目跡がない陶器ほど価値が高いとは限りません。
目跡とは、陶器を焼成する際に高台(こうだい)の底面に残る小さな痕のことです。窯の中で複数の器を効率よく焼くため、トチンやハマと呼ばれる窯道具を器の底に挟んで積み重ねます。この窯道具が接触した部分に、焼成後も小さな凹みや突起として残るのが目跡です。
現代の電気窯やガス窯では、棚板を使って器を個別に配置できるため目跡は付きにくくなっています。しかし伝統的な登り窯や薪窯では、限られた窯のスペースを最大限活用するため、今も窯道具を使った積み重ね焼成が行われることがあります。つまり目跡があるということは、伝統的な焼成方法で作られた可能性を示す印なんですね。
目跡の数は通常3~5個です。器のバランスを保つため、高台の円周上に等間隔で配置されます。目跡が1個や2個だけの場合、焼成中に器が傾いてしまうリスクが高まるため、職人は最低でも3点で支える構造を選びます。目跡の大きさは直径2~5mm程度、深さ1mm未満のものが一般的です。
高台の仕上げを見れば、作り手の技術レベルがある程度判断できます。丁寧に削り出された高台は、指で触れたときに滑らかで、見た目にも美しい曲線を描いています。特に作家物の陶器では、高台の削りに個性が表れることが多く、鑑賞のポイントにもなります。
粗雑な高台は、削りが不均一だったり、エッジが鋭く手に刺さるような感触があったりします。量産品では工程を省略するため、高台の仕上げが甘いケースが目立ちます。一方で人間国宝クラスの作家は、高台の削り一つにも妥協しません。
これは使い手への配慮です。
高台の内側を「高台内」と呼びますが、ここにも注目してください。作家によっては高台内に独自の削り跡や、釉薬の掛け方に特徴を持たせています。例えば、高台内を渦巻き状に削る作家や、あえて土の質感を残す作家もいます。こうした細部に作家の美意識が凝縮されているんですね。
目跡がある陶器でも、高台の仕上げが美しければ価値は下がりません。むしろ、伝統技法で焼かれた証として評価されることもあります。ただし目跡周辺の釉薬が剥がれていたり、ヒビが入っていたりする場合は、焼成時のトラブルを示す可能性があるため注意が必要です。
トチンとハマは、どちらも器を窯の中で支える道具ですが、形状と使用目的が異なります。トチンは三角錐や円錐形の小さな土の塊で、器の底に直接置いて使用します。焼成後は器から取り外し、高台に小さな点状の痕が残ります。
これが一般的に目跡と呼ばれるものです。
一方ハマは、リング状や筒状の窯道具で、器全体を囲むように使います。主に皿や鉢など、平たい器を焼く際に用いられます。ハマを使うと器の縁に痕が残ることがありますが、高台には跡が付きません。つまりハマで焼いた陶器には、底面に目跡がないということですね。
現代の作家の中には、窯道具の痕を作品の一部として意図的に残す人もいます。例えば備前焼では、窯変(ようへん)と呼ばれる炎の模様と共に、トチンの痕も作品の個性として受け入れられています。こうした場合、目跡は欠点ではなく、むしろ唯一無二の証明になります。
窯道具の選択は、焼成する器の形状や釉薬の種類によって変わります。釉薬が流れやすい器にはトチンを高めに設置し、釉薬が高台に達しないよう工夫します。一方で釉薬を使わない焼締めの作品では、器同士を直接積み重ねることもあり、この場合は目跡すら残りません。
作家物の陶器を確実に判断するには、銘(めい)と共箱(ともばこ)の確認が基本です。銘とは、器の高台内や側面に彫られたり、書かれたりした作家のサインのこと。多くの作家は独自の銘を持っており、これが真贋判定の第一の手がかりになります。
共箱は、作家自身が作品のために用意した桐箱のことで、箱の蓋裏に作品名と作家名、制作年などが墨書きされています。共箱があれば、その器が本物である可能性は格段に高まります。ただし近年は贋作にも偽の共箱が付けられるケースがあるため、箱だけで判断するのは危険です。
銘の書体や彫りの深さにも注目してください。作家ごとに筆跡や彫り方に癖があり、熟練した鑑定士はこの違いを見抜きます。例えば人間国宝の作家の場合、銘の線一本にも迷いがなく、力強さと繊細さが同居しています。これは長年の鍛錬によって培われた技術の表れです。
共箱がない場合でも、諦める必要はありません。器そのものの質感、釉薬の発色、形のバランスなど、総合的に判断する方法があります。また、信頼できる専門店や鑑定士に相談するのも一つの手です。特に高額な陶器を購入する際は、専門家の意見を聞くことでリスクを大幅に減らせます。
目跡の有無よりも、釉薬と土の相性が陶器の価値を大きく左右します。釉薬は高温で溶けてガラス質の膜を作りますが、土との収縮率が合わないと、冷却時にヒビ(貫入)が入ったり、釉薬が剥がれたりします。優れた作家は、自分の使う土に最適な釉薬を長年の実験で見つけ出しています。
釉薬の発色も重要な評価ポイントです。同じ釉薬でも、焼成温度や窯の雰囲気(酸化焔か還元焔か)によって色が変わります。青磁や天目など、伝統的な釉薬を美しく発色させるには、高度な技術と経験が必要です。発色が均一で深みのある陶器は、それだけで高い評価を受けます。
土の粒子の細かさも見逃せません。精製された細かい土で作られた磁器は、薄くて軽く、透光性があります。一方で粗めの土を使った陶器は、素朴な風合いと温かみが魅力です。作家は表現したいイメージに合わせて土を選び、時には複数の土をブレンドして使います。
釉薬の掛け方にも作家の個性が表れます。筆で掛ける、浸す、吹き付けるなど、技法は様々です。特に複数の釉薬を重ね掛けする技法は難易度が高く、意図した通りの発色と模様を出すには熟練が求められます。こうした技術の積み重ねが、陶器の芸術性を高めているんですね。

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