発がん性物質一覧食品の危険性と対策

ハムやポテトチップス、カビが生えた穀物など日常的に摂取する食品に含まれる発がん性物質とは何か。食生活で気をつけるべきポイントは何でしょうか。

発がん性物質一覧と含まれる食品

主要な発がん性物質と食品の関係
⚠️
ニトロソアミン類

ハム・ソーセージなどの加工肉に含まれる亜硝酸ナトリウムと、肉に含まれるアミンが反応して生成される発がん性物質。IARCによってグループ1(確実に発がん性がある)に分類

🌾
アフラトキシン

カビ(アスペルギルス・フラバスなど)が産生する毒素。穀物やナッツに汚染。天然物質の中で最も発がん性が強く、世界保健機関も警告

🍟
アクリルアミド

ポテトチップスやフライドポテトなどを高温で揚げる際に生成される化合物。アミノ酸とグルコースが反応する「アミノカルボニル反応」で発生

🥩
ヘテロサイクリックアミン(HCA)

牛肉・豚肉・魚などのタンパク質を高温で調理(焼く・揚げる)した際に発生。焦げや焼けた部分に特に多く含まれる

熱による直接的損傷

コーヒーやお茶などを65℃以上の高温で摂取する場合、食道粘膜への物理的な損傷がIARCでグループ2A(おそらく発がん性がある)に分類

発がん性物質一覧に含まれる加工肉製品の実態

 

ハムやソーセージなどの加工肉は、IARCから「確実に発がん性がある」と分類されている食品です。これらの製品に使用される亜硝酸ナトリウムは、防腐剤と発色剤の役割を担っていますが、胃の中でアミンと結合するとニトロソアミン類(NDMA、NDEA、NPYR、NPIPなど)という発がん性物質に変化します。動物実験では、亜硝酸塩とアミンを同時に投与すると、胃の中でニトロソアミン類が生成され、がんが発生することが証明されています。

 

加工肉製品の危険性は単なる添加物だけではありません。赤肉(牛・豚・羊)に含まれるヘム鉄も、大腸がんリスクを高める要因として指摘されています。欧州食品安全機関(EFSA)の研究によると、加工肉を週に100g以上摂取すると、大腸がんの相対リスクが約18%増加するとされています。一般的なハムは100g当たり約30~50gの塩分が含まれており、定期的な摂取によって累積的なリスクが高まります。

 

発がん性物質一覧で注目されるカビ毒アフラトキシンの危険性

アフラトキシンは、アスペルギルス・フラバスなどの真菌が産生する二次代謝産物で、穀物や豆類、ナッツ類に汚染することで知られています。特に熱帯・亜熱帯地域で栽培される農産物、および貯蔵条件が悪い食品で検出されやすい特徴があります。日本は国内の農産物ではアフラトキシン汚染がほとんど見られませんが、輸入農産物(ピーナッツ、トウモロコシ、スパイスなど)からの検出報告が相次いでいます。

 

日本の食品衛生法では、平成23年から全ての食品について総アフラトキシン(B1、B2、G1及びG2の総和)として10μg/kgという基準値が定められています。さらに平成28年からは、牛乳に含まれるアフラトキシンM1について0.5μg/kgという より厳しい規制が適用されました。アフラトキシンの問題は、通常の調理温度(100℃~210℃)では完全に分解されないという点です。ゆでる、炒める、炊飯などの一般的な調理方法ではアフラトキシンはほとんど減少しません。このため、原料段階での適切な検査と品質管理が極めて重要になります。

 

発がん性物質一覧に掲載されるアフラトキシンの中でも、特にアフラトキシンB1は「天然物質の中で最も発がん性が強い物質」として認識されており、国際がん研究機関(IARC)ではグループ1に分類されています。米国では、ピーナッツやトウモロコシ製品の検査基準が非常に厳しく設定されており、EU諸国も同様に厳格な管理体制を敷いています。一方、日本の消費者は輸入食品に対するアフラトキシン汚染についての認識が相対的に低い傾向があり、定期的な検査の重要性を理解する必要があります。

 

発がん性物質一覧に含まれるアクリルアミドと高温調理食品

ポテトチップスやフライドポテトなどの揚げ菓子・揚げ物に含まれるアクリルアミドは、2002年にスウェーデンの研究者によって初めて食品から検出された化学物質です。アクリルアミドは、アミノ酸(特にアスパラギン)と還元糖(グルコース、フルクトースなど)が高温(120℃以上)で加熱される際に発生する「アミノカルボニル反応」によって生成されます。この反応メカニズムは、食品加工業界で「褐色化反応」として知られており、香りや色合いの形成にも関与しています。

 

発がん性物質一覧の中でもアクリルアミドが特に注目される理由は、日常的に摂取する食品から検出されるという点です。ポテトチップスの場合、100g当たり150~400μgのアクリルアミドが含まれることが報告されており、欧州食品安全機関(EFSA)による「参照用量(RfD)」は0.35mg/kg体重/日とされています。ただし、通常の食事では過度な懸念は不要とされており、摂取量を適切に管理することが重要です。

 

アクリルアミドの形成を低減する調理方法も研究されており、120℃以下の加熱温度の維持、加熱時間の短縮、加熱前の浸水処理などが効果的とされています。食品製造業界では、酵素処理やアスパラギナーゼの添加など、科学的なアプローチによってアクリルアミド形成を約90%削減する技術も開発されています。

 

発がん性物質一覧に登録される熱処理由来の複素環式アミンと調理方法

ヘテロサイクリックアミン(HCA)と多環芳香族炭化水素(PAH)は、肉類や魚を高温で加熱した際に生成される熱代謝産物です。特に直火でのグリリング、揚げ調理、オーブン焼きなどで生成量が増加します。赤肉(牛・豚・羊肉)の高温調理時のHCA生成量は、鶏肉や魚よりも多いという特徴があります。

 

発がん性物質一覧に掲載されるHCAの構造は、複雑な複素環式化合物(ピリド[4,3-b]インドール系など)であり、DNAへの結合能が高い特性を持っています。日本の研究チームによって1977年に初めて食品から検出されたこれらの物質は、現在では10種類以上のHCAが同定されており、そのほぼすべてが動物実験で発がん性を示しています。特に注目されるのは、1-メチル-2-アミノ-6-フェニル-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(Trp-P-1)と、そのイソマーであるTrp-P-2です。

 

HCA形成を低減する対策としては、マリネード処理(香辛料とビネガーに事前に漬ける)、低温・短時間調理、抗酸化物質(ローズマリー抽出物など)の添加が有効です。科学的調査によると、調理温度を150℃以下に抑え、加熱時間を15分以内に限定することで、HCA生成量を約60~70%削減できるとされています。

 

発がん性物質一覧における人工甘味料と着色料の最新知見

従来は「安全」とされていた人工甘味料やタール色素が、近年の研究で見直されています。アスパルテームは2023年にIARCから「ヒトに対して発がん性の可能性があり、動物実験では肝臓がんを示唆する」という警告を受け、グループ2B(発がん性が疑われる物質)に分類されました。アスパルテームは、ダイエット飲料、チューインガム、低カロリーゼリー、低カロリーチョコレートなどの低カロリー食品に広く使用されています。

 

タール色素(赤色102号、赤色104号、赤色105号、黄色4号、青色1号など)については、各色素ごとに異なる発がん性リスクが指摘されています。赤色104号(フロキシン)と赤色105号(ローズベンガル)は、ソーセージ、焼き菓子、かまぼこなどの加工食品に多用されており、熱に強いという特性から高温調理食品に適しています。これらの色素は石油から合成される「タール色素」であり、化学構造から潜在的な発がん性が指摘されています。

 

多くの国では、アスパルテームの安全性について「通常の摂取量であればリスクは低い」とされており、実際のヒトでの発がんとの因果関係は確立されていません。しかし、動物実験の結果を踏まえると、定期的な摂取は慎重に検討する必要があります。

 

参考リンク:亜硝酸ナトリウムがハムやソーセージで発がん性物質に変化するメカニズムについて詳しく解説。

 

https://www.kyoto.coop/sosiki/iinkai/news_5525.html
参考リンク:東京都保健医療局による食品中のカビ毒について、日本の規制基準や調理での除去可能性について説明。

 

https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/kansen/kanin/docs/qa_2014_2.html
参考リンク:農林水産省によるニトロソアミン類に関する見解。添加物の安全性基準と、バランスの良い食生活の重要性についての公式見解。

 

https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics34_02.html

 

 


INSTINTO [Explicit]