雰囲気が宿りやすくなります。制作環境を整えることは、作品の質を高める一つの方法といえます。
雰囲気の理解を深めると、作品作りのアプローチが変わります。技術的な正確さだけでなく、作品全体が醸し出す感じを意識するようになるからです。これは上級者とプロを分ける重要な視点といえます。
制作過程で自分の感情状態に注意を払うことも効果的です。焦っているときと落ち着いているときでは、同じ技術を使っても作品の雰囲気が変わります。シーンとした作陶室で集中して制作すると、作品に静謐な雰囲気が宿ります。
つまり制作環境が作品に影響するということです。
参考)もっと陶芸の魅力を伝えたい〜「挑戦の年」を語る〜 陶芸研究会…
📝 雰囲気を意識した制作のチェックリスト
雰囲気を重視することで、単なる器ではなく、使う人の生活に寄り添う作品が生まれます。日常使いの器でも、そこに心地よい雰囲気が宿っていれば、食事の時間が豊かになります。
これが陶芸の真の魅力です。
初心者にとって雰囲気の違いを理解するのは難しく感じられますが、具体的な比較をすることで徐々に分かるようになります。同じ形の湯呑みでも、表面の質感が滑らかなものと粗いものでは、手に持ったときの印象が全く異なります。
色の選択も雰囲気に大きく影響します。白い器は清潔感や上品さを感じさせ、黒い器は重厚感や落ち着きを与えます。同じ形状でも色が変わるだけで、器全体の存在感が変わるのです。どういうことでしょうか?
| 要素 | パターンA | パターンB | 雰囲気の違い |
|---|---|---|---|
| 釉薬の質感 | マット(艶なし) | 光沢 | 素朴さ vs 華やかさ |
| 器の厚み | 厚手(5mm以上) | 薄手(3mm程度) | 重厚感 vs 繊細さ |
| 色味 | 土の色が見える | 釉薬で完全に覆う | 自然さ vs 洗練 |
| 形の仕上げ | 手跡が残る | 滑らかに整える | 温もり vs 端正さ |
| 装飾 | なし/最小限 | 模様や絵付け | シンプル vs 賑やか |
実際に作品を作る際は、これらの要素を組み合わせて、自分が表現したい雰囲気を作り出します。最初は意図通りにならないかもしれませんが、試行錯誤を重ねることで、狙った雰囲気を出せるようになります。
これは使えそうです。
陶芸教室で他の生徒の作品と自分の作品を比較することも、雰囲気の違いを学ぶ良い機会です。同じ課題で制作しても、人によって全く異なる雰囲気の作品が生まれることに気づくでしょう。その違いを観察し、何が雰囲気を作り出しているのかを考えることが上達への近道です。