液体の防水剤を二度塗りすると、器の表面に白い結晶が出て二度と取れなくなります。
陶器が水漏れする理由は、その原料にあります。陶器は陶土(粘土)を主原料とし、焼成温度が磁器より低いため、土の粒子の間に無数の細かい空洞が残ります。この構造はちょうど台所のスポンジに似ていて、水を注ぐとジワジワと壁面に吸い込まれていきます。見た目にヒビがなくても、花瓶の下が濡れていたり、卓上に輪染みができたりするのはこれが原因です。
磁器(白く薄い器)は原料が陶石で粒子密度が高く、水はほぼ浸透しません。つまり、水漏れは「陶器だから起こる、ごく自然な現象」ということですね。
問題になるのは、大切な床の間に置いた花器が水漏れして木材を傷めてしまったり、食器に染み込んだ水分がカビの原因になったりするケースです。特に萩焼のように意図的に粒子の粗い土を使った器は、新品でも数時間で机が濡れることがあります。
水漏れへの対策には大きく2つあります。古来から伝わる「目止め」(米のとぎ汁や片栗粉水で煮る方法)と、現代的な液体防水剤を使う方法です。目止めは手軽ですが、でんぷん質がカビの温床になる可能性が指摘されています。効果が安定して高く、衛生的に優れているのが液体タイプの防水剤です。
液体防水剤を使えば、市販品1本で花器も食器も処理できます。これは使えそうです。
| 特徴 | 陶器 | 磁器 |
|---|---|---|
| 原料 | 陶土(粘土) | 陶石 |
| 粒子密度 | 粗い(空洞あり) | 細かい(隙間なし) |
| 吸水性 | 高い(水漏れしやすい) | ほぼなし |
| 質感 | 温かみがある・ザラザラ | つるつる・冷たい印象 |
| 防水剤の必要性 | 場合によって必要 | 不要 |
参考:陶器の水漏れの仕組みと止水剤の種類について詳しく解説されています。
液体タイプの防水剤は、大きく「シラン系(液体セラミック)」と「シリコン系(油性タイプ)」の2種類に分かれます。どちらを選ぶかで、使える用途が大きく変わります。
シラン系の液体セラミックは水溶性で無臭、食器への使用が可能です。水道水質基準(厚生省令第69号)に適合している製品もあり、電子レンジ・オーブン対応の器にも使えます。値段は500gで約2,500〜3,850円が相場です。ただし2025年6月1日から食品衛生法のポジティブリスト制度が完全施行され、販売目的の食品用器具への使用は各自で適否を確認する必要があります。個人利用では引き続き活用できます。
シリコン系の「ポロンT」などの油性タイプは、有機溶剤を含み強い臭気があります。撥水効果は非常に高く、1度染み込ませれば効果が長持ちします。ただし食器への使用は不可で、花器・置き物・植木鉢など食品に触れない陶磁器専用です。取り扱いには手袋・マスク・保護メガネが必須です。
つまり「食器か、花器かで選ぶ剤が違う」が基本です。
主な市販製品を一覧で確認しておきましょう。
| 製品名 | タイプ | 食器使用 | 容量・価格帯 |
|---|---|---|---|
| 液体セラミック(粋工舎・各社OEM) | シラン系・水性 | ✅ 可 | 500g〜 約2,700円〜 |
| 丸二陶料 J-50 | シラン系・水性 | ✅ 可 | 1L 約2,590円 |
| CP-M6(伊勢久) | シリコン系・油性 | ❌ 不可 | 各種 |
| ポロンT | シリコン系・油性 | ❌ 不可 | 各種 |
| KC-88 | 油性シリコン系 | ❌ 不可 | 1kg 約3,520円 |
選ぶときに確認するべき点は1つです。「食器用(食品衛生対応)」と明記されているか、パッケージや販売ページで必ず確認しましょう。
参考:各種液体セラミック(水漏れ防止剤)の比較情報が詳しくまとめられています。
丸二陶料のシラン系食器用止水剤(液体セラミック)を使ってみた
液体防水剤の使い方を間違えると、器に白い結晶が残って取れなくなります。手順を一つひとつ確認しましょう。
まず大切なのが「下準備」です。器の表面にホコリ・油脂・水滴がついていると、防水剤の密着性が大きく落ちます。使用前は器を完全に乾燥させてください。半乾きの状態で塗布しても効果が出ません。乾燥が条件です。
次に塗布の方法です。主な方法は2つあります。
塗布後はすぐに表面の余分な液を固く絞った布で丁寧に拭き取ります。これを省くと表面に液が溜まり、乾燥後に白い結晶(エフロレッセンス)が発生します。厄介ですね。
拭き取り後は常温・換気の良い場所で24時間以上自然乾燥させます。「早く乾かしたい」とドライヤーや電子レンジを使いたくなりますが、これはNGです。熱による急激な乾燥は防水被膜を変質させる可能性があります。
乾燥後も水漏れが続く場合は、5分以内に連続して2回目の塗布を行います。乾燥後に二度塗りすると白い結晶が出るので注意しましょう。「5分以内の連続二度塗り」が原則です。
参考:液体セラミックの使い方・注意事項が詳しく記載されています。
正しい手順で作業しても、いくつかのトラブルが起きることがあります。知っておけば慌てずに対処できます。
①白い結晶が出てしまった場合
乾燥後に二度塗りしたり、拭き取りが不十分だったりすると、器の表面に白い粉のような結晶が現れます。これはシラン系溶剤が過剰に反応したもので、お湯でぬめりが取れるまで洗い流すことで対処できます。それでも取れない場合は、一度素焼きし直す(約800℃)と防水剤ごとすっきり除去できます。素焼きが条件です。
②防水効果が弱い・すぐ漏れが再発する
器の吸水性が高く1回では不十分な場合があります。この場合は5分以内の連続二度塗りを行いましょう。それでも改善しなければ、「塗布→乾燥→再塗布」のサイクルを数回繰り返すと効果が高まります。なお、液体セラミックの防水効果は永久ではなく、屋外使用なら紫外線劣化もあります。半年〜1年を目安に再処理が必要です。
③器の色・光沢が変わってしまった
シラン系の液体セラミックは乾燥後にわずかな光沢感が出ることがあります。器の色自体が変わることは基本的にありません。ただし、塗布中は水を含んで色が変わります。乾燥すれば元に戻るので心配しないでOKです。
④油性タイプを使ったらいつまでも臭いが残る
ポロンT等のシリコン系油性タイプは、乾燥後も1日程度は揮発臭が残ることがあります。乾燥中は必ず屋外または十分換気できる場所に置きましょう。花器用として使用した後、水を入れると若干の臭いが出ることもあります。これも数日経てば落ち着きます。
参考:陶芸プロによる水漏れ防止剤の種類と実践的な使い方が解説されています。
液体防水剤が万能かというと、実はそうではありません。「目止め」との使い分けを知ると、器のお手入れが格段に上手くなります。意外ですね。
目止めとは、新品の陶器を初めて使う前に米のとぎ汁などで煮てでんぷん質を貫入(うわぐすりのひび割れ)に染み込ませる作業です。これにより汚れや臭いが入り込みにくくなります。日常使いの食器には目止めが基本的なお手入れとして推奨されています。
ただし目止めにはデメリットもあります。米のでんぷんや片栗粉の成分が残ると、湿気の多い場所ではカビの栄養源になることがあります。食洗機の使用や、十分な乾燥ができない環境では、むしろ衛生面でリスクが生じます。
液体防水剤(液体セラミック)のメリットは、でんぷん質を使わず化学的に細孔を封じる点です。耐久性も目止めより長く、水漏れのひどい花器や吸水性の高い粉引き(白い化粧土を使った器)などに特に効果的です。
つまり「水を長く貯めるものには防水剤、日常食器には目止め+使用前に水にくぐらせる」の組み合わせが賢い選択です。両方を知っていれば、器を長く美しく保てます。
また、液体セラミックを使っても「陶器らしい風合いが消える」ことはありません。磁器のようにツルツルになるわけではなく、防水被膜によって表面がわずかに光沢感を帯びる程度です。エイジング(経年変化)を楽しみたい場合は、目止めだけに留める選択肢もあります。お好みで使い分けるのがベストです。
| 方法 | 効果の高さ | 食器への安全性 | 持続期間 | 手軽さ |
|---|---|---|---|---|
| 目止め(米のとぎ汁) | △ やや低い | ◎ | 短い(使うごとに減少) | ◎ 自宅で可 |
| 液体セラミック(水性) | ◎ 高い | ◎(食器用を選ぶ) | 数ヶ月〜1年 | 〇 手順を守れば容易 |
| シリコン系防水剤(油性) | ◎◎ 非常に高い | ❌ 食器不可 | 長い | △ 臭気・安全管理が必要 |

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