ろくろを使った陶芸は、日本の伝統工芸として長い歴史を持ち、現代でも多くの人々を魅了し続けています。粘土をろくろで回転させながら手で成形していく技法は、シンプルでありながら奥深く、作り手の個性が色濃く反映される芸術表現です。陶芸体験で最も人気があるのはご飯茶碗で、次いでフリーカップ、お皿類が選ばれており、日常使いできる器を自分の手で作る喜びが多くの人に支持されています。
参考)陶芸体験!ろくろ人気ランキング(作れる物一覧)
ろくろ陶芸の最大の魅力は、土と向き合う集中した時間の中で、形が生まれていく創造的なプロセスにあります。電動ろくろは回転する台の上で粘土を成形する現代的な方法で、整った回転体を作ることができますが、操作の難易度が高いため初心者には不向きとされています。一方、手びねりは型や手で直接形を作り上げる技法で、作り手のオリジナリティを最大限に発揮でき、初めて陶芸をする方でも比較的思い通りに制作できる成形方法です。
参考)「手びねり」と「電動ろくろ」の違いとは?
陶芸作品の完成には釉薬の選択も重要な要素となります。釉薬は陶器の表面をガラス質の膜で覆い、防水性を持たせるだけでなく、発色や質感によって作品に多彩な表情を与えます。灰釉は乳白色や透明な光沢釉、青磁釉は青色から緑色に発色し、鉄釉は含有率と焼成具合で黄釉から黒釉まで幅広い色合いになるなど、釉薬の種類によって作品の印象が大きく変わります。
参考)【ひらブラ vol.31】クリエイティビティの背後には「技術…
陶芸体験では、電動ろくろと手びねりのどちらかを選択できる施設が多く、初心者には手びねりから始めることが推奨されています。手びねりは手回しろくろを使って飯碗やコップなどを成形する技法で、自分のペースで粘土を楽しむことができ、より直感的で自然な感覚を大切にしたい方に向いています。体験時間は約1時間程度で、長い作陶歴のある講師がしっかりサポートするため、初めての方でも安心して制作に取り組めます。
参考)陶芸体験の初心者は手びねりがおすすめ!作り方や電動ろくろとの…
電動ろくろ体験は陶芸の代名詞とも言える人気の成形方法です。くるくる回る粘土を集中して形成する電動ろくろは、少しの歪みで形が崩れてしまうなど簡単ではありませんが、最大限のサポートを受けながら挑戦でき、出来上がりの達成感は素晴らしいものがあります。体験では粘土2kgを使って20分から45分程度で2~4個の作品を成形し、その中から焼き上げる作品を選択します。
参考)陶芸教室で電動ろくろ体験。初心者でも上手に挽けるコツを教わり…
体験で制作した作品は、窯元の職人が丁寧に焼き上げ、1ヶ月半から2ヶ月後に自宅へ届けられるシステムが一般的です。作品は素焼き後に釉薬をかけ、本焼きを経て完成しますが、この焼成工程は専門的な技術と設備が必要なため、体験施設側で行われます。完成した作品は家庭用の電子レンジやオーブンでも使用できる丈夫な食器に焼き上がり、日常生活で長く愛用できます。
参考)関東で電動ろくろ・ろくろ体験の予約
自宅でろくろ陶芸を始める場合、まず揃えるべき基本的な道具があります。最も重要なのは手回しろくろで、サイズによって価格は異なりますが数千円で購入でき、電動ろくろを使うようになっても絵付けなどで使う機会があるため必須アイテムです。手回しろくろは直径30cm前後のものが一般的で、錆びないステンレス素材の製品も販売されています。
参考)【陶芸入門】自宅で陶芸~揃えておきたい6つのアイテムを解説
成形に必要な小道具としては、平線かきベラ1~2本、彫塑ベラ3種類ほど、針(線描ベラ)、切り針金、切り弓、粘土板、ゴムこてソフトなどがあり、初心者向けにセット販売されているものもあります。ワイヤー(しっぴき・切り糸)はタタラ作りや、できあがった作品をろくろから切り離すときに使用し、カンナは土をくり抜いたり高台をつけたり厚みの微調整に活用する使用頻度の高い道具です。
参考)[陶芸の専門店]陶芸.com 初めての方必見!!道具選び陶芸…
陶芸用の土は手びねり用や電動ろくろ用など用途に応じて選び、信楽特選赤土などが人気があります。釉薬は陶器に色や質感を与える重要な材料で、初心者向けのセット商品も販売されており、基本的な色から始めることができます。窯については家庭用の小型電気窯もありますが、初心者は陶芸教室や体験施設の窯を利用する方が現実的です。
電動ろくろを使う際の最初の重要な作業は中心取りです。練り終わりのほうを下にした粘土を、電動ろくろの天板の中心にしっかりと叩きつけるようにセットし、ろくろを回した時に土が安定して挽けるように中心を取っていきます。両肘を各左右のヒザの上に乗せてしっかりと固定させ、ブレないで土を動かせるように構えるのがポイントで、手水はできればなるべく少なめにすることが推奨されます。
参考)陶芸のプロが教える電動ロクロのコツ・上手く作る方法 | 陶芸…
土殺しは土を上に伸ばしたり押しつぶしたりを繰り返しながら、粘土の密度を均一でなめらかにし加工しやすくする作業で、電動ろくろをやる上で非常に重要な工程とされています。5~6回は繰り返すことが理想的で、土にブレがなくなり中心に備わったら成形に移ります。初心者は慣れないうちはペダルを踏まず回転スピードを一定に保ち、できるだけ電動ろくろに近づいて座ることが成功のコツです。
参考)電動ろくろで挑戦する初心者向け陶芸作品の作り方 - 初心者で…
手びねりで失敗しないためには、いくつかの重要なポイントがあります。紐の太さを揃えること、土台をろくろの中心に置くこと、土台の上部を平らにすること、粘度をよく締めること、手をゆっくり動かすこと、上から下まで触ることが基本です。ろくろを回して器に手を触れるときは一番上までちゃんと触り、下部の同じところだけ触っていると上部の締まりが緩くなって割れてしまうことがあるため注意が必要です。
参考)【陶芸の初心者】手びねりの作り方!成功させるコツと失敗する作…
京都の瑞光窯は240年以上の歴史を持つ老舗窯元で、現在は6代目の土屋瑞光さんが代表を務めています。1867年の創業以来、京焼・清水焼の窯元として職人の手仕事による「ものづくり」にこだわり、多品種少量生産を行ってきました。現在はブランド名を「ZUIKOU」として、使い手の暮らしを豊かにする上質でモダンな作品を生み出し続けています。
参考)瑞光窯の陶芸体験が人気!京都観光で気軽に立ち寄れるおすすめス…
瑞光窯の最大の魅力は、7年もの開発期間をかけて誕生した「ターコイズブルー釉」を使った作品です。彩度の高い鮮やかなブルーと、ところどころにキラッと煌めく結晶が美しいこの釉薬は、瑞光窯の技術と経験を生かして作られた唯一無二のものです。磁器で作られているため丈夫で割れにくく汚れもつきにくいなどの実用性も備えており、どんな料理もシンプルに盛り付けるだけで見違えたようにスタイリッシュに魅せてくれます。
有田焼の西隆行さんは、佐賀県の有田の伝統的なロクロ技術をベースにした磁器作品を制作している陶芸家です。現在では型は石膏で作られることが多い中、西さんは昔ながらの土型を使って製作しており、素材を大切にしたものづくりを行っています。ロクロ型打ちという技法では、一度ろくろでひいた皿を少し乾いた状態の時に型に打って変形の器を作る伝統的な方法を用いており、素材が魅力的に見える表情や造形を作れるように意識して制作しています。
参考)https://kiruru-harara.com/blogs/article/nishitakayuki
釉薬は陶磁器の表面をガラス質の膜で覆う材料で、防水性を持たせるだけでなく、発色や質感によって作品に多彩な表情を与える重要な要素です。灰釉は草木の灰を主原料とし長石や珪石を配合したもので、イス灰類・土灰類・藁灰類と大きく3つに分類でき、釉調は純度により変わりますが主には乳白色の透明な光沢釉となります。長石釉は長石を主として土灰や藁灰を混ぜて使い、1100℃以上で溶ける高火度釉で、柔らかな乳白色や表面に現れるひびの模様が特徴です。
青磁釉は植物灰などの灰釉をベースに酸化第二鉄を含み、窯の中に空気が入らないように還元炎焼成することで微量の鉄が酸化第一鉄となり、青色から緑色に発色します。鉄釉は鉄を原料とし、その含有率と焼成の具合で色合いが変わり、鉄分が微量だと黄釉や青磁釉に、10%前後だと黒釉や柿釉などになります。銅釉は銅を原料とし、その含有率と焼成の具合で色合いが変わり、緑釉や辰砂釉が代表的です。
本焼きの焼成時間は窯の種類や大きさによって数時間から十数時間とバラバラですが、一般的には1時間で100℃上昇させるのが目安とされています。1250℃までに12時間半で焼成する計算になりますが、実際には15~17時間かけて1230~1240℃で焼いている窯元が多く、焼成時間が長いほど土を焼き締め、機械的強度も強くなり水漏れも少なくなります。焼き方は大きく分けて「酸化焼成」と「還元焼成」があり、炉内の焼成雰囲気(酸素濃度もしくは二酸化炭素濃度)によって分けられ、釉薬の色具合に変化を与えます。
参考)https://blog.goo.ne.jp/meisogama-ita/e/bc39d24ebc8d06aee16386def120b783
釉薬(ゆうやく)とは|種類や特徴を写真で解説 - 陶磁器の基礎知識として釉薬の種類と特徴を詳細に解説
【陶芸入門】自宅で陶芸~揃えておきたい6つのアイテムを解説 - 自宅で陶芸を始めるために必要な道具の選び方
京都陶芸ろくろ体験No. 1|瑞光窯-ZUIKOU- - 京都で本格的なろくろ体験ができる老舗窯元の公式サイト