焼締め 基礎知識と土選び 作り方 温度管理の完全ガイド

焼締めは釉薬を使わず高温で焼成する陶芸技法ですが、初心者が陥りやすい失敗や土の選び方を知っていますか?備前焼や信楽焼に代表される焼締めの基礎から、温度管理の重要性、自然釉の魅力まで完全解説します。あなたの作品をワンランク上に仕上げるコツとは?

焼締め 基礎知識と作り方

焼締めは水止めの釉薬なしで固まると思われがちですが、実は1200℃未満では水が漏れます。


焼締めの3つのポイント
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無釉の高温焼成

釉薬を使わず1200~1250℃の高温で焼き上げる技法

🏺
土そのものの美しさ

素朴な土味と自然釉による偶然の景色が魅力

⚱️
代表的な産地

備前焼、信楽焼、伊賀焼、丹波焼など各地で独自の発展

焼締めの基礎知識と特徴


焼締めは、釉薬を使わずに高温で焼成する陶芸技法です。正式には「締焼き」と呼ばれ、1200~1250℃の高温で焼き上げられます。素地に含まれる長石が高温で液状化し、素地に食い込むことで釉薬としての役割を果たします。


参考)焼締め - Wikipedia


釉薬を使わないため、土そのものの特長を生かした素朴で味わい深い仕上がりになるのが特徴です。硬質で吸水性が少ないため、古くから急須、茶碗、壺、甕、瓶などに用いられてきました。ただし粗目の土を使うと多孔性になり、水が腐りにくくなったり、ビールを注いだときにクリーミーな泡立ちになるといった効果も生まれます。


参考)焼き締め


焼締めの最大の魅力は、窯の中で土と炎が偶然に生み出す変化にあふれた器肌です。同じ窯で焼いても、置かれた位置や火の流れによって一つひとつ異なる表情になります。


つまり唯一無二の作品が生まれるということですね。



参考)東京国立博物館 - 展示・催し物 展示 本館(日本ギャラリー…


焼締めに適した粘土の選び方

焼締めに適した粘土は、産地によって色合いや特性が大きく異なります。信楽産の古信楽荒目土は焼締め焼成に適しており、還元焼成では炎色が出やすい特徴があります。伊賀荒目土は可塑性が大きく大物に適しており、焼き上がりが白い伊賀細目土は食器などに向いています。


赤土系では、信楽赤細目土が特にキメが細かく水ひ土に近い絹のような風合いを持ち、温かさの残る赤色に仕上がります。京赤土は黄土と京白土をブレンドした粘土で、還元で赤黒色を呈します。


作者は材料である土の産地を変えたり、複数の種類の土を混ぜたりすることで作品の色合いを変えるように工夫しています。粗目の土は大物向き、細目の土は繊細な作品向きです。焼成温度に注意が必要で、赤土は白土に比べ耐火性がないため、焼成温度は低めに設定するのが基本です。


焼締め作品の作り方と工程

焼締め作品の基本工程は、成形→乾燥→素焼き→本焼きという流れになります。素焼きを700℃以上の高温で行うと素材の肌が焼き締まり過ぎて釉薬の吸収が悪くなるため、600℃程度で行うのが適切です。


参考)焼き締め|荒木陶窯


本焼きでは1200~1250℃の高温まで焼成します。みはる窯の穴窯では1250度まで4日かけて焼成し、焼成中は24時間薪を入れ続け、その数は200束ほどになります。焼成前には必ずお神酒と米を供え、焼成の成功を祈願するのが伝統です。


参考)https://www.iwao.co.jp/keikan/IwaoVessela/jiki_toki.html


1000℃から1200℃の温度帯は「セメ」と呼ばれ、釉薬が窯の中の空気成分で活発に変化している温度帯です。特に1050~1150℃の100度の間は活発に変化している温度帯となります。この温度管理が作品の仕上がりを大きく左右するということですね。


参考)3つの何かでできているやきもの法則「セメは3つに分けられる」…


焼締めの温度管理と焼成のコツ

焼締めの焼成では温度管理が極めて重要です。陶器はおよそ1200℃~1250℃で焼かれますが、磁器に比べ焼き締まりが弱いため、素材の強度を確保するためには肉厚に成形する必要があります。1200℃未満では長石の液状化が不十分で、水漏れの原因になります。


還元焼成させると酸化焼成よりもよく焼き締まる特性があります。還元雰囲気では炎色が出やすく、作品に独特の表情が生まれます。窯の中の位置、火の流れ、その時の天候、燃料となる薪の種類などによって付着の仕方が大きく異なります。


焼成過程は「あぶり」「セメ」「冷まし」の3つの工程に分けられ、あぶりは焼成開始からおおよそ1000℃くらいまで、セメは1000℃くらいから焼き上げまで、冷ましは冷却過程すべてです。1050~1150℃の間の昇温速度によって色合いが変わるため、この温度帯は特に慎重に管理する必要があります。作者と言えどその結果は予測できないことが多いのが焼締めの魅力です。


焼締めの自然釉と景色の楽しみ方

自然釉は焼締めの大きな特徴の一つです。窯の中で器物の一部に降灰したものが長時間の高温により溶けてガラス質に変化し、釉薬代わりとなります。自然釉とは、窯の中で薪の灰が器に降り掛かり、1300度近い高温で自然と釉薬状になったものです。


参考)工房 草來舎


施釉した釉薬とは異なり、自然釉は器物が置かれた窯の中の位置、火の流れ、その時の天候、燃料となる薪の種類などによって付着の仕方が大きく異なります。同じ窯で焼いた物でも個々の作品は多種多様な姿となるのです。


赤松は火力が強く火足も長いため、焼締めの薪として好まれます。横にした花入れに降灰し、融けて流れ、下の部分に雫のように自然釉がたまることもあります。完全に燠に埋もれると炭化した状態になり、強還元で灰は銀色に変化します。お使い頂くうちに濡れた岩のような風情に変わっていくのも魅力です。自然釉の付着は偶然発生するものですから、作者と言えどその結果は予測できないことが多いのです。


焼締め作品のお手入れと長く使うコツ

焼締め作品は土の粒子が粗く、施釉もされていないため水漏れすることがあります。新品の焼締め作品を使う前には、水を張り、小麦粉やお米を入れて沸騰させる「目止め」という処理を行います。これによって器面の細かい穴が塞がり、水漏れを防ぐことができます。


参考)焼き締めのお手入れ : 大地窯


日常のお手入れでは、焼締めのうつわはたわしで洗うとベターです。研磨剤入りクレンザーは傷の原因になるので避けてください。銀の粉をかけて焼いたものもありますが、たわしで洗っても問題ありません。


参考)うつわを長く愛用するための、正しいお手入れ方法うつわの基礎知…


使い込むほどに味わいが増すのが焼締めの特徴です。お茶やコーヒーの色が染み込んで、徐々に色合いが変化していきます。これは欠点ではなく、育てる楽しみとして捉えてください。定期的に使用後は十分に乾燥させることで、カビや臭いの発生を防げます。


焼締めは使う人と一緒に成長する器なのです。




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