籾灰釉薬の作り方と特徴|魅力的な発色を引き出すコツ

籾灰釉薬は米作りから生まれる伝統的な釉薬で、独特の温かみある色合いが魅力です。作り方や焼成温度、他の釉薬との違いを知ることで、作品の表現が広がります。あなたも籾灰釉薬を使いこなせるでしょうか?

籾灰釉薬の作り方と特徴

籾灰釉薬は自分で調合すると失敗します。


この記事のポイント
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籾灰釉薬の基本

籾殻を焼いた灰を主原料とする日本伝統の釉薬で、温かみのある色合いが特徴

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作り方と焼成温度

籾灰の精製から調合まで工程は多く、1230〜1250℃での焼成が必要

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発色のコツ

鉄分含有量と焼成雰囲気のコントロールで、黄褐色から緑褐色まで表現可能

籾灰釉薬とは何か


灰釉薬は、稲の籾殻を焼いた灰を主原料とする釉薬です。日本では古くから使われてきた伝統的な素材で、米作りの副産物を活用した環境に優しい釉薬といえます。


籾殻には珪酸が豊富に含まれているため、焼成すると白色の灰になります。この灰に長石粘土などを加えて調合することで、陶器に独特の風合いを与える釉薬が完成するんですね。


籾灰釉薬の最大の特徴は、温かみのある自然な色合いです。焼成条件によって黄褐色、茶褐色、緑褐色など、幅広い色調が得られます。同じ釉薬でも焼き方次第で表情が変わるのが面白いところです。


また、籾灰釉薬は貫入(表面の細かいひび)が入りやすい性質があります。この貫入が味わい深い景色を作り出し、使い込むほどに風合いが増していくのも魅力の一つです。


茶道具や花器など、日本的な美意識を表現したい作品に特に適しています。素朴でありながら品のある仕上がりは、多くの陶芸家に愛される理由ですね。


籾灰釉薬の作り方の基本工程

籾灰釉薬を作るには、まず籾殻を完全に灰にする必要があります。籾殻を金属容器に入れて屋外で燃やし、白色の灰になるまで焼き切ります。この工程だけで数時間かかることも珍しくありません。


次に灰の精製です。焼いた灰には未燃焼物や不純物が混じっているため、水に溶かして何度も濾す作業が必要になります。80メッシュ程度の篩を使って丁寧に濾過すると、きめの細かい灰が得られます。


精製した灰を乾燥させたら、いよいよ調合です。基本的な配合比は籾灰40〜50%、長石30〜40%、粘土10〜20%程度が目安となります。ただし、この比率は目指す発色や焼成温度によって調整が必要です。


材料を計量したら、乳鉢やボールミルで粉砕混合します。粒子が細かいほど釉薬の仕上がりが美しくなるため、念入りに磨り潰すことが大切ですね。


最後に水を加えてペースト状にします。ヨーグルト程度の濃度が適切で、作品に塗りやすい粘度に調整します。調合から24時間程度寝かせると、釉薬が安定して使いやすくなります。


ここまでの工程で最低でも3〜4日かかります。初心者の方は市販の籾灰釉薬から始めるのも一つの選択です。


陶芸館の釉薬基礎知識ページでは、釉薬の基本的な作り方と安全な取り扱い方法が詳しく解説されています。

籾灰釉薬の焼成温度と発色の関係

籾灰釉薬は1230〜1250℃の還元焼成が基本です。この温度帯で焼くことで、釉薬が適度に溶けて美しい発色が得られます。温度が低すぎると溶けが不十分で粉っぽい仕上がりになり、高すぎると釉薬が流れてしまうんですね。


焼成温度と発色には密接な関係があります。1230℃前後では黄褐色系の落ち着いた色調になりやすく、1250℃近くまで上げると緑がかった色合いが強く出る傾向があります。10〜20℃の違いで表情が大きく変わるのが籾灰釉薬の面白さです。


還元焼成と酸化焼成でも発色が変わります。還元焼成では深みのある緑褐色や黄褐色になり、酸化焼成では明るい黄色系の発色が得られます。作りたい雰囲気に合わせて焼成方法を選ぶことが重要ですね。


焼成時の昇温速度も影響します。ゆっくり温度を上げると釉薬の熟成が進み、滑らかで深い色合いになります。急激に昇温すると表面がガラス質になりやすく、ピンホール(小さな穴)ができることもあります。


冷却速度にも注意が必要です。1000℃付近からゆっくり冷ますと結晶が成長し、独特の質感が生まれます。


急冷すると透明感のある仕上がりになります。


つまり発色は総合的な焼成管理の結果です。


他の灰釉との違いと使い分け

籾灰釉薬と他の灰釉には、原料の違いから生まれる個性があります。代表的な灰釉である藁灰釉は、稲藁を焼いた灰を使います。藁灰釉は籾灰釉よりも鉄分が多く、赤褐色系の発色が特徴です。


木灰釉は樹木の灰を使った釉薬で、樹種によって性質が大きく変わります。楢や樫などの広葉樹の灰は融点が低く、滑らかな質感になりやすいです。松などの針葉樹の灰は融点が高く、マットな仕上がりになる傾向があります。


籾灰釉薬の特徴は珪酸分が多いことです。このため他の灰釉に比べて融点が高く、高温での焼成が必要になります。その分、安定した発色と耐久性が得られるメリットがあります。


使い分けのポイントは作品の用途と求める表現です。食器類には安定性の高い籾灰釉薬が向いています。花器や茶碗など景色を楽しむ作品には、表情の変化が豊かな藁灰釉や木灰釉を選ぶといいでしょう。


複数の灰を混ぜて独自の釉薬を作ることも可能です。籾灰70%、藁灰30%といった配合で、両方の特徴を持つ釉薬ができます。自分だけのオリジナル釉薬を研究するのも陶芸の醍醐味ですね。


それぞれの灰釉の性質を理解することが基本です。


籾灰釉薬で失敗しないための実践的なコツ

籾灰釉薬を成功させる第一のコツは、灰の品質管理です。籾殻の燃焼が不完全だと黒い炭が残り、焼成後に黒点となって現れます。白色になるまで完全に焼き切ることが大切で、途中で水をかけて消火してはいけません。


釉薬の濃度調整も重要なポイントです。薄すぎると発色が弱く、厚すぎると剥がれたり流れたりします。比重計で測定する場合、1.4〜1.5程度が目安になります。計器がなければ、釉薬に指を入れて抜いたとき、爪が透けて見える程度が適切な濃度です。


施釉の厚さは0.5〜1mm程度が理想的です。柄杓で掛ける場合は2〜3回重ね掛けし、浸し掛けなら3〜5秒程度浸します。底部から5mm程度は釉薬を残さないようにすると、窯の棚板に釉薬が付着するトラブルを防げます。


乾燥も見落としがちなポイントです。施釉後は風通しの良い場所で12時間以上乾燥させます。半乾きのまま窯入れすると、焼成中に釉薬が剥がれることがあります。


素地と釉薬の相性も確認が必要です。吸水性の高い土には釉薬が染み込みやすく、緻密な土には乗りにくい傾向があります。初めての土で作る場合は、テストピースで試し焼きすることをお勧めします。


これらのコツを守れば失敗は減ります。


籾灰釉薬の入手方法と保管のポイント

籾灰釉薬を手に入れる方法は、主に自作と購入の2つです。自作する場合、籾殻は農家やJA、米屋で譲ってもらえることがあります。精米所では無料または少額で分けてもらえるケースも多いですね。


市販品を購入する選択肢もあります。陶芸材料店では500g〜1kgの小分けパックが1000〜2000円程度で販売されています。初心者や少量だけ使いたい場合は、市販品のほうがコストパフォーマンスが良いかもしれません。


オンラインショップでも入手可能です。大手陶芸材料メーカーのサイトでは、詳細な使用方法や焼成見本も確認できるため、初めて使う方には便利です。送料を考慮して、他の材料とまとめ買いすると経済的です。


保管は密閉容器を使うのが基本です。釉薬は空気中の湿気を吸って固まりやすいため、蓋付きのプラスチック容器やガラス瓶に入れます。シリカゲルなどの乾燥剤を一緒に入れると、より長期保存が可能になります。


保管場所は直射日光を避けた涼しい場所が最適です。温度変化の激しい場所では釉薬の性質が変化することがあります。倉庫や床下収納など、温度が安定した場所を選びましょう。


一度水で溶いた釉薬は、使用前に必ず撹拌します。長期間放置すると成分が分離して、底に沈殿物が溜まるためです。使う直前に棒でよくかき混ぜ、均一な状態にすることが大切ですね。


適切な保管で釉薬の品質が保たれます。




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