鉄釉 特徴|発色・焼成温度・種類の基本

鉄釉の特徴について、発色のメカニズムや焼成温度による色の変化、代表的な種類まで詳しく解説します。初心者が陥りがちな失敗例や、美しい発色を引き出すコツもご紹介。あなたの作品に深みを加える鉄釉の魅力とは?

鉄釉 特徴

還元焼成したのに茶色く発色してしまう

この記事の3ポイント要約
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鉄釉は酸化第二鉄の量で色が変わる

1~3%で黄色、5~10%で茶色、15%以上で黒褐色に発色します

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焼成方法で劇的に表情が変化

酸化焼成では赤茶系、還元焼成では青黒系の発色になります

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代表的な種類は天目・飴釉・鉄赤

それぞれ異なる鉄分濃度と焼成条件で特徴的な美しさを生み出します

鉄釉の発色メカニズムと酸化鉄の役割


鉄釉の色は、釉薬に含まれる酸化第二鉄(Fe₂O₃)の量によって決まります。この酸化鉄が焼成時の化学反応によって、さまざまな色を生み出すのです。


具体的には、酸化第二鉄が1~3%含まれると淡い黄色に発色します。


これは透明感のある柔らかい色合いです。


5~10%になると茶色系の発色になり、いわゆる飴釉と呼ばれる温かみのある色調になります。


15%以上になると黒褐色に変化します。天目釉などの深い黒色は、この高濃度の鉄分によって生まれるんですね。


ただし、この発色は酸化鉄の量だけでは決まりません。焼成時の雰囲気(酸化か還元か)や温度、釉薬の基礎成分との組み合わせが複雑に影響します。同じ鉄分濃度でも、条件次第で全く異なる色になるということですね。


特に注意したいのは、鉄分が多すぎると釉薬が溶けにくくなり、表面がザラついたり、ピンホールができやすくなることです。美しい発色を得るには、適切な配合バランスが必須です。


鉄釉の焼成温度による特徴の違い

鉄釉は焼成温度によって、発色や質感が大きく変わります。一般的に、1200~1300℃の高温で焼成されることが多いのですが、温度帯によって異なる表情を見せます。


1200℃前後の中温焼成では、釉薬の溶け具合がやや控えめになります。そのため、マットな質感や柔らかい発色になりやすいです。飴釉などは、この温度帯で美しい茶褐色を発色させることができます。


1250~1300℃の高温焼成では、釉薬が十分に溶けて、ガラス質の光沢が出ます。天目釉などの漆黒の輝きは、この高温焼成によって生まれるんですね。ただし、温度が高すぎると釉薬が流れ落ちてしまうリスクもあります。


温度の上昇速度も重要な要素です。急激に温度を上げると、釉薬内部のガスが抜けきらずにピンホールができやすくなります。ゆっくりと昇温させることで、なめらかな釉肌が得られるということですね。


また、冷却速度も発色に影響します。特に結晶釉油滴天目などの特殊な表現を狙う場合は、冷却カーブを細かくコントロールする必要があります。1100℃付近での徐冷が、結晶の成長を促すんです。


温度管理が難しい場合は、デジタル温度計付きの電気窯を使うと失敗が減ります。狙った発色を安定して出すには、正確な温度管理が条件です。


鉄釉の酸化焼成と還元焼成の発色比較

焼成時の雰囲気(酸化か還元か)は、鉄釉の発色に決定的な影響を与えます。同じ釉薬でも、焼成方法を変えるだけで全く違う色になるんです。


酸化焼成では、窯内に十分な酸素が供給された状態で焼きます。この場合、鉄は酸化第二鉄(Fe₂O₃)として安定し、赤茶色系の発色になります。飴釉の温かみのある茶色や、鉄赤と呼ばれる赤褐色は、酸化焼成で生まれます。


還元焼成では、窯内の酸素を意図的に減らし、還元状態を作ります。すると鉄は酸化第一鉄(FeO)に変化し、青黒系の発色になるんですね。天目釉の深い黒色や、青磁のような青緑色は、この還元焼成によって生まれます。


還元が強すぎると、釉薬が金属光沢を帯びることもあります。油滴天目の銀色の斑点は、この強還元の産物です。逆に還元が弱いと、中途半端な茶色になってしまいます。


初心者が陥りがちなのは、還元焼成のつもりが不完全な還元になり、期待した青黒系ではなく茶色になってしまうケースです。窯の密閉性や燃料の量、空気の供給量を適切にコントロールする必要があります。


電気窯では基本的に酸化焼成になります。還元焼成を試したい場合は、ガス窯灯油窯を使うか、還元剤を釉薬に添加する方法があります。


ただし還元剤の使用は上級テクニックですね。


鉄釉の代表的な種類と用途

鉄釉にはさまざまな種類があり、それぞれ独特の美しさと用途があります。


ここでは代表的な鉄釉を紹介しますね。


天目釉は、最も有名な鉄釉の一つです。15~20%の高濃度の鉄分を含み、還元焼成で深い黒色に発色します。中国の宋時代に完成された技法で、茶碗などに使われます。表面に油滴や曜変と呼ばれる虹色の斑点が現れることもあります。
飴釉は、5~10%程度の鉄分を含み、酸化焼成で温かみのある茶褐色に発色します。民芸陶器によく使われ、素朴で親しみやすい雰囲気を持っています。食器類に適していて、日常使いしやすいですね。
鉄赤(てつあか)は、酸化焼成で鮮やかな赤褐色を発する釉薬です。


弁柄(べんがら)とも呼ばれます。


和食器や花器に使われることが多く、華やかな印象を与えます。


柿釉は、飴釉に似ていますが、より赤みを帯びた柿色に発色します。これは鉄分の濃度と焼成温度の微妙な調整によって生まれます。
黒天目は、天目釉の中でも特に黒色が濃いものを指します。完全な漆黒を目指す場合は、鉄分を20%以上にすることもあります。ただし鉄分が多すぎると釉薬が溶けにくくなるため、調整が難しいんです。
用途別に選ぶなら、日常食器には飴釉、茶道具には天目釉、装飾的な花器には鉄赤が適しています。それぞれの特性を理解して選ぶことが大切です。


鉄釉作品の失敗例から学ぶ成功のコツ

鉄釉の扱いには独特の難しさがあり、初心者は失敗しやすいポイントがいくつかあります。実際の失敗例から、成功のコツを学びましょう。


最も多い失敗は「ピンホール」です。釉薬表面に針で刺したような小さな穴ができてしまう現象ですね。これは釉薬内部のガスが抜けきらずに残ることで起こります。対策としては、素焼きを十分に行い、釉薬を薄く均一にかけることが基本です。


「釉薬の流れ落ち」も頻繁に起こります。高温で釉薬が溶けすぎて、作品の底部に溜まったり、棚板に張り付いたりします。これを防ぐには、釉薬を厚くかけすぎないこと、底部から1cm程度は釉薬をかけないことが原則です。


「発色のムラ」は、釉薬のかけ方が不均一だったり、焼成時の温度分布が偏っていることが原因です。釉薬は2~3回に分けて薄くかけ重ねると、均一な厚みになります。


窯の中での配置も考慮すべきですね。


「期待した色が出ない」という失敗は、還元焼成の調整ミスが多いです。還元が不十分だと茶色になり、還元しすぎると金属光沢が出すぎます。初めての釉薬を使う場合は、必ずテストピースで試し焼きをすることをおすすめします。


「釉薬の剥がれ」は、素地と釉薬の収縮率が合わないことで起こります。特に鉄分の多い釉薬は収縮率が大きくなりがちです。素地の土と釉薬の相性を確認することが必須です。


成功のカギは、適切な配合、均一な施釉、正確な温度管理の3つです。


これらを意識すれば、失敗は大幅に減ります。


最初は既製の釉薬を使い、慣れてから自分で調合するのも良い方法ですね。


鉄釉の色味を調整する添加物と配合比率

鉄釉の発色をコントロールするには、他の金属酸化物を添加する方法があります。微妙な色調の変化や、独自の表現を生み出すことができるんです。


コバルト(CoO)を少量添加すると、青みを帯びた黒色になります。


添加量は0.1~0.5%程度で十分です。


天目釉に深みを出したい場合に有効ですね。


銅(CuO)を加えると、還元焼成で赤銅色の斑点が現れることがあります。


添加量は1~3%が目安です。


ただし銅は揮発しやすいため、窯の換気に注意が必要です。


マンガン(MnO₂)は、紫褐色の発色をもたらします。2~5%の添加で、鉄釉に深みと複雑さが加わります。飴釉に少量加えると、アンティーク調の落ち着いた色になります。


クロム(Cr₂O₃)は緑色を発色させますが、鉄釉との組み合わせでは茶緑色になることが多いです。


0.5~2%程度の添加で効果が出ます。


配合比率を変える際は、必ず少量でテストすることが原則です。添加物は少量でも劇的に発色が変わるため、慎重に調整する必要があります。


記録を残しておくと、再現性が高まりますね。


市販の釉薬に自分で添加物を加える場合は、まず100gの釉薬に対して0.1g(小さじ1/4程度)から試すのが安全です。一度に大量に加えると、取り返しがつかなくなることもあります。


専門書やオンラインの陶芸フォーラムで、他の陶芸家の配合レシピを参考にするのも良い方法です。ただし窯の種類や焼成条件で結果は変わるので、あくまで参考程度にとどめてください。




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