酸化コバルト1%でも6秒以上漬けると釉は逆に薄くなります。
瑠璃釉は深い青色を発色する代表的な色釉です。基本的な調合は、長石を主体に灰を加え、そこに酸化コバルトを外割で混ぜます。
参考)https://www.scn-net.ne.jp/~k-kiraku/99_blank012.html
最もシンプルな配合例は、釜戸長石70%に合成土灰30%を混ぜ、酸化コバルト1%を外割で添加する方法です。外割とは、基礎釉100に対して別途添加する計算方法を指します。
この比率が基本になります。
参考)Redirecting to https://www.shi…
別の調合例では、釜戸長石68~60%、木灰32~40%という範囲も報告されています。灰の比率を高めると釉薬の流動性が増すため、窯の温度や作品の形状に合わせた微調整が必要です。
酸化コバルトの添加量は0.75~2%の範囲で調整されます。1%未満では淡い青、2%では濃紺に近い発色になるため、狙う色調によって調整してください。
長石の種類も発色に影響します。福島長石65%、合成土灰25%、カオリン10%に酸化コバルト1%外割という配合も透明感のある深い青を実現します。
釉薬の濃度管理は仕上がりを左右する重要な要素です。ボーメ比重計で測定し、40~50度の範囲に調整するのが一般的です。
参考)[陶芸の専門店]陶芸.com 釉薬との上手な交際術陶芸用品・…
濃度が濃すぎると焼成時に収縮して釉とびが発生します。反対に薄すぎるとムラが出やすく、艶も不十分になります。
測定は必ず攪拌直後に行ってください。
参考)釉薬の調合
施釉の時間も厳密に管理します。
釉に漬ける時間は3~5秒が基準です。
この短時間で釉の厚みが決まります。時間を延ばせば厚く掛かる理屈ですが、6秒以上になると逆に薄くなります。
素地が水分を吸いすぎるためです。
釉薬の攪拌は気泡が入らないよう慎重に行います。気泡が混入すると焼成後にピンホールとなって表面を荒らします。沈殿した釉は使用前に必ず均一に混ぜ直してください。
釉の厚掛けもトラブルの原因です。厚すぎると釉ダマリができてムラになり、薄すぎても発色が弱まります。生素地片に試し掛けして厚みを確認する習慣をつけると失敗が減ります。
陶芸ショップの釉薬トラブル対策ガイド - 濃度調整と施釉の実践的アドバイスが記載
酸化コバルトは強力な着色剤です。
添加量のわずかな差が発色を大きく変えます。
0.75%では明るい瑠璃色、2%では濃紺に近づきます。
粒子の細かさも発色に影響します。ボールミルで十分に磨ると均一な発色が得られます。荒い粒子のままだと釉中に濃淡のムラが生じやすくなります。
酸化コバルト単独ではなく、酸化マンガンを併用する調合例もあります。酸化コバルト0.75%に酸化マンガン2.0%を加えると、青色に深みが増します。
色調に変化をつけたい場合の選択肢です。
添加剤の計量は正確に行ってください。
1%の誤差でも色味が変わります。
デジタルスケールで0.1g単位まで測定すると安定した結果が得られます。
素地の鉄分も発色に関与します。鉄分の多い素地では青色がくすむ傾向があります。白い素地や化粧土を施した上に瑠璃釉を掛けると、鮮やかな青が際立ちます。
瑠璃釉の適正焼成温度は1230~1250℃です。
この温度帯で深い青色が発色します。
温度が低すぎると釉が溶けきらず、艶が出ません。
参考)ご質問陶芸釉薬酸化なまこ釉を施釉して電気釜1230度にて焼成…
電気窯での酸化焼成が基本ですが、還元焼成も可能です。ただし還元の掛かり具合で色調が変化するため、窯の癖を把握する必要があります。
参考)icatmini
最近の焼成で瑠璃色ではなく茶色く発色する事例が報告されています。これは温度不足や酸化雰囲気の不均一が原因と考えられます。
焼成記録を取って条件を特定してください。
温度が高すぎると釉が流れ落ちます。1250℃を超える場合は、珪石を1~2割追加して釉の耐火度を上げる調整が有効です。
参考)二度目の本焼き、失敗集。 : 作陶日記 - つぐみ製陶所だよ…
冷却速度も発色に影響します。急冷すると貫入が入りやすく、徐冷すると安定した釉面になります。作品の意図に合わせて冷却方法を選択してください。
滋賀県信楽窯業技術試験場の伝統釉薬研究報告 - 瑠璃釉の焼成データと配合例を掲載
実際の調合で起きやすいトラブルと対策を紹介します。釉が溶けきらない失敗は、調合比率と焼成温度の不一致が主因です。
テストピースで調合を確認せず本焼きすると失敗率が上がります。文献の調合をそのまま使っても、使用する原料の産地や粒度が違えば結果も変わります。
合成土灰や合成藁灰を石灰や珪石で代用する場合も注意が必要です。計算だけで調整せず、必ずテスト焼成してください。成分が近くても溶融特性が異なる場合があります。
材料の仕入先が変わると粒子の粗さが変化します。粗い材料では溶けきらない可能性が高まるため、ボールミルでの磨砕時間を延ばす対応が必要です。
釉の相性問題もあります。瑠璃釉と唐津釉を重ね掛けしたら両方とも溶けなかった事例が報告されています。重ね掛けする場合は、それぞれの釉の溶融点を確認してください。
ベンガラを追加すると溶けやすくなる性質があります。溶融不足の瑠璃釉には、鉄分の多い顔料を少量添加して再テストする方法も有効です。ただし色調が変わるため、目的に応じて判断してください。
泰雅庵の釉薬トラブル事例集 - 施釉から焼成までの実践的な失敗回避策を解説