実は野菜からの亜硝酸摂取量が加工肉よりはるかに多い
亜硝酸ナトリウムは、ハムやソーセージ、いくら、たらこなどに使用される発色剤です。食品の色を鮮やかに保つだけでなく、ボツリヌス菌をはじめとする多種類の細菌の生育を抑え、食品の腐敗を防止する働きを持っています。見た目の美しさだけでなく、食品の安全性を守る重要な役割を担っているということですね。
参考)Q&A詳細
化学物質としては劇物指定を受けているものの、食品添加物として一定基準内の微量を使用することは厚生労働省が認可しており、古くから加工肉製造の際の「塩せき」に食塩とともに使用されています。
参考)『食べてはいけない「国産食品」実名リスト』⇒「不正確(レベル…
亜硝酸ナトリウムは、畜肉に含まれる筋肉色素であるミオグロビンや血色素のヘモグロビンに作用し、加熱や酸化による変色を防ぎ、食品の赤色を保ちます。この作用によって、加工肉製品は時間が経っても黒ずむことなく、美しい赤色を維持できるわけです。
参考)https://www.mrso.jp/colorda/lab/3368/
ただし、一方でアミノ酸の分解物と化合して発がん性物質を生成する可能性が指摘されており、使用量が制限されています。つまり安全性と機能性のバランスが求められる物質です。
食品衛生法では、食肉製品で用いられる亜硝酸根残存量は70ppm(1kgに対して0.07g)以下と定められています。人の健康を損なう恐れがない量の使用基準が設定されているということですね。
FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)が設定したADI(1日摂取許容量)は、亜硝酸根として体重1kgあたり0~0.07mg/日です。これを体重で計算すると、体重30kgの子どもの場合は1日2mgまで、体重10kgの子どもであれば0.6mgが許容量となります。
具体的にどういうことかというと、最大限の亜硝酸ナトリウムを含有しているハムやソーセージの場合、体重10kgの子どもはわずか10gで基準値を超える量を摂取してしまう計算になります。
はがき半分ほどの量ですね。
ただし、毎日最大含有量の製品を食べ続けることは現実的ではないため、ただちに健康に悪影響を及ぼすことはないとされています。それでも日々の積み重ねを考えると注意が必要です。
亜硝酸ナトリウムは、硝酸ナトリウムとともに、チーズ、清酒、食肉製品及び鯨肉ベーコンに使用が認められています。これ以外の食品への使用は禁止されているということです。
参考)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000192871.pdf
亜硝酸ナトリウム自体に発がん性があるわけではありません。問題は肉や魚卵に含まれるアミン類に反応することで生成される化合物の「ニトロソアミン類」に発がん性があることです。この物質はIARC(国際がん研究機関)が定める「グループ2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)」に分類されています。
参考)発がん性物質が含まれる食品一覧!がんを遠ざけるための対策も解…
2級アミンは肉や魚に必ずといっていいほど含まれているため、亜硝酸ナトリウムを摂取するとほとんどの場合、発がん性物質ができる可能性があります。つまり、加工肉を食べること自体がリスクになりうるということですね。
参考)亜硝酸ナトリウム
しかし、JECFAの評価では、1995年及び2002年の評価において、ヒトの摂取と発がんリスクとの間に関連があるという証拠はないとされています。つまり、理論上のリスクと実際の健康被害は別問題ということです。
食品由来の亜硝酸イオンによって、ヒトの健康に悪影響を及ぼしているという科学的知見がないことから、添加物として使用される亜硝酸ナトリウムが人の健康に悪影響を与えているという知見は得られていません。
意外なことに、食卓において実際に人が日常摂取する亜硝酸というものはほとんど野菜からのものなのです。野菜には自然に硝酸塩が含まれており、これが体内で亜硝酸に変換されます。そのため、加工肉だけを避けても亜硝酸の摂取をゼロにすることはできません。
意外と知られていないことですが、亜硝酸ナトリウムにはボツリヌス菌の繁殖を抑制する働きがあります。ボツリヌス菌は人に対する毒性が高く、食中毒の原因になる危険な細菌です。
参考)https://pantry-lucky.net/blogs/column/sodiumnitrite
ボツリヌス菌は食品内でボツリヌス毒素を作り出し、食中毒を引き起こします。この恐ろしい細菌をほぼ100%抑えることができる防腐剤こそが亜硝酸ナトリウムだったのです。
亜硝酸ナトリウムの開発によって、燻製腸詰めによるボツリヌス食中毒は劇的に姿を消したといわれています。つまり、この添加物は人命を救ってきた歴史があるわけです。
亜硝酸ナトリウムは防腐剤としても働き、ボツリヌス菌の繫殖を抑えることにより食品の安全性を高め、食品の消費期限を長くすることにも寄与しています。これは見た目の問題だけではなく、食品安全上の必要性から使用されているということですね。
ハムソーセージ製造業者によると、亜硝酸塩を添加することによってボツリヌス菌だけではなく、その他の細菌の繁殖を抑える効果もあるそうです。
総合的な防腐効果が期待できます。
参考)亜硝酸塩とボツリヌス菌 – 本音のリサイクル 環…
このように、亜硝酸ナトリウムには発色以外にも重要な役割があることを知っておくべきです。発がん性リスクと食中毒リスクのどちらを優先するかという判断が求められる場面もあるでしょう。
陶芸の世界では、亜硝酸ナトリウムは主に染料や発色剤として使用されます。医薬原料、合成中間体、写真薬、染料、発色剤などが一般的用途として挙げられています。
参考)http://www.st.rim.or.jp/~shw/MSDS/19503150.pdf
陶芸材料の性質として、基本的に陶芸材料は化学薬品であるため注意深く取り扱う必要があります。絶対安全というわけではなく、「安全性のデータがない」というものも数多く存在します。陶芸愛好家が知っておくべき重要なポイントです。
参考)http://igloss.web.fc2.com/cray/pcp.htm
亜硝酸ナトリウムは化学物質として劇物に指定されており、致死量は約2gと言われています。高濃度の溶液を飲むと中毒症状を起こし、頭痛や吐き気、チアノーゼ、意識障害や痙攣などを発症します。ただし、皮膚接触での刺激は弱いとされています。
労働安全衛生法では、令和7年4月1日以降、名称等を表示すべき危険物及び有害物として政令番号第36号「亜硝酸ナトリウム」が該当し、対象重量%は≧1となっています。職場での取り扱いには表示義務があるということですね。
陶芸材料を扱う際は、直接手で触れない、口に入れない、作業後は必ず手を洗うなどの基本的な安全対策が必要です。特に粉末状の材料は吸入しないよう注意が必要でしょう。換気の良い場所で作業し、マスクや手袋を着用することをおすすめします。
過去には陶磁器の黒色袖下顔料に呈色剤として酸化ウランが使われていた例もあります。陶芸材料には様々な化学物質が使用されてきた歴史があるため、現代の安全基準を理解しておくことが大切です。
亜硝酸ナトリウムの摂取を減らしたい場合、最も直接的な方法は発色剤無添加の加工肉製品を選ぶことです。楽天市場では「ソーセージ 発色剤不使用」で280件以上の商品が販売されています。無添加商品が意外と豊富に揃っているということですね。
発色剤無添加の製品は、色が黒ずみやすく、保存期間が短くなる傾向がありますが、安全性を重視する方にとっては良い選択肢です。購入後は早めに消費し、適切に冷蔵保存することが必要です。
また、野菜の色素成分を活用する方法もあります。野菜や果物のカラフルな色は、そのほとんどが「ファイトケミカル」と呼ばれる天然の化学物質によるものです。赤色にはトマトのリコピン、緑色にはほうれん草のクロロフィル、紫色には紫芋のアントシアニンなどがあります。
参考)野菜の色素成分ファイトケミカルとは?赤・緑・黄・紫の健康機能…
合成着色料の代用として、国産野菜パウダー専門店「nacona」では、ほうれん草・にんじん・かぼちゃ・ブロッコリー・紫芋など17種類の野菜パウダーを取り揃えています。料理やお菓子作りで天然の色素を使いたい場面で活用できます。
参考)おかし作りや料理に使える合成着色料の代わりになるもの代用品
さらに意外な事実として、JECFAは「野菜を摂取することの利点はよく知られており、野菜から摂取する硝酸塩の量を一日摂取許容量と直接比較することや、野菜中の硝酸塩量を限定することは適切でない」と評価しています。つまり、野菜由来の硝酸塩は健康リスクより健康メリットの方が大きいということです。
亜硝酸ナトリウムが気になる方は、加工肉の摂取頻度を週1~2回程度に抑え、その分、新鮮な肉や魚、野菜を中心とした食事を心がけることが現実的な対策といえるでしょう。完全に避けるのではなく、バランスを取ることが大切です。
食品安全委員会の亜硝酸ナトリウムに関するQ&A(公式見解)
📊 亜硝酸ナトリウムの摂取基準と実際の含有量
| 項目 | 数値 | 補足 |
|---|---|---|
| ADI(1日摂取許容量) | 体重1kgあたり0~0.07mg | 体重30kgの子どもで2mg |
| 食肉製品の残存基準 | 70ppm以下 | 1kgに対して0.07g以下 |
| 劇物としての致死量 | 約2g | 高濃度溶液での急性毒性 |
| 子ども(10kg)の許容量 | 0.6mg | ハム換算で約10g |
🥬 野菜の天然色素と健康効果
| 色 | 主な成分 | 含まれる野菜 | 効果 |
|---|---|---|---|
| 赤・紫 | アントシアニン | なす、紫キャベツ | 抗酸化作用、目の健康 |
| 赤 | リコピン | トマト、スイカ | 活性酸素除去 |
| 黄・橙 | β-カロテン | にんじん、かぼちゃ | ビタミンA変換 |
| 緑 | クロロフィル | ほうれん草、ブロッコリー | デトックス効果 |
🍖 発色剤無添加商品を選ぶ際のチェックポイント