カオリンは、カオリナイトと呼ばれる鉱物を主成分とする天然の白色粘土です。中国の景徳鎮近郊にある高嶺山(カオリンさん)から産出したことが名前の由来で、古くから陶磁器製造や美容分野で活用されてきました。主な化学組成はアルミニウムの含水ケイ酸塩鉱物(Al₂Si₂O₅(OH)₄)で、二酸化ケイ素約45%、酸化アルミニウム約40%を含んでいます。
参考)ホワイトカオリン 100g 自然化粧品研究所
カオリンの最大の特徴は、その優れた耐火性と白色度です。耐火度は1580度以上にも達し、高温に耐える性質を持っています。また、鉄分などの不純物が極めて少ないため、焼き上がりが非常に白く美しいという特性があります。
参考)https://www.ceramic.or.jp/museum/yakimono/contents/genryou.html
美容分野では、粒子がきわめて小さいため表面積が大きく、吸収力と被覆力に優れています。pH値が6〜8と中性前後なので、手作り化粧品やパックなどに適しており、肌への刺激が少ないマイルドな使用感が魅力です。
参考)カオリン - 10万人のスキンケア
カオリンは陶磁器製造において不可欠な原料です。日本を代表する有田焼の原料となる天草陶石も、カオリンを主要成分としています。陶石は天然の複合鉱物であり、カオリンの他に石英や長石の仲間であるセリサイトなどから構成されています。
参考)カオリン(かおりん)とは|【公式】スタジオイイコロ - St…
高温で焼いても変形しにくく、白磁やボーンチャイナのような白い陶磁器には欠かせない素材です。水で練ると可塑性を生じ、乾燥すると強度が出るという特性があり、耐久性が高く粘り強いのが特徴です。成形や彫刻の際に形を保ちやすく、細かい線や精巧なデザイン・模様を描いても粘土が割れにくいという利点があります。
参考)陶磁器用カオリン粘土 Manufacturer href="https://www.sjzhuabangkc.com/ja/application/kaolin-clay-for-ceramics425" target="_blank">https://www.sjzhuabangkc.com/ja/application/kaolin-clay-for-ceramics425amp; Supp…
日本では良質のカオリンがほとんど産出しないため、韓国やニュージーランドからカオリンを輸入して使用しています。朝鮮カオリン(金剛カオリン)は耐火度が高く、釉薬の安定性を増す効果があるため、陶磁器製造に広く利用されています。
参考)https://www.tougeishop.com/products/detail/1467/
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日本のやきもの - 日本セラミックス協会
カオリンはスキンケアにおいて、多様な美容効果を発揮します。お肌のひきしめ、お肌を明るくする効果、汚れや老廃物を取り去る効果があり、毛穴の汚れや余分な角質を吸着・除去する目的でクレイパックに用いられています。
ベントナイトに比べて吸着力はマイルドですが、肌表面の余分な皮脂や古い角質をやさしく取り除くことができます。刺激が少なくやさしい使用感が魅力で、肌が乾燥しやすい方や敏感になりがちな方、クレイ洗顔を初めて取り入れる方に適しています。
参考)肌を磨く「クレイ」の力!ベントナイト・カオリン・海シルトの美…
白色顔料、被覆剤、賦形剤、増量剤として化粧品に配合され、ファンデーションやフェイスパウダー、ベビーパウダー、パックなどの基材に用いられます。滑沢剤や吸着剤、研磨・スクラブ剤、抗ケーキング剤としても配合されています。
パウダー基材としてタルクの光沢を消し、皮膚へのつきをよくする効果があります。ただし、なめらかさに欠け、すべりが悪いという欠点もあります。他のクレイに比べて粒子が細かく非常に柔らかいので、ボディパウダーや歯磨き粉など、スキンケア全般のベースとして使われることもあります。
参考)アロマ基材クレイについて2 - ベル・クウォーレ
カオリンを使った美容商品の口コミはこちら
生活の木 カオリンの口コミ - アットコスメ
カオリンとモンモリロナイトは、どちらもスキンケアに用いられるクレイですが、性質には明確な違いがあります。
参考)クレイパックで黒ずみクレンジングに使われるカオリンとは? -…
粒子の大きさに関して、カオリンはやや粗めですが、モンモリロナイトは非常にきめ細かいという特徴があります。水との相性では、カオリンは水がすぐに奥まで浸透するのに対し、モンモリロナイトは水を長時間保持します。質感もカオリンはさらさらとしていますが、モンモリロナイトはしっとりとして粘り気があります。
実際に水を加えると違いがよくわかります。カオリンは水が底まですぐに到達しますが、モンモリロナイトは水を保持する力が強いためダマになります。これにより、モンモリロナイトは保湿系アイテム、カオリンは洗浄系アイテムに適していることがわかります。
保湿力の観点では、カオリンは比較的乾きやすく水を抱える力が弱めで乾燥しやすい特性があります。一方、モンモリロナイトは非常に高い保水力を持ち、肌表面でヴェールのような膜を形成してうるおいを保持しやすいという利点があります。
参考)クレイパックは粉末状とペースト状どちらが保湿におすすめ? -…
カオリンの特徴は以下の通りです。
カオリンを使った基本的なクレイパックの作り方は非常にシンプルです。クレイパックを作るのに必要な道具は、ガラスか陶器のボウル、そして水だけです。
参考)乾燥が気になる季節のクレイパック
基本的な作り方の手順
参考)70g・ホワイトカオリン
水を先に入れるのは、その方が水の中でクレイが分散して、早く水を吸うからです。先にクレイを入れても同じようにペーストは出来ますが、少しだけ時間がかかります。
水分量の目安
水分量はあくまで「目安」で、湿度、温度、水の種類によって異なります。最初は水分量を少な目に作って、霧吹きなどで水分量を調整して、お好みの固さに仕上げてください。
応用レシピ
カオリンとお水をまぜるだけでもパックとして十分使えますが、精油を加えることで、その作用を享受できますし、パック中も香りを楽しむことができます。
使用のタイミングはメイクオフして洗顔後に使用し、使用頻度は週に1〜2回が適切です。敏感肌の方は、まずは週に1回から始めるのがおすすめです。
参考)クレイパックの基礎知識と正しい使い方
手作りクレイパックの詳しい作り方はこちら
乾燥が気になる季節のクレイパック - マンデイムーン
カオリンは耐火物産業において重要な役割を果たしています。カオリンは耐火性が高く、耐火物を製造するために一般的に使用され、その製品は高温耐性があり、変形することなく高温での荷重に耐えることができます。
参考)耐火物産業におけるカオリンの応用 - 業界ニュース - ニュ…
中国では、1580度以上の耐火粘土として知られており、耐火レンガの製造に広く使用されています。耐火レンガの標準サイズは23cm x 11.4cm x 6.4cmで、9インチレンガとも呼ばれます。
参考)カオリンの耐火物への応用
耐火粘土やカオリン、ロー石、硬質粘土、シャモットなどを原料としており、けい藻土質より高い温度まで使用できます。裏張りだけでなく炉の内張りにも使われており、工業炉メンテナンスには欠かせない素材です。
参考)断熱耐火物
カオリンは耐火レンガ、耐火エナメルなどの耐火材料の製造にも使用できます。耐火エナメルは耐食性耐火材料の一種であり、耐火パイプ、耐火ポット、耐火炉の製造に使用できます。カオリンは、耐火性コーティング、耐火性防食コーティングなどの耐火性コーティングを製造するためにも使用されます。
カオリン中のAl₂O₃とSiO₂含有量の比率は耐火物の性能に直接影響します。高品質のカオリンでは、Al₂O₃/SiO₂値は一般に0.6〜0.8またはわずかに高いですが、純粋なカオリンでは、Al₂O₃/SiO₂比は0.85です。カオリンは製品の強度と耐摩耗性を高めるための結合剤または充填材として一般的に使用されており、優れた高温耐性、化学的安定性、機械的特性を備えた非常に重要な耐火物です。