禾目天目 調合から焼成まで初心者が知るべき失敗を防ぐ方法

禾目天目を自分で作りたいと考えている方へ、釉薬の調合と焼成条件について詳しく解説します。調合の基本配合から、温度管理のコツ、失敗の原因まで網羅的に紹介していますが、あなたはどの情報を最も重視しますか?

禾目天目 調合

調合を精密にしても禾目模様は出ません

この記事の3つのポイント
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禾目天目の調合は窯変前提

理論値通りの調合では禾目模様は発色せず、窯の温度変化による偶発的な窯変が必須

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焼成条件が成否を分ける

1270℃付近での温度キープと冷却速度の調整が、鉄結晶の流下パターンを左右する

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土の選定も重要な要素

建窯付近の土や鉄分を含む赤土を使うことで、調合の難易度を大幅に下げられる

禾目天目 調合の基本配合と成分比率


禾目天目の調合では、鉄釉を基本とした黒色釉薬を一度だけ浸し掛けして施釉します。中国の建窯で発表された成分分析を元にした理論値では、福島長石珪石石灰石などの基本原料に5〜6%の酸化第二鉄を加える配合が知られています。


参考)http://nessho.o.oo7.jp/tyougourei.html


しかし、理論値通りに調合しても禾目模様を発色させることは非常に困難です。どういうことでしょうか?
参考)http://kumagaitouryou.seesaa.net/article/295516826.html


禾目天目は焼成中の窯内の温度変化で予期せぬ窯変現象が起きることで模様が生まれる偶発的なものだからです。特に昔の窯は温度コントロールや釉薬の調合が難しく、特定の模様を狙って作ることは困難でした。


参考)天目茶碗の見どころと鑑賞ポイントを解説|美術館の予習や鑑定に…


調合計算よりも、液相分相する性質を持つ岩石か鉄分を多く含む赤土を探す方がはるかに現実的です。建窯窯跡付近の土を使えば、通常の茶色の禾目天目釉は比較的容易に作れます。


参考)http://retech.seesaa.net/article/49669968.html


📊 基本調合例の比較

原料名 配合比率(%) 役割
福島長石 55〜65

ガラス化
参考)自前の窯場でこだわり作陶 油滴天目秞と禾目天目秞

珪石 24前後 粘性調整
石灰石 4〜5 融剤
酸化第二鉄 5〜6 発色剤
滑石(マグネシア源) 6前後 結晶促進

禾目天目の窯変を起こす焼成温度と冷却条件

禾目天目の特徴的な縦縞模様は、焼成中に釉薬に含まれる酸化鉄の結晶が浮き出て、溶けて流れ落ちることで生まれます。この現象を引き起こすには、1270℃付近での温度管理が重要です。


参考)自前の窯場でこだわり作陶 冷却の要領


焼成は酸化焼成で進め、最高温度の1270℃に達したら還元を開始して30分キープします。その後1000℃まで4時間かけて冷却還元を行うと、鉄結晶が適切に流下して禾目模様が現れやすくなります。


冷却速度が速すぎると結晶が十分に成長せず、遅すぎると結晶が過度に流れて模様が不明瞭になります。つまり冷却のタイミングが成否を決めるということですね。


還元焼成にすると禾目の出方が薄くなる傾向があります。これは釉薬中の鉄分の状態が変化するためで、濃い禾目模様を得たい場合は酸化焼成を基本としつつ、最高温度付近でのみ還元を加える方法が効果的です。


冷却条件と釉薬発色の関係について詳しい実験データ

禾目天目 調合で避けるべき失敗原因

禾目天目の調合で最も多い失敗は、気泡によって釉薬表面が凹んだまま固まってしまうケースです。これは釉薬にマグネシウムが入ると釉が粘稠になり、気泡が多く出るためと考えられています。


気泡の問題は使用する土との相性にも左右されます。電気窯で酸化焼成する場合、新柳北進のN白土のような白色土では気泡が出やすい傾向があります。


参考)油滴天目、失敗作。 : 作陶日記 - つぐみ製陶所だより


コバルトの添加量も注意が必要です。油滴天目の調合例では、コバルトが1%で十分黒くなりますが、5%も加えると結晶の大きさが小さくなってしまいます。


これは禾目天目にも当てはまります。



💡 よくある失敗パターン

  • 気泡による表面の凹み → マグネシア量を減らす
  • 褐色になって黒くならない → 鉄分またはコバルト不足
  • 結晶が小さすぎる → コバルト過多、または温度不足
  • 模様が流れすぎる → 冷却速度が遅すぎる

禾目天目と油滴天目の調合の違い

禾目天目と油滴天目は同じ黒釉(鉄釉)を一度施釉して焼成する点では共通していますが、調合と焼成条件に重要な違いがあります。


参考)禾目天目・油滴天目・曜変天目の違いと特徴


油滴天目は石灰・マグネシア釉を基本とし、天目釉の石灰分の約6割をマグネシウム分に置き換えると油滴の発達が良くなります。具体的には福島長石65.30%、石灰石4.27%、煆焼滑石6.41%、珪石24.02%に5〜6%の酸化第二鉄を加える配合です。


禾目天目では油滴のように結晶がその場に留まる必要はありません。むしろ結晶が流下することで縦縞の模様が生まれるため、釉薬の粘性を油滴天目ほど高める必要はないということですね。


珪酸分のSiO2を5.5〜6.0と多くし、アルカリ分のMgOを0.2〜0.4と調整すると油滴天目に適した粘性が得られます。禾目天目の場合はこの値をやや低めに設定します。


参考)自前の窯場でこだわり作陶 油滴天目釉の調合事例(その2)


酸化焼成と還元焼成の選択も異なります。酸化焼成の油滴天目は釉薬の調合が適切であればきれいに仕上がりますが、還元焼成の油滴天目は焼成方法の影響が大きく難しくなります。禾目天目は酸化焼成を基本としつつ、最高温度で短時間還元を加える方法が一般的です。


建窯の土を使った禾目天目 調合の簡略化

理論的な調合計算から禾目天目を作るのは極めて困難ですが、建窯付近の土や特定の性質を持つ土を使うことで大幅に簡略化できます。


南平の土や建窯窯跡付近の土に灰を混ぜるだけで、通常の茶色の禾目天目釉を作ることができます。これらの土には元々鉄分やマグネシア、マンガンなどが含まれており、油滴の色彩や艶を深める効果があります。


日本国内で入手できる材料では、鉄分を多く含む赤土が代替として使えます。液相分相する性質を持つ岩石を探すのも有効な方法です。


土の選定が決まれば調合はシンプルになります。基本的には選んだ土に木灰や藁灰を10〜20%混ぜ、必要に応じて長石や珪石で融点を調整するだけで済みます。これは初心者にとって格段に取り組みやすいアプローチですね。


建窯付近の土を使った禾目天目の実験記録
土ベースの調合では、複数の産地の土を少量ずつテストピースで試すことが成功への近道です。一度適した土を見つければ、安定して禾目模様を再現できるようになります。




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