赤樂とは何か|特徴と歴史・作り方・見分け方

赤樂は茶道具として知られる楽焼の一種ですが、その魅力と製法には意外な事実が隠されています。初心者が知っておくべき赤樂の特徴や歴史、作り方のポイントから見分け方まで、陶芸愛好家に役立つ情報をまとめました。あなたは赤樂の本当の価値を理解していますか?

赤樂の特徴と歴史

赤樂の茶碗は市販の窯では作れません。


この記事の要点
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赤樂の独自性

千利休の美意識から生まれた楽焼の一種で、低温焼成による独特の風合いが特徴

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製作の難しさ

専用の窯と技術が必要で、温度管理や引き出しのタイミングが仕上がりを左右する

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見分けるポイント

手取りの軽さ、釉薬のムラ、高台の削り跡など、本物の赤樂には独特の特徴がある

赤樂とは何か|楽焼の基本


赤樂は楽焼という陶芸技法で作られる茶碗の一種です。楽焼には赤樂と黒樂の2種類があり、赤樂は鉄分を含む赤土を使い、酸化焼成で仕上げます。


安土桃山時代、千利休の指導のもと初代長次郎が創始しました。利休は侘び茶の精神を体現する器として、華美な中国製の茶碗ではなく、素朴で温かみのある楽焼を好んだのです。


これが茶道具の革命でした。


楽焼は一般的な陶磁器とは製法が大きく異なります。ろくろを使わず手捏ねで成形し、約800〜1000度という低温で焼成します。これは磁器の焼成温度1300度と比べると、かなり低い温度です。


低温焼成のため土の質感が残り、柔らかく温かい手触りになります。


つまり赤樂独特の魅力が生まれるということですね。


茶道では「一楽二萩三唐津」という格付けがあり、楽焼が最も尊ばれています。赤樂は単なる器ではなく、茶の湯の精神性を表現する芸術作品なのです。


楽焼の歴史と技法について詳しく解説されている楽焼協同組合の公式サイト

赤樂の特徴|色と質感の秘密

赤樂の最大の特徴は、温かみのある赤橙色です。この色は聚楽土という京都特有の鉄分を多く含む赤土から生まれます。焼成時に酸化焼成を行うことで、鉄分が酸化し、独特の赤みを帯びた発色になるのです。


表面は光沢のない柔らかなマット質感で、釉薬のムラや焦げが独特の景色を作ります。これは計算されたものではなく、焼成の偶然性が生み出す美しさです。


意外ですね。


手に取ると驚くほど軽いのも赤樂の特徴です。低温焼成により土が完全に焼き締まらないため、多孔質で軽量になります。重さは一般的な茶碗の半分程度、約150〜200gほどです。


保温性に優れているのも見逃せません。多孔質の構造が空気を含むため、お茶を注いでも熱が外に逃げにくく、冷めにくい特性があります。


冬場の茶会では特に重宝されます。


ただし、吸水性が高いため取り扱いには注意が必要です。使用前には必ず水に浸して吸水させ、使用後は十分に乾燥させないとカビやシミの原因になります。


デリケートな器ということですね。


赤樂の歴史|千利休と楽家の系譜

赤樂の歴史は1580年代、千利休と初代長次郎の出会いから始まります。利休は当時主流だった唐物茶碗ではなく、日本人の感性に合った侘びた茶碗を求めていました。


長次郎は瓦職人でしたが、利休の指導のもと独自の茶碗を作り始めます。


これが楽焼の始まりです。


長次郎の作品は利休七哲をはじめ多くの茶人に愛され、現在でも国宝や重要文化財に指定されているものがあります。


豊臣秀吉から「樂」の印を与えられ、楽家が誕生しました。この印は現在まで楽家当主に受け継がれ、現在は十六代吉左衞門が継承しています。


約450年続く陶芸一族です。


二代目以降、赤樂と黒樂の技法が確立されていきます。三代目道入(ノンコウ)の時代には、釉薬の研究が進み、赤樂独特の朱色や橙色のバリエーションが生まれました。道入の作品は「ノンコウ赤」として特に評価が高いです。


江戸時代を通じて楽家は代々茶道家元との関係を保ちながら発展します。表千家、裏千家、武者小路千家の三千家は今も楽家に茶碗を注文し、茶会で使用しています。これが楽焼の伝統を守る基盤になっているのです。


明治以降、楽焼の技法は一般にも広まりましたが、楽家当主が作る作品は別格として扱われます。楽家の印がある作品は数百万円から数千万円の価値があり、コレクターの間で取引されています。


赤樂の作り方|独特の製法

赤樂の製作は一般的な陶芸とは全く異なる工程です。


まず、ろくろを使わず手捏ねで成形します。


土を手のひらで押し広げながら茶碗の形を作っていく技法で、職人の手の跡が残るのが特徴です。


使用する土は聚楽土という京都産の赤土です。鉄分が多く、粘りが強いため手捏ねに適しています。この土に少量の砂を混ぜて可塑性を調整するのが基本ですね。


成形後は自然乾燥させ、素焼きを行います。素焼きは700〜800度程度の低温で、土を固める程度です。


素焼き後に高台削り、釉薬をかけます。


赤樂の釉薬は透明釉が基本で、土の赤みを活かすため着色しません。釉薬の厚さやムラが焼き上がりの景色を左右するため、この工程は特に重要です。


本焼きは楽窯という小型の専用窯で行います。一般的な電気窯ガス窯では赤樂特有の風合いは出ません。楽窯は一度に1〜2個しか焼けない小さな窯で、薪や炭を使って加熱します。


焼成温度は約1000度前後で、磁器の3分の2程度です。温度が上がったら、真っ赤に焼けた茶碗を窯から引き出します。これを「引き出し」と呼び、赤樂製作の最も難しい工程です。


引き出した茶碗は急冷します。水に浸ける場合もあれば、空気中で冷ます場合もあり、この冷却方法で釉薬の表情が変わります。急激な温度変化により、独特の貫入ひび模様)や景色が生まれるのです。


一般の陶芸教室では楽窯を持っていないことが多く、赤樂を作るには専門の工房や楽焼を教える教室を探す必要があります。


設備の制約が大きいということですね。


NHK「美の壺」で紹介された赤樂の製作工程と職人技の解説

赤樂の見分け方|本物を識別するポイント

赤樂の真贋を見分けるには、いくつかの重要なポイントがあります。


まず手に取った時の重さです。


本物の赤樂は驚くほど軽く、同じサイズの一般的な茶碗の半分程度しかありません。


高台の削り跡を確認してください。手捏ねで作られた赤樂は、高台の削りに不規則な手の跡が残ります。ろくろで作られた偽物は削り跡が均一で機械的です。


これは決定的な違いです。


釉薬の表情も重要な判断材料になります。本物の赤樂は釉薬に微妙なムラや流れがあり、焼成時の炎の当たり方で部分的に色が変化しています。工場で作られた模造品は色が均一すぎるのです。


口縁の仕上げをチェックしましょう。赤樂の口縁は完全な円ではなく、わずかに歪んでいます。これは手捏ね成形の証拠で、左右対称すぎる茶碗は疑わしいです。


貫入の入り方も見分けるポイントです。本物の赤樂は急冷により自然な貫入が入りますが、模造品の貫入は人工的で規則的すぎることがあります。


虫眼鏡で観察すると違いがわかりますね。


底の高台内を見ると、楽家の作品には「樂」の印が押されています。


ただし印だけでは判断できません。


近年は精巧な偽物も出回っており、印も模造される場合があるからです。


購入する際は信頼できる茶道具店や骨董店を選ぶことが重要です。楽家の作品なら来歴がはっきりしており、箱書きや鑑定書が付いています。数十万円以上の買い物をする場合は、必ず専門家の鑑定を受けましょう。


初心者が手軽に楽焼を楽しみたい場合は、現代作家の作品から始めるのがおすすめです。数千円から数万円で購入でき、本物の楽焼の質感を体験できます。


焦らず学ぶことが大切です。


赤樂を使う楽しみ|茶の湯での扱い方

赤樂を実際に使う際は、いくつかの作法があります。


まず使用前には必ず水に浸して吸水させます。


30分から1時間程度浸すと、茶碗が水を吸い、使用中に茶が染み込むのを防げます。


お湯を注ぐ前に、茶碗を温めておくのも大切です。冷たい茶碗に熱湯を注ぐと、温度差で貫入が広がったり、最悪の場合割れることもあります。まず湯を入れて温め、その湯を捨ててから茶を点てましょう。


赤樂は保温性が高いため、茶が冷めにくい特性があります。冬の茶会では特に重宝されますが、夏場は逆に熱すぎて持ちにくいことがあります。


季節に応じて使い分けが必要ですね。


使用後の手入れも重要です。茶渋が付きやすいため、使ったらすぐに水で洗います。洗剤は使わず、水かぬるま湯だけで優しく洗うのが基本です。


ゴシゴシこすると表面を傷つけます。


洗った後は完全に乾燥させます。湿ったまま仕舞うとカビやシミの原因になります。風通しの良い場所で自然乾燥させ、数日間は箱に仕舞わず棚に置いておくと安心です。


長期間使わない場合は、桐箱に仕舞います。桐は湿度を調整する性質があり、茶碗を守ってくれます。箱の中には薄紙を敷き、茶碗を包んで保管しましょう。


赤樂は使い込むほどに味わいが深まる器です。茶渋が少しずつ染み込み、独特の景色を作ります。これを「茶馴れ」と呼び、茶人は茶碗の経年変化を楽しみます。


時間とともに育つ器ということですね。


落としたり強い衝撃を与えると割れやすいため、取り扱いには細心の注意が必要です。赤樂は芸術品であると同時に、日常使いできる実用的な茶碗でもあります。大切に扱いながら、実際に使う喜びを味わってください。




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