「英国製」と書かれた皿でも、実は2003年以降は中国製であり、バックスタンプを見落とすと数万円の価値の差が生まれます。
ジョンソンブラザーズは、1883年にフレデリック・ジョンソンとアルフレッド・ジョンソンの兄弟によって、イギリスのストーク・オン・トレントで創業した陶磁器メーカーです。2人は英国の著名な陶芸家アルフレッド・ミーキンの孫にあたり、その血筋が陶磁器への強いこだわりとなって事業の礎を作りました。
創業当初はシンプルなブルーの磁器からスタートしましたが、銅板転写技術をいち早く取り入れたことで品質と生産効率を両立させ、英国内外での評価を急速に高めていきます。これが基本です。
その後、兄弟にヘンリーとロバートも加わり、4人兄弟での経営体制が確立。ロバートがアメリカのニューヨークに販売拠点を設け、米国内に4つのフランチャイズ拠点を展開したことで、1890年代から1960年代にかけてスタッフォードシャーを代表する窯として確固たる地位を築きました。
食器の多くがアメリカに輸出され、一般家庭のテーブルに並ぶ「手の届く英国食器」として親しまれました。1920年代に発売した「ドーン」シリーズは、グレー・グリーン・ローズ・ゴールドといった豊富なカラーバリエーションで大ヒットし、1960年代まで続く長寿シリーズとなっています。
1950年代にはエリザベス女王からロイヤルワラント(英国王室御用達)を授与されるとともに、2年連続で「女王の産業賞」を受賞。格式と品質の両面が公式に認められた時代でもあります。いいことですね。
しかし1960年代以降は嗜好の変化と市場競争の激化が重なり、経営は厳しい局面を迎えます。1968年にウェッジウッドグループの傘下に入り、その後も人気パターンを生み出しながら生産を継続。2003年に英国内での生産が終了し、2015年にはブランド名そのものが廃止されて、約130年の歴史に幕を下ろしました。
| 年代 | できごと |
|---|---|
| 1883年 | フレデリック・アルフレッド兄弟が創業(ストーク・オン・トレント) |
| 1888年 | ヘンリーが事業参加、工場を拡大 |
| 1900年代初頭 | ロバートがアメリカ拠点を設立、輸出が急拡大 |
| 1920年代 | 「ドーン」シリーズ発売、カラー食器で人気を博す |
| 1930年代 | 「オールドブリテンキャッスル」「ヒストリックアメリカ」登場 |
| 1950年代 | エリザベス女王よりロイヤルワラント授与 |
| 1968年 | ウェッジウッドグループ傘下に |
| 2003年 | 英国内での生産終了、生産拠点が中国へ移転 |
| 2015年 | ブランド名廃止、約130年の歴史に幕 |
ジョンソンブラザーズの皿を手にしたとき、まず確認すべきはバックスタンプ(底部に刻まれた裏印)です。このスタンプを読み解くだけで、その皿がいつ・どこで作られたのかをある程度特定することができます。つまり年代判定の鍵はバックスタンプです。
最も重要な判断基準となるのが「Made in England」か「England」のみの表記かという点です。一般に「England」だけ記載されているものは1891年〜1950年代頃のヴィンテージ品とみなされ、「Made in England」と明記されているものは1950年代以降の製品とされています。これは、1891年に米国マッキンリー関税法が改定され、輸入品への原産国表記が義務付けられたことに由来する背景があります。
また、2003年以降に生産拠点が中国に移ったことで、それ以降の製品は「Made in China」と表記されています。陶磁器収集家の間では、同じパターンでも「Made in England」と「Made in China」では評価と市場価格に大きな差がつくことが知られています。これは使えそうです。
具体的には、ヤフオクやメルカリで「ジョンソンブラザーズ プレート」を検索すると、英国製品の落札平均価格はおよそ2,500〜4,500円であるのに対し、中国製の類似品は500〜1,500円程度で流通するケースも見られます。バックスタンプの確認を怠ると、知らないうちに数千円の差を見落とすことになります。
スタンプに「IRONSTONE」「SEMI-PORCELAIN」といった記載があるものは、硬質陶器(アイアンストーン、半磁器)であることを示しています。ジョンソンブラザーズはこのアイアンストーン素材を得意とし、磁器よりも丈夫で日常使いに向いた食器として広く支持されてきました。アイアンストーンが原則です。
さらに、ウェッジウッドグループ傘下になった1968年以降の製品には「WEDGWOOD GROUP」の文字が加わるケースがあります。これを参考にすると、製造年代をより絞り込む手がかりになります。
参考:ジョンソンブラザーズの歴史とバックスタンプの変遷が詳しく解説されています。
ジョンソンブラザーズ 歴史についてのお話(green-chan.blogspot.com)
ジョンソンブラザーズがこれほど長く愛され続けた理由の一つが、時代ごとに発表してきた豊富なパターン(絵柄シリーズ)の多彩さにあります。コレクターや日常使いのユーザーそれぞれに刺さるシリーズが揃っているのが強みです。
オールドブリテンキャッスルズ(Old Britain Castles) は、1930年頃に登場した最も有名なシリーズの一つです。英国の歴史的な古城を青(ブルー)やピンクのトランスファーウェア(銅板転写)で描いた絵柄で、ディナーセットからカップ&ソーサーまで幅広く展開されました。ブルーとピンクの2色展開が特徴で、いずれも現在のコレクターズ市場において根強い人気があります。eBayやEtsyでは1枚あたり2,000〜8,000円程度で取引されるケースも多く見られます。
フレンドリービレッジ(The Friendly Village) は、アメリカ市場向けに作られた田舎の村の風景を描いたシリーズで、ブラウンや緑のアースカラーが特徴的です。素朴で温かみのある絵柄から、特にアメリカのコレクターに絶大な人気を誇ります。「Made in England」スタンプがあるものは特に価値が高いとされており、同スタンプのない後期品(中国製)とは明確に区別されます。
サマーチンツ(Summer Chintz) は、17世紀からヨーロッパで流行したインド更紗のデザインを取り入れたシリーズです。白地に鮮やかな花柄が描かれており、上品さと華やかさを兼ね備えた一品として人気を集めます。
ドーン(Dawn) シリーズは1920年代に登場したカラークレイボディの先駆け。グレー、グリーン、ローズ、ゴールドという4色のカラーバリエーションが当時の食器市場に新風を吹き込み、1960年代まで続く長寿シリーズとなりました。
ヘリテージ(Heritage) は、シンプルなデザインに金彩が映えるモダンなシリーズで、アイアンストーン素材で作られた丈夫さも特徴です。日常使いとしての実用性と、コレクションとしての観賞性を両立しています。
| シリーズ名 | 登場時期 | 特徴 | 人気ポイント |
|---|---|---|---|
| オールドブリテンキャッスルズ | 1930年頃〜 | 英国古城の青・ピンクの転写絵柄 | コレクター人気が非常に高い |
| フレンドリービレッジ | 1950年代〜 | ブラウン・グリーン系の田舎の村景色 | 特に米国で絶大人気 |
| サマーチンツ | 1960年代前後 | インド更紗風・白地に花柄 | 上品で女性に人気 |
| ドーン | 1920年代〜1960年代 | カラークレイボディ4色展開 | 歴史的価値が高い |
| ヘリテージ | 1970年代〜 | 金彩+アイアンストーン | 日常使いとコレクションを兼用 |
参考:ジョンソンブラザーズの各シリーズや絵柄の詳細情報が確認できます。
アンティーク雑貨の歴史や違いを紹介する事典(なららんアンティーク)
ジョンソンブラザーズの皿は、素材と製造年代によってお手入れ方法が大きく異なります。間違ったケアを続けると、絵柄の色落ちや金彩の剥がれが起き、査定価値が数千円単位で下がるケースもあります。痛いですね。
まず知っておくべきは、ゴールドやシルバーの縁取り(金彩・銀彩)がある皿は食洗機NGという点です。食洗機の強アルカリ性洗剤と高温水流は、金属装飾を著しく劣化させます。アンティーク品の場合、この「縁取りの剥がれ」が査定時に大幅な減額要因になることを覚えておくと良いでしょう。金彩のある皿は手洗い原則です。
一方で、アイアンストーン(半磁器)素材の無地・シンプル柄のものは、食洗機使用に耐える製品も多く存在します。後期品(1968年以降のウェッジウッドグループ傘下時代)のヘリテージやオールドグラナイトシリーズなどは、食洗機対応として設計されたものもあります。購入前に底面のスタンプとシリーズを確認することが条件です。
電子レンジに関しては、金彩・銀彩付きの皿は絶対に使用しないことが必須です。金属装飾が電子レンジの電磁波と反応し、最悪の場合は火花が散ったり皿が割れたりするリスクがあります。また、古いヴィンテージ品は釉薬に微細なひびが入っている場合があり、急激な加熱によるクラック(貫入の拡大)にもつながります。
保管については、複数枚を重ねる際に皿と皿の間に柔らかい布やフェルトを挟むことが鉄則です。直接重ねると摩擦で転写絵柄に細かいキズが入り、長年の使用で色落ちが進行します。大切に保管したい場合は1枚ずつ仕切られたプレートラックの使用も選択肢です。
日常的な洗い方は、40℃前後のぬるま湯と中性洗剤を使い、柔らかいスポンジで優しく洗うのが基本です。熱湯による急激な温度変化は陶器全般にとって天敵であり、これを避けるだけで皿の寿命が大きく延びます。
ジョンソンブラザーズの皿はブランド廃止後も流通が活発で、フリマアプリやオークションサイト、アンティークショップなど複数のルートから入手可能です。ルートによって価格帯が大きく異なるため、相場を把握しておくことが重要です。
メルカリ・ヤフオク では、単品プレート(23〜28cm前後のディナープレート)の出品価格は1,000〜5,000円程度が一般的です。ヤフオクの過去120日の落札データによると、「ジョンソンブラザーズ 皿」の平均落札価格は約1,572円となっています。セット品や状態の良いものは10,000円を超えることもあります。ただし、英国製(Made in England)の明記がないものや、金彩剥がれのある品は相場より低めになることが多いです。
アンティーク専門店・ネットショップ では、状態や年代が整理・保証された形で販売されているため、単品でも3,000〜15,000円程度となる場合があります。オールドブリテンキャッスルズのフルセット品(数十ピース)になるとEtsyやeBayでは100米ドルを超える出品も珍しくありません。価値ある一枚という認識が重要です。
オフハウス(ハードオフ系列)などのリサイクルショップ では、識別されずに安価(300〜1,500円)で陳列されているケースもあります。バックスタンプの読み方を知っておくと、店舗で掘り出し物を発見できる可能性があります。これは使えそうです。
入手の際に確認すべきポイントをまとめます。
また、アンティーク食器に興味が出てきたら、Etsyの「Johnson Brothers」カテゴリを定期チェックする習慣をつけると、希少なパターンの入荷をいち早く知ることができます。日本国内のヤフオクやメルカリよりも、海外市場のほうがパターンの種類が豊富なことも覚えておくと良いでしょう。
参考:ジョンソンブラザーズのブランド詳細と食器の価値解説がまとまっています。