磁土とは|陶器との違い 特徴 選び方 成形のコツ

磁器を作る原料である磁土について、陶土との違いや成分、焼成温度、扱い方のコツまで詳しく解説します。磁土を使った陶芸を始めるあなたに役立つ情報満載ですが、初心者が知らずに失敗しがちな注意点とは?

磁土とは 陶器との違い

磁土は陶土より扱いにくいと思われがちですが、実は乾燥後の削り作業は磁土の方がラクです。


この記事の要点
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磁土は石から作られる

陶石やカオリンを主原料とし、陶土に比べて不純物が少なく白く焼き上がる磁器用の粘土です

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高温で焼成する

1250~1350℃の高温で焼き締めることで、緻密で透明感のある白い素地になります

薄くて丈夫な器が作れる

コシがあり薄作りが可能で、焼成後は叩くと高い金属音がする強度の高い磁器になります

磁土の原料と成分構成


磁土は陶石を粉砕・精製したもので、不純物をほとんど含まない白色の粘土です。主成分は長石ケイ石などのガラスの材料となる陶石で構成されています。


参考)https://otonayaki.com/blogs/contents/clay


陶土と磁土では、粘土質・長石・珪石の配合割合が大きく異なります。陶土は粘土質50%・珪石30%・長石20%であるのに対し、磁土は粘土質30%・珪石40%・長石30%という比率です。粘土質が少なくガラス質成分が多いのが特徴ですね。


この成分比率の違いが、焼成後の仕上がりに大きく影響します。磁土は珪石と長石が多いため、高温で焼くとガラス化して緻密な素地になります。陶土は土由来の有機物や鉄分などの不純物を含むため有色ですが、磁土は石由来で不純物が少ないため純白に近い白色になります。


参考)磁器とは?陶器との違いって?《うつわの基礎知識》


陶器が「土もの」と呼ばれるのに対し、磁器は「石もの」と呼ばれるのは、この原材料の違いからです。


磁土と陶土の焼成温度の違い

磁土の焼成温度は1250℃~1350℃と、陶土の1000℃~1200℃に比べて約100~200℃も高くなります。この高温焼成が磁器特有の性質を生み出します。


参考)知ってるようで知らない!?陶器と磁器の違いについて


どういうことでしょうか?
高温で焼き締めることで、磁土中のケイ素と釉薬がガラス化し、素地の隙間が完全になくなって緻密な構造になります。焼き上がった磁器は遮光性があり、叩くと高い金属音がするのが特徴です。


陶器は比較的低温で焼くため、素地に小さな気泡が残り多孔質な状態になります。これが吸水性につながり、素朴で温かみのある質感を生み出すわけです。磁器は高温焼成によって吸水性がほぼゼロになるため、レンジや食洗機で使えるものが多くなります。


参考)陶磁器とは?陶器と磁器の違いと特徴をやさしく解説


焼成温度の違いは、使用する釉薬の種類にも影響します。陶器は弱釉、磁器は強釉を使うのが一般的です。


磁土の質感と仕上がりの特徴

磁土で作られた磁器の表面は、陶器のザラザラした手触りとは対照的に、つるつるとした均一でなめらかな質感になります。


これは磁土が焼き締まるときに素地の隙間がなくなり、ガラスのようなスベスベした感触が得られるためです。磁器は薄手に作ることができ、光を透かすと透明感が感じられる美しい仕上がりになります。


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一方、陶器は分厚く作るのが一般的で、素地表面に小さな凹凸があり、土の温もりを感じさせる質感が特徴です。磁器の白く透明感のある表情は、茶碗や皿などの食器類に高級感を与え、和食器だけでなく洋食器としても広く使われています。


磁器は陶器よりも欠けにくい強度を持っているのもメリットです。ただし落とすと割れやすいので、取り扱いには注意が必要です。


磁土の可塑性と成形の難易度

磁土は陶土に比べて可塑性が低く、コシがあってやや硬い性質を持っています。粘土質の比率が30%と陶土の50%より低いため、柔らかさや粘りが少ないわけです。


この性質の違いが、成形時の扱いやすさに影響します。陶土は柔らかく粘りがあるため、厚手に作って乾燥後にたっぷり削る方法が適しています。磁土はコシがあって薄めに作れるので、乾燥後の削り作業は少なくて済みます。


磁土は薄く作っても土が垂れないという利点がありますが、逆に厚手で作ると削りに時間がかかって面倒です。初心者にとっては、陶土の方が手びねりなどで扱いやすいと感じることが多いでしょう。


磁器土のろくろ成形は難易度が高いと言われますが、陶土、半磁土と順を追って練習すれば比較的すんなり成型できるようになります。磁器土を練るときは強めに練ると空気が入ってしまうので、力加減に注意が必要です。


参考)土物の作り方 - いろいろあるとよ-altoyo.net-


磁土の保管方法と注意点

磁土はビニールに入ったまま保存できますが、日光が当たる場所や高温になる場所は避けてください。適切な保管場所は床下収納のような冷暗所です。


参考)https://www.asaoka-ceram.co.jp/04_qa/qa01.html


保管の際は、濡れタオルで粘土を包み、その上から厚めのビニールで二重に包んで密閉できる容器に入れるのがおすすめです。容器としては蓋付きの発泡スチロール箱や密閉できる収納ボックスが適しています。


参考)【陶芸コース】粘土と水分、その状態について


どうしてこんなに厳重にするんでしょう?
磁土は乾燥すると硬くなり、水分が失われると可塑性が大幅に低下するためです。時々タオルに水分を含ませることで、長期間固くならずに使用できる状態を保てます。


残った磁土や失敗した作品は、磁土として練り直すことが難しいのが難点です。ただし陶土と混ぜることで半磁土として活用できるので、廃棄せずに再利用する方法もあります。経済的にも環境的にも、この再生方法を知っておくと便利です。


参考)失敗・スクラップ磁器土の再利用方法


磁土を使った成形のコツ

磁土でろくろ成形する際は、薄めに引き上げることを意識してください。コシがあるので薄く作っても崩れにくく、これが磁器らしい仕上がりにつながります。


土練りは磁土成形の重要なポイントで、練りの良し悪しで仕上がりが大きく変わります。磁土は強く練りすぎると空気が入るため、陶土よりも優しい力加減で練る必要があります。右手の押す力を少しずつ抜きながらまとめるのが基本です。


型を使った成形も磁器ではよく行われます。型には石膏がよく使われ、複雑な形状や同じ形を複数作る際に便利です。ろくろ成形に比べて均一な厚みを保ちやすいのもメリットですね。


乾燥段階では、磁土は陶土ほど気を使わなくても割れにくい傾向があります。ただし急激な乾燥は避け、ビニールをかけてゆっくり乾燥させるのが安全です。削りのタイミングは半乾きの状態が適していて、完全に乾燥する前に削り終えることが大切です。


参考)土粘土の準備や保管のコツ!


磁土を選ぶ際のポイント

初心者が磁土を選ぶ際は、半磁土から始めるのがおすすめです。半磁土は陶土と磁器土の中間の性質を持ち、陶土よりも白く焼き上がりながら手びねりもできて扱いやすい特徴があります。


半磁土は陶土のような扱いやすさと、磁器に近い白さを両立しているわけです。


本格的な磁器を作りたい場合は、有田や天草の磁器土のように白色度の高いものを選びましょう。陶石や石英を主体とする磁器土はほぼ純白で、美しい白磁を作ることができます。


産地によって磁土の性質が異なるため、自分の作りたい作品や制作スタイルに合った土を見つけることが大切です。京焼の石素地として使われる高級な陶石を原料とした磁器土は、還元焼成で非常に白く仕上がります。


参考)磁器土|陶芸機材の総合メーカー【丸二陶料株式会社】


陶芸教室や窯元で実際に触って試してみると、自分に合った磁土が見つけやすくなります。作品の用途(食器、花器、オブジェなど)に応じて、適切な磁土を選択してください。


<参考リンク>
磁土と陶土の成分比率や焼成温度の違いについて詳しく知りたい方は、こちらの記事が参考になります。


陶器と磁器の違い
磁器土の特徴や白さの理由について詳しく解説されています。


器を楽しみたい人必見!!陶磁器の素になる土とは?
半磁土の性質や扱いやすさについて知りたい方はこちら。


【趣味で始める陶芸入門】陶土の種類~知っておきたい6種の土の特徴




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