冷却速度計算で陶芸作品の割れを防ぐ方法

陶芸作品が窯から出すときに割れてしまった経験はありませんか?実は冷却速度の計算ミスが原因かもしれません。温度管理と冷却の最適化で美しい作品を完成させる秘訣とは?

冷却速度と計算の基本

600℃から500℃の急冷は作品を割ります。


この記事のポイント
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冷却速度の計算方法

窯焚き時間と同じ時間をかけて冷却することで割れを防止

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危険な温度帯

600℃~500℃の急冷は石英を含む厚い素地にクラックを発生させる

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最適な温度上昇

1時間に100℃のペースで温度管理すると失敗が減る

陶芸作品の焼成では、温度を上げるだけでなく冷却速度の管理も極めて重要です。冷却速度が速すぎると製品内の温度が急激に変化し、不均一な応力分布を招いてクラックにつながります。逆に冷却速度が遅すぎると生産効率が低下し、コスト面で不利になります。


参考)https://blog.goo.ne.jp/meisogama-ita/e/ad992b3645652310e467c21890708985


適切な冷却速度を確保するためには、計算に基づいた温度管理が必要です。昔から「窯を冷ます時間は、窯焚きに要した時間と同じにする」と言われており、これが基本原則となります。


窯の構造、大きさ、壁の厚さ、作品の量によって冷える速度は異なるため、それぞれの窯に合わせた計算が求められます。つまり一律の数式ではなく、環境に応じた調整が基本です。


冷却速度の計算に必要な温度範囲


陶芸の冷却で最も注意すべき温度帯は600℃から500℃の間です。この温度範囲を急冷すると、石英が多く肉が厚い素地は「割れ」を起こします。


具体的には、素焼きに8時間かけた場合、冷却にも同程度の時間を確保するのが安全です。素焼きの場合は比較的早く冷却しても問題ありませんが、本焼きでは慎重な温度管理が必要になります。


参考)陶芸について教えてください。電気釜を使用するのですが、ずっと…


温度計で窯内の温度を記録しながら、グラフに時間と温度の関係を書き込むことで、冷却速度のパターンを把握できます。実際の窯の温度は温度計の表示よりも100℃ほど低いことが多いため、この点も計算に入れる必要があります。


参考)陶芸はなぜ時間がかかるのか?「早くしろ!」と言いたい忙しい方…


冷却速度を遅くするには、熱容量の大きな作品や耐火煉瓦棚板などを傍に置く方法があります。棚板を二枚重ねにすることで、周囲の熱容量が増え、ゆっくりとした冷却が実現します。


参考)https://blog.goo.ne.jp/meisogama-ita/e/7ef69240a42be6a4f90da2ece5877360


冷却速度の計算式と温度上昇の関係

温度上昇のペースは1時間に100℃が標準的です。これは素焼きにも本焼きにも共通する基本的な速度設定です。


計算の基本は「昇温時間=冷却時間」という等式です。8時間かけて温度を上げた場合は、8時間かけて冷ます計算になります。スタートして10分ほどで100℃を超えることもありますが、実際の窯内温度は表示よりも低いため問題ありません。


温度を急いで上げてしまうと中の作品が割れるため、焦らず計画的な温度管理が求められます。


窯の容量が大きいほど冷却速度は遅くなり、壁の厚みも大きく関係してきます。小型の窯では自然冷却だと早く温度が下がるため、燃料や電気を減らしながら点火したまま温度を徐々に下げる方法もあります。


冷却速度と釉薬の発色計算

釉薬の種類によって最適な冷却速度が異なります。結晶釉を使う場合には、ある温度を保持しながらゆっくり窯を冷やし、結晶を成長させる必要があります。


志野釉はゆっくりと冷ますことで、淡雪のような美しい白さが生まれます。早く冷める窯では透明釉のようになってしまい、志野特有の風合いが失われます。


参考)自前の窯場でこだわり作陶 冷却と再加熱


黄瀬戸徐冷が適しており、徐冷により結晶が析出して油揚手のようなきれいな発色になります。逆に急冷した方が良い発色をする釉薬も存在するため、使用する釉薬の特性を理解した上で冷却速度を計算する必要があります。


クリストバライトの検出は焼成後の冷却速度が急冷であったことを示すため、科学的な分析からも冷却速度の影響が確認できます。徐冷の温度範囲や時間は釉の成分によって差があるため、それぞれに合わせた計算が重要です。


参考)https://geidai.repo.nii.ac.jp/record/2000278/files/3.%20ronso_19_p27-36_TAKADA.pdf


冷却速度を調整する除冷と急冷の違い

冷却方法には自然冷却、除冷、急冷の3種類があります。


自然冷却の特徴

  • 「ならし焚き」後に燃料や電気を断ち、窯が自然に冷えるのを待つ方法です
  • 窯の構造、大きさ、壁の厚さ、作品の量により冷える速度が異なります
  • 最もシンプルで失敗が少ない方法といえます

除冷の特徴

  • 燃料や電気を全て断つのではなく、一部残しながら冷えるスピードを遅くします
  • 結晶が成長する温度付近で一定温度を保持するか、少しずつ温度を下げます
  • 所定の温度まで自然冷却した後、再度点火して温度を保持する方法もあります

急冷の特徴

  • 楽焼に多い方法で、釉が十分溶けたら窯の中から火箸で挟んで引き出します
  • 特殊な焼成方法であり、一般的な陶芸作品には適しません

冷却速度の調整には、KPI(重要業績評価指標)を設定し定量的に測定することが推奨されます。冷却速度の他、温度均一性や製品のひび割れ率などのパラメータを含めることで、より精密な管理が可能になります。


参考)陶磁器製品でのクラック防止技術:冷却速度の最適化|newji


冷却速度計算で防げる失敗事例

窯焚き中に「パキッ」という音が聞こえることがあります。これはレンガが割れてヒビが入る音で、窯を購入したときに「焼くと必ずヒビが入りますが問題ありません」と説明されます。


冷め割れは、600℃から500℃の間を急冷することで発生します。石英が多く肉が厚い素地は特に注意が必要です。


焼成によって縮む率は生素地から12~13%程度が一般的ですが、素地の組成や焼成温度により差が出ます。最大でも20%以下の収縮率となるため、この範囲内であれば正常です。


急いで焼成すると失敗するため、1時間に100℃の速さを守ることが割れないコツです。温度をゆっくり上げないといけない箇所は300℃くらいまでで、始めはゆっくりと上げます。


冷却速度を間違えると、せっかく時間をかけて作った作品が台無しになります。陶芸教室では作品が焼き上がって受け取るまでに1ヶ月ほどかかることが多いですが、これは適切な乾燥時間と冷却時間を確保するためです。


温度計でグラフを記録し、時間と温度の関係を可視化することで、次回以降の焼成計画に活かせます。窯ごとに最適な冷却速度は異なるため、記録を蓄積して自分の窯の特性を理解することが重要です。


陶磁器製品でのクラック防止技術の詳細(冷却速度最適化の実践的手法)
燃焼のメカニズムと冷却の関係(陶芸専門ブログ)




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