市販の透明釉を水で溶くだけで済ませていると、作品の仕上がりに2倍以上の差が出ます。
透明釉の基本配合は、長石系の釉薬が最も扱いやすいです。標準的な配合比率は、カリ長石40%、珪石30%、石灰石20%、カオリン10%となります。
この比率が基本です。
各材料の役割を理解すると、配合の意味が分かります。長石はガラス質を作る主成分で、作品に光沢を与えます。珪石は透明度を高める働きがあり、石灰石は融点を下げて焼成しやすくします。カオリンは釉薬を素地に密着させる接着剤の役割です。
材料の粒度にも注意が必要でしょうか?
200メッシュ以上の細かさが理想的です。粗い粒子が混ざると、焼成後に気泡やピンホールが発生しやすくなります。専門店で購入する際は、陶芸用に調整された粒度のものを選んでください。
日本陶業株式会社
透明釉の原料について、各成分の詳細な特性と品質基準が記載されています。
初心者の方は、まず市販の透明釉ベースに少量の添加剤を加える方法から始めるのも良い選択です。完全な自作は材料の計量精度が求められるため、経験を積んでから挑戦しましょう。デジタルスケールで0.1g単位まで計量できる環境を整えると、安定した結果が得られます。
つまり正確な計量が成功の鍵です。
材料を正確に計量したら、混合の手順に入ります。まず乾燥した材料をボウルに入れ、スプーンで均一になるまで混ぜてください。
この段階では水を加えません。
乾燥状態での混合が重要な理由は、材料が均一に分散するためです。水を先に加えると、重い材料が沈んで分離しやすくなります。5分程度かけて、粉末の色が完全に均一になるまで混ぜ続けましょう。
次に水を少しずつ加えていきます。材料100gに対して水50〜60mlが目安ですが、一度に全量を入れないでください。10mlずつ加えながら、その都度よく混ぜます。釉薬の濃度は、木べらですくって落としたときに「トロッ」と流れ落ちる程度が適切です。
どういうことでしょうか?
マヨネーズよりやや緩く、生クリームより濃いくらいの粘度を目指します。この濃度なら、素地に均一な厚みで施釉できます。濃すぎると塗りムラができ、薄すぎると透明度が下がります。
混合後は24時間以上寝かせることが必須です。この熟成期間に材料同士が馴染み、釉薬の性能が安定します。急いで使うと、焼成後に予期しない反応が起こることがあります。
陶芸家ウェブ
釉薬の混合技術について、プロの陶芸家による実践的なアドバイスが掲載されています。
使用前には必ず再度攪拌してください。沈殿した重い成分を底から掬い上げるように混ぜると、配合比率が元に戻ります。ハンドミキサーを使う場合は、低速で30秒程度が目安です。
施釉の厚みは焼成後の仕上がりを左右する重要な要素です。透明釉の場合、0.5〜0.8mmの厚みが標準とされています。
これが原則です。
施釉方法には浸し掛け、流し掛け、刷毛塗りの3種類があります。浸し掛けは最も均一に施釉できる方法で、作品全体を釉薬に3〜5秒間浸します。小さな作品や内側も施釉したい器に適しています。
流し掛けは大きな作品向けです。柄杓で釉薬を掬い、作品の上から静かに流します。2〜3回重ね掛けすることで、適切な厚みになります。刷毛塗りは細かい部分の調整に便利ですが、ムラができやすいため中級者向けの技法です。
厳しいところですね。
施釉前の作品は完全に乾燥させてください。水分が残っていると、釉薬が素地に吸収されず剥離の原因になります。素焼き後の作品なら問題ありませんが、生乾きの生地への施釉は避けましょう。
施釉後は自然乾燥で1〜2日間置きます。
この期間に釉薬が素地にしっかり定着します。
急速乾燥させると、表面にヒビが入ることがあるため注意が必要です。
施釉の厚みを確認する場合は、爪楊枝で優しく釉薬層を刺してみてください。0.5mm程度の抵抗があれば適切な厚みです。薄すぎる部分には追加で施釉し、厚すぎる部分はスポンジで軽く拭き取って調整します。
つまり厚み管理が透明度を決めます。
透明釉の焼成温度は1230℃が標準です。この温度で8〜10時間かけて焼成すると、最も透明度の高い仕上がりになります。
温度が低すぎると釉薬が完全に溶けず、白濁した仕上がりになります。1200℃以下では釉薬の表面がざらついたマット調になってしまい、透明感が失われます。逆に1250℃を超えると、釉薬が流れすぎて作品の形が崩れるリスクがあります。
それで大丈夫でしょうか?
温度計の精度確認が重要です。窯内の実際の温度と設定温度に±20℃程度の誤差が生じることもあります。ゼーゲルコーンを使って実測温度を確認すると、より正確な焼成ができます。
昇温速度も仕上がりに影響します。600℃までは1時間あたり100℃、それ以降は50℃のペースで上げるのが理想的です。急激な昇温は作品内部にストレスを与え、焼成後のヒビ割れの原因になります。
最高温度に達したら、30分〜1時間保持します。この保持時間で釉薬が完全に溶け、気泡が抜けていきます。保持時間が短いと、表面に小さな気泡が残ることがあります。
冷却は自然冷却が基本です。
窯の扉を開けずに、翌日まで放置してください。600℃以下になるまでは絶対に扉を開けてはいけません。
急冷すると作品にクラックが入ります。
日本セラミックス協会
陶磁器の焼成技術について、温度管理の科学的根拠と最新の研究成果が紹介されています。
電気窯を使う場合は、温度プログラムを事前に設定できます。ガス窯の場合は、炎の色で温度を判断する技術が必要になるため、経験者の指導を受けることをおすすめします。
透明釉でよくある失敗は、白濁、ピンホール、剥離の3つです。それぞれ原因と対策を理解すれば、確実に改善できます。
白濁の主な原因は焼成温度不足です。1230℃まで上げきれていないか、保持時間が短い可能性があります。再焼成で1240℃まで上げると、透明度が回復することがあります。ただし、素地の耐熱温度を超えないよう注意してください。
ピンホールは釉薬中の気泡が原因です。
施釉前に釉薬を裏漉しすると、大きな気泡や不純物を除去できます。80メッシュの網を使い、2回漉すのが効果的です。また、昇温速度を遅くすることで、気泡がゆっくり抜けていきます。
剥離は素地と釉薬の膨張率の違いで起こります。素地の種類によっては、透明釉との相性が悪い場合があります。土を変更するか、釉薬の配合を微調整する必要があります。カオリンを5%増やすと、密着性が向上することが多いです。
色ムラが出る場合は、施釉の厚みが不均一な証拠です。浸し掛けの時間を統一するか、流し掛けの回数を増やして均一性を高めましょう。刷毛塗りの場合は、一方向に塗るのではなく、縦横交互に塗ると均一になります。
これは使えそうです。
品質を安定させるためには、毎回の配合記録を付けることが大切です。使用した材料のメーカー、ロット番号、計量値、焼成温度、保持時間をノートに記録します。成功したレシピを再現でき、失敗の原因も特定しやすくなります。
湿度の影響も無視できません。梅雨時期は釉薬が乾燥しにくく、施釉の厚みが変わります。除湿機を使って作業環境の湿度を50%程度に保つと、年間を通じて安定した結果が得られます。
上級者向けのテクニックとして、少量の酸化コバルト(0.1%)を加えると、透明度が増すことがあります。ただし、わずかに青みがかるため、白い素地との組み合わせが前提です。
色のついた素地には使わないでください。
結論は記録と環境管理です。

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