炭酸バリウム沈殿の色と陶芸釉薬での活用法

炭酸バリウムは白色沈殿を作る化合物で、陶芸の釉薬に広く使われています。沈殿反応の仕組みから釉薬での効果、安全な取り扱い方法まで詳しく解説。あなたの作品に理想の発色と質感を実現できるでしょうか?

炭酸バリウムの沈殿と色

炭酸バリウムは15%を超える配合で食器に使えません。


参考)陶磁器の安全性について - MONO FACTOR…


この記事の3つのポイント
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炭酸バリウムの沈殿は白色

炭酸イオンを含む水溶液に塩化バリウムを加えると、水に溶けにくい白色の炭酸バリウムが沈殿として生成される

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釉薬での融剤としての役割

釉薬の融点を下げて滑らかな仕上がりを実現し、マット釉や銅の発色を鮮やかにする効果がある

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取り扱いには注意が必要

劇物に指定されており、20mgを気管から吸収すると危険。換気と保護具の使用が必須

炭酸バリウムの沈殿反応と白色の理由


炭酸バリウム(BaCO₃)は、炭酸イオンを含む水溶液に塩化バリウム(BaCl₂)を加えると白色沈殿として生成されます。塩化バリウムも炭酸ナトリウムも水に溶けるとイオンに分離しますが、バリウムイオンと炭酸イオンが出会うと、水に溶けにくい炭酸バリウムを形成して沈殿するのです。


参考)炭酸バリウム - Wikipedia


この白色沈殿は炭酸塩の特徴です。化学の試験では、炭酸カルシウム(CaCO₃)や炭酸バリウム(BaCO₃)などの炭酸塩は全て白色の沈殿として覚えられています。これは結晶構造が光を均一に散乱させるため、目には白く見えるからです。


参考)無機化学の色まとめ(イオン/化合物(沈殿)/ハロゲンなど)


つまり白色が基本です。


炭酸バリウムの沈殿は二酸化炭素の検出にも利用されます。水酸化バリウム水溶液に二酸化炭素を吹き込むと、炭酸バリウムの白色沈殿ができて溶液が白濁するため、気体の確認実験として用いられます。


参考)水酸化バリウムと二酸化炭素を反応させると炭酸バリウムの沈殿が…


この反応は陶芸の現場だけでなく、高校化学の実験でも頻繁に取り上げられる基本的な化学変化なのです。


陶芸釉薬における炭酸バリウムの発色効果

陶芸の釉薬において、炭酸バリウムは融剤として重要な役割を果たします。融剤とは釉薬混合物の融点を効果的に低下させ、焼成中に釉薬がセラミック表面に滑らかかつ均一に流れることを可能にする添加剤です。


参考)セラミックスにおける炭酸バリウム:釉薬の強化と表面浮きの防止


炭酸バリウムは銅などの金属を使った釉薬の発色を鮮やかにする効果があります。これは炭酸バリウムが焼成時に酸化バリウムに変化し、釉薬のガラス化を促進するためです。また、マット(つや消し)仕上げを生成する能力で特に注目されており、様々なセラミック製品に美的魅力を加えています。


参考)https://www.ne.jp/asahi/yasuhiko/hayashi/tsudanuma/tougei-question/207tansan-bariumu.htm


発色が格段に良くなります。


他の添加剤では達成が困難な特定の質感や視覚的効果を釉薬で実現するために、メーカーは炭酸バリウムを求めることがよくあります。具体的には、5%程度を添加することで釉薬の「ひび貫入)」を少なくする効果も期待できます。


参考)素朴な疑問 120 釉薬の性質を変えるには2?


釉薬の表情を豊かにするために、炭酸バリウムの配合比率を調整するテストピースを作成することが、陶芸作品の完成度を高める近道となります。


炭酸バリウム使用時の注意点と安全管理

炭酸バリウムは劇物に指定されており、取り扱いには十分な注意が必要です。20mgを気管から吸収すると危険とされており、粉末状態での吸入を避けることが重要です。


作業時には必ず保護手袋、保護衣、保護眼鏡を着用し、屋外または換気の良い場所でのみ使用してください。取り扱い後は手や汚染個所をよく洗い、この製品を使用するときに飲食や喫煙をしないことが求められます。


参考)https://www.kishida.co.jp/product/catalog/msds/id/1286/code/000-07112j.pdf


換気は必ず行いましょう。


食器として使用する場合、炭酸バリウムの配合比は15%程度までとされています。それを超える配合や、バリウムマット釉で作られた器は食器利用が推奨されていません。これは焼成後も微量のバリウムが溶出する可能性があるためです。


もし炭酸バリウムを飲み込んでしまった場合は、ただちに水を飲ませ(多くても2杯)、医師に相談する必要があります。眼に入った後は多量の水ですすぎ、コンタクトレンズをはずしてください。万が一の事態に備えて、安全データシートを手元に準備しておくと安心です。


参考)https://www.chemicalbook.com/msds/jp/513-77-9.pdf


炭酸バリウムの安全データシート(岸田化学株式会社)
上記リンクには、応急措置や保管方法などの詳細な安全情報が記載されています。


炭酸バリウムの代替材料と入手の困難さ

近年、炭酸バリウムは毒性の問題から一般の商店や会社では販売できなくなり、従来のルートでは入手が困難になっています。これまで陶芸材料店で販売していた炭酸バリウムですが、規制強化により購入に制限がかかるようになったのです。


参考)https://ameblo.jp/gtr9885/entry-10248500398.html


代替材料として炭酸ストロンチウムが推奨されています。炭酸ストロンチウムは炭酸バリウムと似た化学的性質を持ち、釉薬の融剤としても機能します。ただし、一度は発色や溶け具合をテストした上でないと使用できないため、テストピースを焼成するまでに時間がかかるという課題があります。


参考)https://ameblo.jp/gtr9885/entry-12070854246.html


テストは避けられません。


マグネサイトも炭酸バリウムの代用に使えますが、少し効果が落ちるため、代用の場合は1.3倍ぐらいの量が必要になります。また、ストロンチウムと他のアルカリ成分や亜鉛華を混ぜれば、炭酸バリウムと同等の効果を得られる可能性があります。


入手困難な状況に直面した場合は、陶芸材料専門店に相談するか、劇物取扱資格を持つ業者を通じて購入する方法を検討してください。代替材料でのテスト焼成を重ねることで、理想の釉薬を見つけられます。


炭酸バリウムの化学的特性と表面浮き防止効果

炭酸バリウムは、釉薬における融剤としての機能だけでなく、レンガやタイルの表面浮き防止にも非常に効果的です。表面浮きは、粘土に含まれる可溶性塩が乾燥および焼成中に表面に移動し、醜い白くてチョーク状の残留物を形成する一般的な問題です。


炭酸バリウムは、これらの可溶性硫酸塩と反応して不溶性の硫酸バリウムと炭酸カルシウムを形成することにより、塩を中和します。この化学的相互作用は、塩を粘土成形体内に効果的に封じ込め、表面に到達するのを防ぐため、最終的なセラミック製品にクリーンで均一な仕上がりを保証します。


封じ込めが鍵です。


陶芸においても、炭酸カルシウムは炭酸ガスを発生するため気泡を生じやすいという課題があります。ピンホールと発泡の原因となるため、最高温度を15~30分とることでガスが釉中からスムーズに抜けやすくなります。


炭酸バリウムを使用する際は、釉薬のAl₂O₃とSiO₂の比率にも注意が必要です。Al₂O₃に対するSiO₂の量が少ないと艶消釉になる傾向があります。化学的特性を理解することで、意図した質感と色を持つ釉薬を調合できるようになります。


参考)釉薬の調合





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