志野釉は900℃以上で還元焼成しないと緋色が出ません。
志野釉は長石を100%使う、釉薬の中で最もシンプルな調合です。
基本レシピは以下の通りです。
参考)志野釉
📌 基本的な志野釉のレシピ
参考)自作の釉薬 - 志野釉 : 作陶日記 - つぐみ製陶所だより
長石の種類によって仕上がりの質感が変わります。平津長石は志野釉特有のふわっとした柔らかい表面になりますが、釜戸長石を使うとつるっとして貫入の入る表情になります。
つまり釉調の好みで長石を選べるということですね。
志野釉は長石釉とも呼ばれ、桃山時代から続く伝統的な釉薬です。調合がシンプルな分、焼成条件や施釉の厚みで大きく表情が変わるのが特徴です。
志野釉は厚く塗らないと、特徴的なピンホールや白さが出ません。素焼きは800℃程度で行いますが、もぐさ土を単味で使う場合は素焼き切れを防ぐため360~370℃程度の低温で素焼きします。420~430℃で急激に水分が蒸発し、肌理の粗いもぐさ土は素焼き切れを起こすためです。
参考)https://blog.goo.ne.jp/meisogama-ita/e/456356b6e963fcd63632002815267661
絵志野を作る場合は、素焼き後に濃い目の弁柄などの鉄分の多い絵具を筆で描き、乾いたら長石釉を掛けます。鼠志野や赤志野の化粧土は、素焼きの前に施すほうが安全で確実です。
📌 志野釉の濃度調整のポイント
厚塗りが基本です。
薄く施釉すると志野らしい表情が出ず、ただの透明釉のようになってしまいます。ただし厚く塗りすぎて高温で焼くと釉が流れ落ちるため、バランスが重要です。
志野釉は比較的熔けやすいため、焼成温度は1200℃前後と低めにします。薪窯で2~3日かけて1200℃まで昇温させ、900℃を超えたら還元雰囲気で作品にガスを吸わせながらゆっくり温度を上げていきます。
還元焼成の極意は「いかに炭素を吸わせるか」です。強い炉圧をかけ、しっかり還元をかけることで、色見口から激しい音がするほどの状態を作ります。
📌 志野釉の焼成スケジュール例
これが原則です。
志野は炭を投入しながらの焼成を行う場合、穴を空けたさや鉢を使用します。さや鉢の底近くを切って穴を空け、重ねたさや鉢の間にサイコロ支柱をかませて隙間を作る方法もあります。
緋色は表面に集まった酸化第二鉄(赤鉄鉱)の発色で、急冷すると酸化第二鉄は表面に浮き出てきません。最高温度から緋色の定着する900℃まで丸一日かけて徐冷し、昇温と同じ日数をかけてゆっくり冷まします。
📌 緋色の発生要件
徐冷の際は酸化雰囲気でないと緋色が出ないと言われています。つまり還元で昇温し、酸化で徐冷するということですね。
塩化鉄を素焼き素地に塗り、次にニガリを塗り、よく乾かしてから小麦粉を水に溶いて筆で外側のみ塗ってから施釉する方法もあります。これは塩化鉄の還元による緋色を人工的に作る技法です。
緋色を美しく出すには、素地に含まれる鉄分の量と、焼成時の昇温・降温速度、そして雰囲気のコントロールすべてが揃う必要があります。どれか一つでも欠けると理想的な緋色は現れません。
志野釉は調合がシンプルなため、初心者でも挑戦しやすい釉薬ですが、実は成功させるための条件は非常に細かく分かれています。プロの陶芸家を目指すなら、釉薬調合の基本がわかる「三角座標」づくりが重要です。
参考)http://www.tougei-ikkan.com/yuuyakudukuri.html
三角座標とは、三種類の役割をする代表的な原料の組み合わせを一定の割合ずつ変化させて釉調を見るもので、大学の陶芸講座や産地の訓練校で釉薬の基本を学ぶときに行われます。原料の割合による釉調の変化や熔け具合を感覚的に覚えるための訓練です。
📌 陶芸工房での実践的な学び方
詳細なテストピースづくりは決して楽しい作業ではありませんが、必要な発見は数多くのテストの中にあります。将来、必要な釉薬を見つけたいとき、テストピースづくりで養った経験と勘が必ず役立ちます。
志野釉づくりを学ぶ過程で、自分の作品に合った白い釉薬を見つけるために、教室の白萩釉ベースにテストを行ったり、藁灰と合成土灰の割合比を変化させて絵柄が滲まない安定した釉薬を探したりする地道な努力が、陶芸作家として独り立ちする最短距離です。
志野釉の詳細な発色条件と焼成方法について
志野釉の白さと緋色を両立させるには、素地の鉄分量、施釉の厚さ、焼成温度、昇温・降温速度、雰囲気のすべてを精密にコントロールする必要があります。どれか一つでも条件がずれると、理想の志野にはなりません。
釉薬づくりの基礎を学べる陶芸工房の実践的な取り組み
これらの基礎知識を押さえ、数多くのテストを重ねることで、あなた独自の志野釉を完成させることができます。