釉薬を作りすぎると逆に溶けにくくなります。
媒溶剤(ばいようざい)とは、釉薬を構成する材料の一つで、溶剤や融剤とも呼ばれる物質です。主に酸化物、塩化物、フッ化物からなり、ガラスの主成分である二酸化珪素(SiO2)を溶かして釉薬の融点を下げる働きをします。
参考)媒溶剤(ばいようざい)とは? 意味や使い方 - コトバンク
陶芸の世界では、釉薬は素焼きした器の表面にガラス質のコーティングを施すための薬剤として使われます。しかし二酸化珪素単体では約1700℃という非常に高い温度でなければ溶けません。これでは一般的な陶芸用の電気窯や灯油窯では扱えないですね。
そこで媒溶剤を加えることで、焼成温度を1200~1300℃程度まで下げることができるのです。この化学変化を「共融反応」といい、媒溶剤と二酸化珪素が反応して溶けやすい状態になります。
参考)https://blog.goo.ne.jp/meisogama-ita/e/e70a36bf86a0230102ac6cb1c9b5bbc1
陶芸で釉薬を自作する際には、媒溶剤の選択と配合比率が作品の仕上がりを左右する重要な要素となります。
つまり釉薬調合の基礎中の基礎です。
陶芸の釉薬調合で使われる代表的な媒溶剤には、いくつかの種類があります。それぞれ異なる特性を持っており、目的とする釉薬の質感や色合いによって使い分けが必要です。
最もよく使われるのが酸化カルシウム(CaO)で、木灰や土灰に約30%含まれています。土灰は窯の炎で大部分が焼失した後も強力な媒溶剤として働き、藁灰釉では土灰4割の調合比が一般的です。
これが基本です。
参考)釉薬を自作する1/3
次に長石があり、酸化ナトリウムや酸化カリウムなどのアルカリ成分を含みます。長石と珪石を溶かす役割を果たし、陶芸材料店でも釉薬媒溶剤として販売されています。
参考)釉薬媒溶剤|陶芸.com|陶芸の専門店 陶芸用品・陶芸機材の…
酸化リチウム(Li2O)も重要な媒溶剤の一つで、一般的な添加量は6~10%程度です。鉛を使わない現代の釉薬調合では、リチウムが代替として重宝されています。
意外なことに、酸化銅も媒溶剤として働きます。これは通常、酸化金属として着色剤の役割が知られていますが、同時に融剤としても機能するのです。ただし土に酸化銅を練り込むと土の耐火度は低くなるため注意が必要です。
参考)陶芸で質問させてください。通常電気炉で焼成する場合、釉薬に辰…
陶芸.comの釉薬媒溶剤ページ
上記のリンク先では、長石や珪石を溶かす木灰と同じような役割を果たす各種媒溶剤を購入できます。初心者が釉薬調合を始める際の材料選びに役立ちます。
釉薬調合で最も重要な概念の一つが「共融点」です。これを理解していないと、せっかく材料を揃えても思い通りの結果が得られません。
媒溶剤の添加量を増やすと、一般的には釉薬が溶ける温度は下がっていきます。しかしある一定以上の量を超えると、逆に溶けにくくなるという現象が起こります。この最も低い温度を「共融温度」と呼び、その時の媒溶剤と二酸化珪素の比率を「共融点」といいます。
どういうことでしょうか?
例えば砂糖を水に溶かすとき、適量なら簡単に溶けますが、入れすぎると底に残ってしまいますよね。釉薬の媒溶剤も似たような性質があり、適切な量を守らないと期待した効果が得られないのです。
共融点を超えた配合で釉薬を作ってしまうと、焼成時に十分に溶けず、マット釉のような質感になったり、釉薬が剥がれたりする可能性があります。特に初心者は「溶けやすくしたい」と考えて媒溶剤を多く入れすぎる傾向があるため、この点は十分に注意が必要です。
適切な配合比率を見つけるには、少量ずつテストピースを作って焼成実験を重ねるのが確実な方法です。
これは使えそうです。
釉薬調合において、媒溶剤は一種類よりも数種類を混合して使った方が融点を下げる効果が高まります。
最低でも三種類は必要だとされています。
なぜ複数の媒溶剤を混ぜるのが効果的なのでしょうか。それぞれの媒溶剤が持つ化学的性質が相互に作用し合うことで、単体で使うよりも低い温度で釉薬が溶けるようになるからです。
具体的な組み合わせの例を見てみましょう。
| 媒溶剤の組み合わせ | 特徴 | 適した釉薬タイプ |
|---|---|---|
| 土灰+長石+炭酸バリウム | 伝統的な組み合わせで安定性が高い | 透明釉、半透明釉 |
| 長石+石灰石+亜鉛華 | マット質感を出しやすい | マット釉 |
| 酸化リチウム+長石+土灰 | 鉛を使わない現代的配合 | 色釉、透明釉 |
目的とする釉薬の基本がマット釉である場合、カオリンの調合で得られるカオリン質のマット釉か、カオリンも珪石も少ない媒溶原料が多い調合のどちらかを選択します。
複数の媒溶剤を使う際の注意点として、それぞれの添加量のバランスが重要です。一つの媒溶剤だけを極端に多くするのではなく、三種類以上を適度な比率で配合することで、焼成時の温度変化に対する許容範囲も広がります。
痛いところですね。
釉薬調合で媒溶剤を扱う際、初心者が陥りやすい失敗パターンがいくつかあります。これらを事前に知っておくことで、無駄な材料費や時間を節約できます。
失敗例1:媒溶剤の入れすぎによる釉薬の流れ
媒溶剤を多く入れすぎると、焼成時に釉薬が溶けすぎて器の底まで流れ落ちてしまいます。結果として窯の棚板に器がくっついてしまい、作品が台無しになるだけでなく窯の清掃も大変です。
これは必須です。
対策としては、初めて調合する釉薬は必ず小さなテストピースで試し焼きをすることです。本番の作品に使う前に、媒溶剤の量を5%程度ずつ変えた複数のサンプルを作り、最適な配合を見つけましょう。
失敗例2:媒溶剤の種類を間違える
レシピに「長石」と書いてあるのに、似た名前の別の材料を使ってしまうケースです。例えば「カリ長石」と「ソーダ長石」では含まれる成分が異なり、仕上がりも変わります。
材料を購入する際は、商品名だけでなく成分表示も確認しましょう。陶芸材料店で不明点があれば、店員に直接確認するのが確実です。
失敗例3:土に含まれる媒溶剤成分を考慮しない
前述の通り、酸化銅を土に練り込むと媒溶剤としても働き、土の耐火度が低くなります。着色のために金属酸化物を添加した土を使う場合、釉薬の媒溶剤量も調整する必要があります。
この場合の対策は、土と釉薬の組み合わせテストを必ず行うことです。同じ釉薬でも土の種類によって焼き上がりが変わることを理解しておけば大丈夫です。
計画的なテスト焼成と記録の習慣をつけることで、これらの失敗は大幅に減らせます。
厳しいところですね。

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