切り高台があっても萩焼とは限りません。
萩焼の茶碗を手に取ると、底部の高台に切り込みが入っているものが多く見られます。この高台とは、茶碗の胴や腰を乗せている輪状の部分のことです。
参考)萩焼について
高台の一部を切り取ったものを「切り高台」または「割り高台」と呼びます。この切り高台は萩焼の特徴の一つとしてよく紹介されるため、多くの人が「萩焼=切り高台」と認識しています。
実際には、この手法は萩焼に限ったものではありません。他の焼物にも切り高台は存在しますし、萩焼だからといって必ずしも高台が切られているわけでもないのです。
半世紀ほど前から「萩焼の特徴は高台に切り込みが入っていること」という説明が広まりましたが、現在の萩焼業界ではこの説を否定する流れになっています。「高台を切っていないものはニセモノですか?」という問い合わせもあるそうですが、まったくそんなことはありません。
参考)https://www.hagi.life/country/2018/1124/1028/
逆に、高台が切ってあれば萩焼の証というのも間違いです。どんな土や釉薬を使っても高台を切れば萩焼になるということになってしまいますからね。
切り高台の由来については、複数の説が存在します。どの説が正しいという結論は出ておらず、いくつもの要素が合わさった複合的な理由かもしれません。
最も有力とされるのは、藩の御用窯説です。萩焼はもともと藩の御用窯だったため庶民が使うことは許されませんでしたが、高台に切り込みを入れることでわざと傷物にして、庶民が使っても問題ないようにしたという説があります。
ただし、この説には疑問点もあります。萩焼が起こる以前の焼物にも切り高台が見られることや、宮家の方用に誂えた萩焼にも切り高台が見られることから、「御殿様より身分の高い宮様にキズモノをお出しするの?」という矛盾が生じます。
他の説としては、以下のようなものがあります。器を重ねて運ぶ際に荷縄が引っかかりやすいようにするため、という実用的な理由です。また、萩焼は水が浸透するため、高台部分が完全に円になっていると蒸気がこもったり器がテーブルにくっつくのを防ぐため、切り込みを入れて空気や蒸気を抜くという説もあります。
焼成時に高台部分まで火が通りやすくするためという技術的理由や、満月より三日月に風情があるように、完全なものより欠けたものの方が味わいがあると考えられたためという美的理由も挙げられています。
つまり美的感覚の問題ですね。
最も自然な説明は、萩焼の元となった朝鮮李朝にその手法が見られることから、それがそのまま伝わったものとする考え方です。
これが原則です。
参考)萩焼(はぎやき)の特徴 や歴史- KOGEI JAPAN(コ…
高台は、器の底にある輪の部分で、「削り高台」と「付け高台」に分類されます。削り高台は底部を削り出して成形したもので、付け高台は別の粘土を成形して器に貼り付けたものです。
萩焼の製作工程では、成形後2~3日間陰干しし、陶枕(とうちん)に適当な土塊(つちくれ)をつけたものに器を伏せて、高台脇や内部の土を削り取ります。
この工程を「高台削り」と呼びます。
高台削りの際の轆轤(ろくろ)は左回転が一般的です。お茶碗の底の部分を削り落とす工程で、中には高台の一部を削り落とす「切り高台」を施すこともあり、造形表現の一つとなっています。
参考)【秋の催し】山口の伝統工芸「萩焼」。ろくろ回しや模様入れの工…
装飾の少ない萩焼では、高台部分のデザインが器全体の印象を決める大きな要素になります。また萩焼では「土見せ」と言って釉薬を掛けない場合も多いので、陶工たちのこだわりが表れやすい部分の一つと言えるでしょう。
高台は器が倒れないように支えたり、お茶の熱さが直接伝わらないようにしたりするのに役立ちます。器の鑑賞の重要なポイントにもなっているんです。
萩焼かどうかを見分けるポイントは、高台の切り込みではありません。本物の萩焼を見分けるには、使用されている土と釉薬に注目する必要があります。
萩焼の基本となる土は「大道土(だいどうつち)」と呼ばれる、鉄分が比較的少ない灰白色の粘土です。可塑性が高く、萩焼の基本的な風合いや性質は大道土によるものです。もう一つの土が「見島土(みしまつち)」で、鉄分を多く含んだ赤黒色の土です。配合することによって多様な風合いや色彩を生み出します。
参考)https://astomo.jp/blog/hagi-yaki/
萩焼はざっくりとした焼き締まりの少ない陶土を用いた、独特の柔らかな風合いが最大の特徴です。土が粗いため浸透性・保水性・保温性が高く、原料の陶土と釉薬(うわぐすり)の収縮率の違いによりできる表面の細かなヒビ、つまり「貫入」が見られます。
「白萩」はワラの灰からなる釉薬で雪のような白が特色です。この白は「休雪の白」とも呼ばれ、萩焼の魅力の一つとなっています。長年使い続けることで茶や酒が浸透し、茶碗の色彩が変化する「萩の七化け」という現象も萩焼独自の特徴です。
これらの要素が揃って初めて萩焼と言えるのであり、高台の切り込みだけで判断するのは誤りということですね。
萩焼会館公式サイト
萩焼の基本的な特徴や高台に関する詳しい説明が掲載されています。
萩焼は透水性が高く、貫入から水分が浸み込みやすい特性があります。手入れを怠るとカビが生じることもあるため、適切な管理が必要です。
使う前には、半日ほど水にひたしてその後十分に乾燥させると、長く使うことができます。貫入のある器は、使う前に十分吸水させることが大切です。
これが条件です。
使用後は手でよく水洗いし、布巾で拭いた後、十分に自然乾燥させてから収納してください。萩焼はやわらかく欠けやすいため、電子レンジ、食器洗浄機・食器乾燥機のご使用はお控えください。
高台部分は特に割れやすいので注意が必要です。切り高台の場合、切り込み部分がさらに欠けやすくなっています。器を重ねて収納する際は、高台が他の器に当たらないよう気を配りましょう。
吸水性があるため、液体が沁み込みやすい性質があります。使うほどに色調が変化して魅力を呼ぶ一方で、シミにならないよう油分の多い料理は避けた方が無難です。お茶や日本酒など、萩焼の変化を楽しめる飲み物での使用がおすすめです。
高台部分が完全に円になっていないため、蒸気や水分が抜けやすいという利点もあります。これにより、器がテーブルにくっつく現象を防ぎ、使い勝手が向上しています。
使えそうです。
萩焼のお手入れ方法詳細ガイド
萩焼を長く使うための具体的な手入れ方法と注意点が詳しく解説されています。