古九谷皿の魅力と選び方を初心者向けに解説

古九谷皿は江戸時代初期に生まれた日本が誇る伝統磁器です。わずか50年で途絶えた謎多き焼物の歴史や特徴、見分け方、価格相場まで陶芸初心者にもわかりやすく解説します。あなたが手にした古九谷皿は本物でしょうか?

古九谷皿の基礎知識

伝世する古九谷皿の9割以上は有田製の素地です。


参考)古九谷 kokutani 解説


この記事のポイント
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古九谷とは何か

江戸初期にわずか50年で途絶えた幻の磁器で、九谷五彩の大胆な色彩が特徴

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真贋の見極め

高台内の目跡の有無が産地判定の重要な手がかりになる

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価格相場

落札平均価格は約18,000円だが、真作なら数十万円以上の価値がある

古九谷皿の歴史的背景

古九谷は江戸時代初期、石川県の九谷で生まれた日本最古の色絵磁器です。後藤才次郎という金工師が有田で技術を学び、九谷で窯を開設したことで歴史が始まります。制作期間はわずか50年ほどで、その後突然生産が途絶えました。


参考)日本が誇る希少な陶磁器の「古九谷」の買取


廃窯の理由は現在まで解明されていません。


この謎が「古九谷のミステリー」と呼ばれる所以です。伝世品として残る古九谷皿は非常に少なく、その希少性から美術品として高く評価されています。約100年後に「再興九谷」として復活し、現代まで九谷焼の伝統が受け継がれています。


古九谷に関する詳しい歴史と謎については、以下のリンクで専門家の見解が確認できます。


鶴田純久による古九谷の解説と考古学的発見

古九谷皿の色彩と絵付けの特徴

古九谷の最大の魅力は「九谷五彩」と呼ばれる鮮やかな色彩です。紺青、紫、黄、緑、赤の5色を使い、大胆で力強い筆致で描かれています。絵付けははみ出さんばかりの豪放な表現が特徴で、見る者を圧倒する存在感があります。


参考)古九谷とは - 九谷陶泉(石川県・小松市)|九谷焼ロディ 九…


狩野派の名匠・久隅守景の指導を受けたといわれています。


のびのびとした自由な線描きと、絵画的に完成された表現力が魅力となっています。五彩のうち赤を用いず、緑や黄色で塗り埋める「青手」という様式も存在します。この青手古九谷は、古九谷の中でも特に人気の高いスタイルです。


参考)https://turuta.jp/story/k-kokutani


皿の形状では大形平鉢が代表的で、縁を捻花状にして口縁に鉄釉をめぐらせた「縁紅中皿」も特殊作例として知られています。


古九谷皿の真贋を見分けるポイント

古九谷の産地論争は陶磁器史における重要なテーマです。昭和45年から石川県が古九谷の解明調査を開始し、九谷古窯跡から出土した陶片を分析しました。


その結果、驚くべき事実が判明しました。



伝世する古九谷皿の素地の大半は有田製だったのです。


九谷古窯で焼かれた平鉢の白素地には高台内に目跡がないのに対し、伝世作品には目跡のあるものが多く見られます。つまり高台内の目跡の有無が、産地判定の重要な手がかりです。九谷素地に九谷で絵付けされたと考えられる真作の古九谷は、大形平鉢に限っても伝世品の1割にも達しないと推定されています。


目跡がないこと。


これが基本です。


出土陶片と比較すると、多くの伝世古九谷は有田で焼かれた素地に絵付けされた可能性が高いのです。「色絵菊孔雀文平鉢」のように高台内に目跡のない白磁素地の作品が、九谷窯で焼かれた素地・絵付の古九谷ではないかと推定されています。


古九谷皿の価格相場と入手方法

古九谷皿の市場価格は作品の真贋や状態によって大きく変動します。Yahoo!オークションでの過去120日間の落札データでは、古九谷皿の平均落札価格は約17,911円です。約677件の取引が行われており、活発な市場といえます。


参考)Yahoo!オークション -「古九谷 皿」の落札相場・落札価…


端皿なら比較的手頃です。


「端皿(はざら)」とは、元々10枚や20枚の組み物になっていた皿が1枚ずつ別れたものを指します。骨董の世界では古九谷の小皿や中皿を端皿と呼び、これらは比較的入手しやすい価格帯です。楽天市場では1,589件の古九谷皿関連商品が販売されており、現代の九谷焼から骨董品まで幅広く扱われています。


参考)【楽天市場】古九谷 皿の通販


真作の古九谷皿は数十万円から数百万円の価値があります。


初心者が古九谷皿を購入する際は、信頼できる骨董店や専門業者を利用することが重要です。オークションサイトやフリマアプリでも取引されていますが、真贋判定には専門知識が必要なため、鑑定書付きの作品を選ぶか、専門家に相談することをおすすめします。


骨董品としての古九谷の買取や鑑定については、専門業者のサイトが参考になります。


竜宮堂による古九谷の買取と鑑定情報

古九谷皿を楽しむための独自の視点

古九谷皿を収集する際、産地論争の歴史そのものを楽しむという視点があります。現代では「古九谷様式」という表記で展示される作品も多く見られます。これは九谷で作られたかどうか断定できないため、スタイルとしての古九谷を表現する言葉です。


参考)古九谷様式


つまり様式として楽しむのです。


古九谷写(こくたにうつし)という分野も興味深いところです。江戸時代の輸出用金彩絵付全盛の時代にあっても、あえて古九谷の美を求めて独自の技を追及した作家たちが現れました。現代九谷の作家で古九谷を通過しないで作陶する人間はほとんどいないといわれています。


参考)http://www.yoshizakitouzan.com/html/touzansekai.html


器面の磨耗が物語るように、名品といえど実際に使用された器たちです。


神人共食という考えが深く根付いた時代の人々が、ハレの席の饗応で使ったであろう新作の器。そこには使い手と作り手の幸福で単純な関係が窺えます。古九谷の消長が物語るのは、貪欲に新奇なものを求めた上流階級と、独創的なデザインを創出した工人たちの緊張関係なのです。


観賞用として飾るだけでなく、古九谷様式の現代作品を日常使いするのも一つの楽しみ方です。古九谷風の絵柄を施した現代の九谷焼皿なら、実用性と芸術性を両立できます。食卓に並べたとき、料理を引き立てる五彩の色彩は、日々の食事を特別な時間に変えてくれるでしょう。


古九谷皿のコレクション管理と保存方法

古九谷皿を購入した後の保管方法も重要なポイントです。陶磁器は温度や湿度の変化に弱く、適切な環境で保管しないと劣化が進みます。理想的な保管環境は、温度15~25度、湿度40~60%程度です。


直射日光は厳禁です。


紫外線によって上絵の色彩が褪色する可能性があるため、暗所や専用の展示ケースでの保管が推奨されます。皿と皿の間には柔らかい布や和紙を挟み、重ねすぎないようにしましょう。重量がかかると下の皿に負担がかかり、ひび割れの原因になります。


定期的な状態確認が必要です。


カビや虫害のチェックを年に2~3回行い、問題があれば専門家に相談してください。古九谷皿のような骨董品は、適切な保管で何世代にもわたって受け継ぐことができる文化財です。コレクションの記録として、購入時期、購入場所、価格、サイズ、絵柄の特徴などをノートやデジタルデータで管理しておくと、将来的な鑑定や売却時に役立ちます。


保険への加入も検討する価値があります。


高額な古九谷皿を所有する場合、火災や盗難に備えて美術品保険に加入することで、万が一の際の損失を補償できます。保険会社によって補償内容や条件が異なるため、複数の見積もりを比較検討しましょう。骨董品専門の保険代理店に相談すると、適切なプランを提案してもらえます。


古九谷皿は単なる食器ではなく、日本の陶磁器史における貴重な文化遺産です。その謎めいた歴史と圧倒的な美しさを理解することで、コレクションの価値はさらに深まります。初心者の方も、まずは手頃な端皿や現代の古九谷様式作品から始めて、徐々に知識と経験を積み重ねていくことをおすすめします。


真作との出会いは一期一会。その瞬間を楽しみながら、古九谷皿の世界を探求してみてください。