ハマを作品と違う素材で作ると、焼成中に作品が歪みます。
ハマは窯詰めの際に作品と窯の床の間に敷く焼台のことです。作品と床の「はざま」に置くことから「羽間(はま)」という字が当てられています。
参考)窯道具
窯元によっては平らな土台の形状から海辺の「浜」という表現をすることもあります。つまり呼び方は異なっても、作品が床にくっつかないようにする道具という点で共通しています。
ハマは焼成という最も重要な工程を支える道具です。作品が完成するまでには成形・施釉・焼成の3つの工程があり、中でも焼成が作品の最終的な品質を決定します。
この道具がないと、作品は窯の床に直接触れて融着してしまいます。
取り出せなくなるということですね。
トチンは「陶枕(とうちん)」から来た名称で、陶磁器を乗せる枕という意味があります。上下が枕状に広がった形状をしており、背の低いリング状のものはチャツとも呼ばれます。
一方ハマはトチンと同じ焼台の役割を持ちますが、呼び方が地域や窯元によって異なるだけです。センベイという別名もあり、地域性が強く反映されています。
道具の役割と外観が分かれば十分です。トチンもハマも作品を支える焼台であり、機能的には同一のものと考えて問題ありません。
地域によって「トチ」「トチミ」といった呼び方もあります。陶芸の世界では同じ道具に複数の名称が存在することが珍しくないため、混乱しないように注意しましょう。
ハマは形態別にいくつかのタイプに分類されます。A類は円盤形で片面側の周縁に面取りを施すもの、B類は円盤形のもの、C類は円盤の中央に円孔を穿つものです。
サイズにも違いがあります。小型のものは直径5~7cm台、中型のものは直径9cm台と、作品の大きさに応じて使い分けます。
ロクロ成形で作られることが一般的で、上面は回転糸切り、下面は面取りの後に回転ナデで仕上げられています。作品の高台痕が見られるものもあり、複数回の使用に耐える設計です。
円錐ピンの剥離痕を残すハマも多く存在します。
これは何度も繰り返し使われた証拠ですね。
ハマを作る際には、作品と同じ陶石を使うことが推奨されます。これは焼成時に作品のゆがみが出ないようにするためで、作品とハマの収縮率を同じにする必要があるからです。
この作品と同じ素材で作った土を「共土(ともつち)」と呼びます。窯道具の素材選びは作品の品質に直結する重要な要素です。
もし作品より耐火度が低く収縮の大きいハマを使った場合、どうなるでしょうか?ハマが縮んで作品を歪めたり、破損して作品が灰まみれになる可能性があります。
共土を使えば安心です。ろくろで挽いて作品と同じように製作することで、平らできれいな仕上がりのハマができあがります。
ハマと作品の間には「目」や「ハリ」と呼ばれる粘土を置きます。目は丸めた状態の粘土、ハリは円錐状で先が尖った状態の粘土という違いがあります。
ハリは作品との接点が小さいため、作品に残る跡が少ないという利点があります。ただし先が尖っているため、場合によっては崩れやすいかもしれません。
リング状の輪トチンの上に目を置き、その上に作品を乗せる形が一般的です。作品を剥がした跡が目の先端に見られることもあります。
これは必須の工程です。目やハリを使わずに直接作品をハマに乗せると、焼成中に融着してしまう可能性が高まります。
焼成中にハマが作品にくっついてしまうことがあります。冷水窯の整理作業では、薩摩焼の破片に混じってハマがくっついた皿が発見されることもあります。
参考)https://www.jomon-no-mori.jp/old/akie_setugou_nikki_2013_06.bak
このような付着が起きる原因は、温度管理の失敗や目・ハリの配置不良です。釉薬が溶けすぎてハマまで流れ込んだ場合にも起こります。
付着を防ぐには、適切な温度での焼成と、目やハリの正確な配置が基本です。また、釉薬を作品の底部まで塗らないように注意することも重要になります。
痛いところですね。一度付着すると、作品もハマも使えなくなる可能性が高いため、事前の確認を怠らないようにしましょう。
ハマは共土を使ってろくろで挽いて作ります。作品と同じ陶石を使うことで、焼成時の収縮率を揃えることができます。
製作時のポイントは、平らにすっきりきれいに仕上げることです。表面が歪んでいると作品も傾いてしまうため、精度が求められます。
サイズは作品に合わせて複数用意しておくと便利です。小皿用には直径5~7cm、中皿以上には直径9cm以上のハマを準備します。
使用後のハマは複数回使えますが、剥離痕が多くなったら交換しましょう。耐久性を考えて、余分に作っておくと作業効率が上がります。
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ハマを自作する時間がない場合や、初めて窯道具を揃える際には、専門店での購入も選択肢になります。