金彩・銀彩の入った伝統工芸品の陶器を電子レンジに入れると、火花が飛んで器が割れることがあります。
「伝統工芸品」という言葉は日常でよく使われますが、実は法律で定義された「伝統的工芸品」と、広義の「伝統工芸品」は別物です。経済産業省が定める「伝統的工芸品」には、2023年10月時点で全国241品目が指定されており、「主として日常生活の用に供されるもの」「手工業的であること」「100年以上の伝統技術があること」など、5つの要件をすべて満たす必要があります。つまり、すべての焼き物が自動的に指定されるわけではありません。
陶器と磁器の違いは、陶器好きの間でもよく混同されるポイントです。簡単にまとめると、陶器は主に粘土を原料とし、比較的低い温度(約800〜1,250℃)で焼き上げた「土もの」。磁器は陶石(石)を原料とし、約1,300℃以上の高温で焼いた「石もの」です。陶器は吸水性があり温かみのある質感が特徴で、磁器は吸水性がなく硬くて白く透明感があります。
これは知っておくべきポイントです。有田焼は「陶器」と思っている方が多いのですが、実際には1616年に日本で初めて作られた「磁器」です。買い物や普段使いのお手入れにも関わることなので、違いを頭に入れておくといいでしょう。
| 種類 | 原料 | 焼成温度 | 質感 | 吸水性 |
|---|---|---|---|---|
| 陶器 | 粘土 | 800〜1,250℃ | 土っぽく温かみがある | あり |
| 磁器 | 陶石(石) | 1,300℃以上 | 硬く、白く滑らか | なし |
参考:陶器・磁器の性質の違いと指定要件の詳細については、経済産業省の公式ページに詳しく記載されています。
BECOSが670名を対象に実施したアンケート調査によると、日本の伝統工芸品の中で最も認知度が高い陶磁器は有田焼(認知度96%)でした。続いて信楽焼(75%)、備前焼(66%)と焼き物が上位を占める結果となりました。根強い人気ですね。
ここでは、陶器に興味がある方ならぜひ押さえておきたい、有名な陶磁器を一覧で紹介します。
美濃焼が日本の食器シェアの50%以上を占めていることは、意外と知られていません。普段自宅で使っている食器のうち、2枚に1枚以上が美濃焼という計算になります。これは使えそうな知識ですね。
参考:認知度ランキングの調査結果と各工芸品の詳細
日本の有名な伝統工芸品10選アンケート調査(BECOS Journal)
日本の陶器の歴史を語る上で欠かせないのが「六古窯(ろっこよう)」です。六古窯とは、平安時代から鎌倉時代に始まり現在まで生産が続く6つの代表的な焼き物産地の総称で、2017年に日本遺産に認定されました。
六古窯の6産地とその特徴を以下にまとめます。
六古窯の焼き物は生粋の「日本生まれ」という点も大きな特徴です。磁器や染付陶器の多くは中国・朝鮮から技術が渡ってきたのに対し、六古窯の焼き物は日本独自の技術体系で発展しました。歴史の厚みが違うということですね。
参考:六古窯の詳細な歴史と産地情報
きっと恋する六古窯(文化庁・日本遺産ポータルサイト)
陶器を実際に買うとなると、「同じ焼き物でもなぜこんなに値段が違うの?」という疑問が浮かびます。伝統的工芸品の価格差には、主に3つの理由があります。それは「手作業の工程数」「作家か量産品か」「産地のブランド力」です。
有田焼・九谷焼・輪島塗などは、特定の作家の作品になると1点数万円〜数十万円の価値がつくことも珍しくありません。一方で、量産ラインが整備されている美濃焼や波佐見焼であれば、1,000〜3,000円台のおしゃれな日常使いの器も豊富です。価格帯を理解した上で選ぶと失敗が少なくなります。
| 産地 | 種類 | 特徴 | 価格の目安(日常使い) |
|---|---|---|---|
| 有田焼 | 磁器 | 白磁に鮮やかな絵付け | 2,000〜10,000円〜 |
| 九谷焼 | 磁器 | 五彩の鮮やかな色絵 | 3,000〜15,000円〜 |
| 信楽焼 | 陶器 | 素朴な土の質感 | 1,500〜8,000円〜 |
| 備前焼 | 陶器(炻器) | 無釉・無絵付けの焼き締め | 3,000〜20,000円〜 |
| 美濃焼 | 陶器・磁器 | 多様なスタイル | 500〜5,000円〜 |
| 波佐見焼 | 磁器 | シンプル・おしゃれなデザイン | 1,000〜5,000円〜 |
なお、伝統工芸品の国内生産額は1983年頃の約5,400億円をピークに、2020年度には約870億円にまで縮小しています。職人一人当たりの年間生産額に換算すると約161万円という厳しい現実もあります。品質が高く希少性が上がっていることを理解した上で、適正価格で購入することが産地を守ることにも繋がります。
せっかく選んだ伝統工芸品の器を長く使うためには、素材の性質に合ったお手入れが欠かせません。陶器と磁器では性質が異なるため、扱い方も変わります。これが基本です。
最も多いトラブルが「電子レンジでの破損」です。陶器は粘土が原料のため、細かい気泡が多く吸水性があります。器の内部に水分が染み込んだ状態で電子レンジにかけると、加熱によって水分が急激に膨張し、器が割れることがあります。また、金彩・銀彩の絵付けが施された器は陶器・磁器にかかわらず電子レンジ使用禁止で、加熱すると火花が飛んでレンジ本体を故障させる危険性もあります。九谷焼や有田焼の一部には金銀彩を使ったものが多いため、購入前に必ず電子レンジ対応かどうかを確認することが大切です。
陶器のお手入れで知っておくべきポイントは3つあります。
磁器(有田焼・九谷焼・波佐見焼など)は吸水性がないため、陶器ほど神経質なケアは不要です。食洗機に対応しているものも多く、日常使いに向いています。ただし、金彩・銀彩が施されたものは食洗機でも絵付けが剥がれるリスクがあるため注意が必要です。器を長く使いたいなら、購入時に「電子レンジ可・食洗機可」の表示を確認することが最初のステップになります。
参考:陶磁器の正しい電子レンジ使用と取り扱いについての詳細
陶器の電子レンジ使用における注意点(フェリシモ)

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