九谷焼はどこの県?発祥の地と産地の歴史と特徴を徹底解説

九谷焼がどこの県で作られているのかご存じですか?石川県に生まれた色絵磁器の産地や歴史、知らないと損する購入の注意点まで、陶器ファン必見の情報をまとめました。あなたは九谷焼の"意外な事実"を知っていますか?

九谷焼はどこの県?石川県が誇る色絵磁器の産地と歴史

九谷焼の金彩をそのまま電子レンジに入れると、火花が散ってレンジと食器の両方が破損することがあります。


この記事でわかること
🗾
九谷焼の産地はどこ?

石川県南部(加賀市・能美市・小松市・金沢市)が産地。発祥の地は加賀市の「九谷村」で、地名がそのまま名前になっています。

📜
370年以上の歴史と謎

1655年の開窯から始まる九谷焼。最初の「古九谷」は約50年で廃窯になり、その理由も産地も今なお謎が残ります。

⚠️
購入前に知るべき注意点

金彩・銀彩が施された九谷焼は電子レンジ厳禁。スパークによる食器とレンジ本体の破損リスクを知ってから購入しましょう。


九谷焼はどこの県で作られる?石川県南部の4都市が産地


九谷焼は、石川県の伝統的な色絵磁器です。産地は石川県南部に集中しており、具体的には加賀市・能美市・小松市・金沢市の4つの都市を中心に生産されています。


石川県といえば「加賀百万石」の文化で知られる土地柄ですが、その豊かな藩の文化が九谷焼の華やかな色彩を育んだと言っても過言ではありません。


ちなみに、生産量で見ると特定の地区への集中が顕著です。現在の九谷焼の総生産量のうち、約80%は石川県能美市の寺井町が担っています。残りの約20%を加賀市・小松市・金沢市が担う形です。つまり能美市が九谷焼の生産量の中心地ということになります。


九谷焼の歴史と産地について(加賀市公式サイト)


寺井町には「九谷陶芸村」という陶器問屋が軒を連ねるエリアがあり、石川県内外からバイヤーや観光客が訪れます。それほどの規模で九谷焼が生産・流通しているということですね。一方で発祥の地は能美市ではなく加賀市山中温泉の「九谷村(現・九谷町)」です。ここが「九谷焼の聖地」として作家やコレクターから今も敬われています。


九谷焼の発祥の歴史:大聖寺藩と後藤才次郎が開いた窯

九谷焼の歴史は、今から約370年前の江戸時代前期にさかのぼります。当時、石川県加賀地方を治めていたのは「大聖寺藩」という小さな藩で、初代藩主・前田利治(まえだ としはる)が鉱山開発を進めていた最中に、領内の九谷村で磁器の原料となる陶石が発見されました。


これをきっかけに、藩は磁器生産を始めることを決定します。磁器製造の技術を習得するために佐賀県の肥前有田へ赴いたのが、後藤才次郎(ごとう さいじろう)という人物です。後藤才次郎は有田で陶芸技術を学び、持ち帰った技術をもとに明暦元年(1655年)頃、九谷村で窯を開きました。これが九谷焼の始まりとされています。


この最初期の九谷焼は「古九谷(こくたに)」と呼ばれており、大胆な構図と鮮やかな「九谷五彩(赤・黄・緑・紫・紺青)」を用いた色絵が特徴です。つまり九谷焼の出発点は石川県加賀市が原則です。しかし古九谷の窯は約50~60年という短い期間で生産を終了してしまいます。廃窯の理由は今もはっきりわかっておらず、「大聖寺藩の財政難」「藩主の方針転換」などの説が挙げられていますが、これが九谷焼史上最大の謎として語り継がれています。


九谷焼の歴史と由来(九谷焼協同組合公式サイト)


九谷焼と有田焼(佐賀県)の意外な深い関係

九谷焼は石川県の焼き物ですが、実はその誕生に深く関わっているのが佐賀県の有田焼です。これは意外ですね。


先述した後藤才次郎が技術習得のために向かったのが、当時日本で唯一磁器を生産していた佐賀県の肥前有田でした。有田は日本磁器の発祥地とも言われており、1616年頃に朝鮮陶工・李参平(り さんぺい)らによって磁器生産が始まった地です。つまり九谷焼は、有田焼の技術を石川県に持ち込むことで誕生した焼き物と言えます。


さらに面白いのが「古九谷有田説」と呼ばれる研究です。放射化分析(成分を科学的に調べる手法)の研究によって、「古九谷と伝わる色絵磁器はすべて有田産ではないか」という説が昭和20年代から提唱されてきました。加賀市の公式サイトでも「古九谷と伝わる色絵磁器はすべて有田・伊万里製だという見解も有力」と記載されるほど、この論争は現代でも決着がついていません。


古九谷の産地論争と加賀九谷について(加賀九谷陶磁器協同組合公式サイト)


石川県の九谷焼と佐賀県の有田焼。全く別の産地の焼き物と思われがちですが、その起源をたどれば密接に繋がっている——これが九谷焼の魅力的な謎のひとつです。古九谷の産地はどこかという問いは、焼き物研究者だけでなく、陶器コレクターにとっても今なお興味が尽きないテーマとなっています。


九谷焼の特徴:九谷五彩と6つの代表的な画風

九谷焼の最大の特徴は、「上絵付け(うわえつけ)」と呼ばれる色絵の装飾です。「上絵付けを語らずして九谷はない」と言われるほど、その色絵は九谷焼のアイデンティティそのものです。


中でも代表的なのが「九谷五彩(くたにごさい)」と呼ばれる5色の絵の具です。赤・黄・緑・紫・紺青の5色を組み合わせて器に絵付けする手法で、豪快・華麗な印象を与えます。九谷焼を一言で表すなら、この「五彩の鮮やかさ」が基本です。


九谷焼には、歴史の流れの中で確立された6つの代表的な画風があります。それぞれの特徴を整理すると以下の通りです。


| 画風名 | 時代 | 主な特徴 |
|--------|------|----------|
| 古九谷(こくたに) | 1650年頃~1700年頃 | 五彩を使った大胆・力強い構図。青手(緑・黄主体)も有名 |
| 木米(もくべい) | 1805年~1817年 | 中国風の人物を五彩で描く。和やかで穏やかな雰囲気 |
| 吉田屋(よしだや) | 1818年~1829年 | 赤を使わず四彩で器全体を塗り埋め。重厚感が特徴 |
| 飯田屋(いいだや) | 1830年~1845年 | 赤絵による細密な人物画。所々に金彩を加えた優美な作風 |
| 永楽(えいらく) | 1865年~1868年 | 全面赤の下塗りに金のみで描く金襴手。絢爛豪華 |
| 庄三(しょうざ) | 1860年~1880年 | 和洋折衷の彩色金襴手。明治以降の産業九谷の主流 |


このように同じ「九谷焼」でも、時代によって作風が大きく異なります。これが条件です。九谷焼を選ぶ際は、どの画風が自分の好みに合うかを意識するとより楽しめます。


九谷焼の各画風の詳細解説(漆陶舗あらき)


九谷焼を購入する前に知っておきたい注意点と使い方

九谷焼を購入する前に、知っておくべき大切なことがあります。それは金彩・銀彩が施された器は電子レンジで絶対に使ってはいけないということです。


九谷焼の多くは金・銀の装飾を用いています。これが問題になります。電子レンジはマイクロ波を使う仕組みですが、金属成分(金・銀)に反応してスパーク(火花)が発生することがあります。一度スパークが起きると金彩部分が断線して剥がれ落ちてしまいます。それだけではなく、電子レンジ本体も破損するリスクがあります。つまり食器とレンジの両方が損害を受ける可能性があるということです。


九谷焼の専門店でも「金・銀の装飾がある器は電子レンジで使用しないでください。レンジと食器の両方が破損する可能性があります」と明記しています。購入後に焦って「知らなかった!」とならないよう、購入前に確認することが重要です。


九谷焼のご利用方法と注意点(九谷百花苑)


また食器洗い乾燥機食洗機)についても注意が必要です。食洗機の高温洗浄とアルカリ性洗剤は、金彩・絵付けの変色や剥離を引き起こすリスクがあります。基本的には手洗いが原則です。


さらに初めて使う前のひと手間も覚えておきたいところです。九谷焼の陶器には「貫入(かんにゅう)」と呼ばれる細かいひびのような表面がある場合があり、吸水性が高いため、使う前に米のとぎ汁や塩水で一度煮ることで、醤油や食材の色素が染み込みにくくなります。これは使えそうです。


石川県で九谷焼を買う・観るためのスポットと独自視点の活用法

九谷焼の産地・石川県を実際に訪れるなら、いくつかの注目スポットがあります。加賀市には「九谷焼窯跡展示館」があり、江戸時代の古九谷の窯跡が1979(昭和54)年に国の史跡に指定されています。ここでは日本最初期における磁器生産の様相を実際に見ることができます。古九谷の謎に迫りたいなら、まずここを訪れることをおすすめします。


能美市の寺井町には「九谷陶芸村」があり、陶器問屋が軒を連ねています。九谷焼の生産量の約80%を担うエリアだけあって、品揃えの豊富さと価格帯の幅広さが魅力です。


ここで、あまり知られていない独自の楽しみ方を紹介します。九谷焼は「画風」によって価格帯も大きく変わります。伝統的な古九谷・吉田屋風の作品は数万円から数十万円台の美術工芸品が中心ですが、庄三風・現代デザインの日常使い向けの器は数千円台から手に入るものも多くあります。


同じ石川県産・同じ「九谷焼」というブランドでも、作風と価格帯は実に幅広いのが特徴です。初めての九谷焼なら「普段使いできる庄三風・現代デザインのもの」から入るのが、コスト的にも生活の中での使いやすさの面でも現実的な選択肢です。


また近年、石川県内の陶器市として「九谷茶碗まつり」(毎年5月3日〜5日、能美市)が開催されており、窯元や販売店が多数出店するため、通常より安く本物を購入できる機会として陶器ファンに注目されています。石川県外からも多くの来場者が集まるイベントです。


九谷焼の聖地・加賀を巡る旅のモデルコース(石川県観光公式サイト)


九谷焼の産地を訪れる際には、単に購入するだけでなく、古九谷窯跡という「焼き物の歴史が息づく場所」を歩いてみることで、器への愛着が一段と深まります。370年の時間を感じながら一つの器を選ぶ体験は、九谷焼ならではの醍醐味と言えるでしょう。




和座の蔵 そばちょこ おしゃれ 九谷焼 そば猪口 花詰 陶器 高級 ブランド 和食器 日本製 誕生日プレゼント