柞灰釉薬の特徴と調合、天然灰と合成灰の違い

柞灰釉薬は陶芸でよく使われる天然灰ですが、合成灰との違いや調合方法、焼成温度による発色の変化など、知っておくべきポイントがあります。初心者が失敗しやすい理由とは?

柞灰釉薬の特徴と調合

天然柞灰は初級者が使うと失敗します。


この記事のポイント
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天然柞灰の特性

イスノキを焼いた天然灰で、微量の鉄分を含み柔らかな発色が特徴

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調合の基本

長石と柞灰を7:3の割合で混ぜるのが基本配合

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焼成条件

還元焼成で天然灰ならではの奥深い雰囲気が出る

柞灰釉薬とは何か


柞灰釉薬は、柞(イスノキ)を燃やして作った灰を水簸(水洗い)処理した天然灰原料です。染付釉や灰釉系統の調合に広く使用され、陶芸作家やプロの窯元に愛用されています。天然の柞灰には微量の鉄分が含まれており、これが焼き上がりにやわらかな雰囲気を生み出す要因となっています。


参考)301 Moved Permanently


合成柞灰と比べると、天然柞灰は成分が常に安定しないという特性があります。


これは天然素材ならではです。


しかし、この不安定さが予測できない窯変や独特の発色を生み、作品に深みを与えるのです。


参考)https://shopping.geocities.jp/yobi/column/tojiki/sometsuke.html


天然灰には鉄分が若干含まれるため、木灰仕立ての釉薬は意外な焼き上がりを楽しめます。構成成分の粒子が不揃いなケースもあるので、使用前に乳鉢かポットミルで良く擦る必要があります。


参考)木灰・ワラ灰|陶芸.com|陶芸の専門店 陶芸用品・陶芸機材…


柞灰釉薬の調合方法と配合比率

基本的な柞灰釉薬の調合は、福島長石と天然柞灰を7:3(重量比)で混ぜ合わせる方法が一般的です。釉薬の調合はできる限り単純な方が良く、いろんな原料を混ぜ合わせすぎると、絵具の色を混ぜると灰色になるのと同様に、特徴が失われます。


参考)20 釉薬の調合 : 小川哲央の窯ぐれ随筆


昔の釉薬作りは基本的に長石と灰を混ぜて作られていました。


つまり長石と灰だけで十分です。


こうしたシンプルな釉薬は素朴で使っていて飽きがきません。


参考)【薬剤師×陶芸】薪ストーブの灰で釉薬つくってみたよ!|会喜地…


外割で各種顔料や酸化金属を10%添加すると、発色のバリエーションを増やすことができます。ただし添加しすぎると本来の柞灰の特性が損なわれるので注意が必要です。テスト焼成で自分好みの釉調になる諸条件を試した上で本焼きに利用するのが原則です。


参考)[陶芸の専門店]陶芸.com 柞灰透明釉 1kg 天然灰 窯…


天然柞灰と合成柞灰の違い

天然柞灰と合成柞灰の最大の違いは成分の安定性と鉄分含有量にあります。合成柞灰は天然灰の成分を分析し人工的に作られたもののため、成分が常に安定しています。一方、天然柞灰は成分が常に安定しませんが、その不安定さこそが窯変の魅力となります。


参考)特選柞灰1㎏(とくせんいすばい) 陶磁器の釉薬専門店|岐阜県…


酸化焼成でも合成灰に比べて違いは出ますが、還元焼成の方が天然灰ならではの雰囲気が出ます。


これは鉄分の影響です。


天然柞灰は微量の鉄分を含むため、焼き上がりの雰囲気がやわらかくなり、合成灰では得られない温雅な発色をします。


価格面でも違いがあり、天然柞灰は採取と処理に手間がかかるため、合成柞灰よりも高価になる傾向があります。しかし、天然灰の釉薬は不安定で扱いにくい反面、それ故の奥行きや意外性のおもしろさがあるのです。


柞灰釉薬の焼成温度と発色の関係

柞灰釉薬の推奨焼成温度は1280℃が一般的です。酸化焼成・還元焼成の両方に対応していますが、焼成方法によって発色が大きく変わります。熔融範囲が広く、酸性炎・還元炎及び中性炎の違いによって、それぞれ温雅な発色をする特性があります。


還元焼成では天然灰ならではの深みのある雰囲気が出ます。どういうことでしょうか?還元焼成は窯内の酸素を少なくして焼く方法で、これにより鉄分が独特の発色を見せるのです。


釉掛量の目安は薄め(0.7mm~0.8mm厚を普通として)で、厚くかけすぎると流れたり、期待した発色にならないことがあります。このシリーズの釉薬は釉薬に関する基礎知識や焼成に関する深い知識を持った方が諸条件を合わせて使えば、他では得られない奥行きと味わい深い作品を得ることができますが、初級~中級者には扱いが難しく失敗が多くなります。


松灰と柞灰の発色の違い

木の種類によって灰に含まれる成分が異なるため、焼成時の発色は様々です。松灰を使った釉薬と柞灰を使った釉薬で色が違うのは、含まれる鉄分の量が大きく関係しています。


参考)釉薬について|萩のうつわ


松の木は地中から鉄分を多く吸い上げる性質があるため、松を燃やすと鉄分の多く含まれた灰が採れます。松灰を使ったビードロ釉は緑の発色で、これは鉄分によるものです。


参考)https://www.ne.jp/asahi/yasuhiko/hayashi/tsudanuma/tougei-question/157kaiyu-tigai.htm


一方、染付けの釉薬に使われるのは柞灰で、これは松灰よりも鉄分が少ないためです。柞灰より溶けにくい天然灰として樫灰もあり、樫灰も鉄分約1%程度含んでいます。使う木の種類としては雑木の柞・樫などと、藁があり、藁灰は白釉に使用されます。


陶芸初心者が柞灰釉薬で失敗しないコツ

最近の釉薬は初心者でも濃い目に発色するように調整されたものが多くなっていますが、天然柞灰を使った釉薬は扱いが難しいという特徴があります。失敗のリスクを減らすには、まずテスト焼成が必須です。


テスト焼成で自分好みの釉調になる諸条件を試みた上で本焼きに利用するのが基本です。一度に大量の作品に施釉せず、小さなテストピースで温度や釉掛量、焼成雰囲気を確認しましょう。


成分の粒子が不揃いのケースがあるため、必ず乳鉢かポットミルで良く擦ってから使用することが重要です。


これを怠ると施釉ムラが発生します。


また、天然灰は成分が安定しないため、同じ配合でも入手時期によって発色が変わる可能性があることを理解しておく必要があります。


初心者が最初から天然柞灰に挑戦するよりも、まず市販の調合済み釉薬で基礎を学び、釉薬の扱いや焼成に慣れてから天然灰に移行する方が失敗は少なくなります。奥行きと味わい深い作品を得られるのは、知識と経験があってこそです。


カネアツ釉薬の特選柞灰商品ページでは、天然柞灰の詳しい使用方法や特性について専門的な解説が掲載されています。
陶芸.comの柞灰透明釉ページでは、推奨焼成温度や釉掛量の目安など、実践的な情報が得られます。




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