カンニュウとは何か?陶器の美しさを決める基礎知識

陶芸作品に見られる細かなひび模様「カンニュウ」。その発生メカニズムや種類、美しさを引き出すコツまで、初心者にもわかりやすく解説します。あなたの作品をより魅力的にする秘訣とは?

カンニュウとは何か

カンニュウを狙った作品でも、使用環境次第で数年後に割れます。


この記事の3ポイント
🔍
カンニュウの正体

釉薬と素地の収縮率の違いで生まれる美しいひび模様の仕組みを理解できる

種類と特徴

梅花皮や氷裂など、カンニュウの種類別の美しさと発生条件がわかる

⚠️
実用性への影響

カンニュウ作品の使用時の注意点と長持ちさせるメンテナンス方法を習得できる

カンニュウの定義と発生原理


カンニュウとは、陶磁器の釉薬表面に入る細かなひび状の模様のことです。「貫入」という漢字で表記され、英語では「craze」や「crackle」と呼ばれます。


この現象は、陶器を焼成した後の冷却過程で発生します。釉薬と素地(土の部分)の熱収縮率に差があるため、釉薬層に微細な亀裂が入るのです。具体的には、釉薬の収縮率が素地より大きい場合に発生しやすくなります。


つまり欠陥ではなく自然現象です。


陶芸では、このカンニュウを意図的に作り出し、作品の装飾的要素として活用することが一般的です。特に茶陶の世界では、カンニュウの入り方によって作品の価値が大きく変わることもあります。


カンニュウは焼成直後だけでなく、使用中にも発生することがあります。急激な温度変化や長期間の使用により、新たなカンニュウが生まれることも珍しくありません。


カンニュウの歴史的背景と文化的価値

カンニュウは中国の宋代(960年~1279年)に、青磁や白磁の装飾技法として確立されました。当時の陶工たちは、偶然生まれたカンニュウの美しさに気づき、意図的に作り出す技術を発展させたのです。


日本では室町時代に茶道文化とともに広まりました。千利休をはじめとする茶人たちは、カンニュウの入った茶碗に「わび・さび」の美意識を見出し、高く評価しました。完璧ではない不完全さの中に美を見出す、日本独特の美意識がカンニュウの価値を高めたと言えます。


日本の伝統美の象徴ですね。


現代でも、志野焼萩焼楽焼などの伝統的な陶芸において、カンニュウは重要な装飾要素です。作品に時間の経過や使用の痕跡を刻む「景色」として、多くの陶芸家や愛好家に親しまれています。


興味深いことに、西洋の陶磁器文化では長らくカンニュウは欠陥と見なされていました。しかし近年では、日本の美意識の影響を受け、装飾技法として再評価されています。


カンニュウの種類と見分け方

カンニュウにはいくつかの代表的な種類があり、それぞれ独特の美しさを持っています。


梅花皮(かいらぎ)は、釉薬が縮んで素地が露出し、その周囲に細かなカンニュウが入る現象です。まるで梅の花びらが散ったような模様になることから、この名前がつきました。高麗茶碗などでよく見られ、茶道具として特に珍重されます。


氷裂(ひょうれつ)は、氷が割れたような大きめのカンニュウです。ひび割れが不規則に広がり、ダイナミックな印象を与えます。青磁や白磁でよく見られる種類で、中国陶磁の伝統的な装飾として知られています。


大胆な美しさが特徴です。


細貫入(ほそかんにゅう)は、髪の毛のように細かなカンニュウが無数に入ったものです。遠目には釉薬表面がわずかに曇って見える程度ですが、近づいて見ると繊細な網目模様が確認できます。


蜘蛛の巣貫入は、一点から放射状に広がるカンニュウです。まさに蜘蛛の巣のような幾何学的な美しさがあり、計算して作り出すのが難しい希少なパターンとされています。
カンニュウの色も重要な鑑賞ポイントです。使用を重ねると、ひび割れに茶渋や色素が入り込み、茶色や黒っぽく変色します。この変化を「カンニュウが育つ」と表現し、使い込むほどに味わい深くなる特徴として楽しまれています。


カンニュウを意図的に作る条件

美しいカンニュウを意図的に作り出すには、釉薬と素地の組み合わせが重要です。釉薬の熱膨張係数が素地より大きければ、冷却時にカンニュウが発生しやすくなります。


具体的には、長石を多く含む釉薬はカンニュウが入りやすい傾向があります。一方、素地には珪石分の多い土を選ぶと、収縮率の差が生まれやすくなるのです。


焼成温度も大きな要因です。高温で焼くほど釉薬がよく溶け、ガラス質になります。その後の冷却で収縮が大きくなり、カンニュウが発生しやすくなります。一般的に1200℃以上の高温焼成で顕著なカンニュウが生まれます。


温度管理が鍵を握ります。


冷却速度のコントロールも重要です。急冷するとカンニュウが大きく、ゆっくり冷やすと細かなカンニュウになる傾向があります。窯の開け方や冷却時間を調整することで、ある程度カンニュウのパターンを制御できます。


釉薬の厚さも影響します。厚く施釉すると大きなカンニュウが、薄く施釉すると細かなカンニュウが入りやすくなります。一般的には0.5~1mm程度(爪の厚さの5~10倍程度)の釉薬層が、美しいカンニュウを生み出すとされています。


ただし、カンニュウは複数の要因が複雑に絡み合って発生するため、完全にコントロールすることは困難です。同じ条件で焼いても、窯の中の位置や気象条件によって結果が変わることもあります。この予測不可能性こそが、カンニュウの魅力の一つと言えるでしょう。


カンニュウ作品の実用上の注意点

カンニュウが入った陶器は、使用時にいくつかの注意が必要です。ひび割れに水分や汚れが入り込みやすいため、適切なメンテナンスをしないと衛生面や耐久性に問題が生じる可能性があります。


最も重要なのは、使用後の乾燥です。カンニュウの隙間に水分が残ると、カビや雑菌の繁殖、シミの原因になります。洗った後は清潔な布で水気をよく拭き取り、風通しの良い場所で完全に乾燥させましょう。


完全乾燥が基本です。


食器として使う場合は、最初に「目止め」という処理をすることをおすすめします。米のとぎ汁や小麦粉を溶いた水で煮沸すると、デンプン質がカンニュウの隙間を埋め、汚れの浸透を防げます。この処理により、シミや臭い移りを大幅に軽減できます。


日本陶器協会のカンニュウ陶器のお手入れガイド
カンニュウ陶器の正しい目止め方法と日常的なメンテナンスについて、写真付きで詳しく解説されています。


熱湯や電子レンジの使用には注意が必要です。急激な温度変化で新たなカンニュウが入ったり、既存のひび割れが広がって破損する可能性があります。特に冷蔵庫から出してすぐ熱湯を注ぐような使い方は避けましょう。


カンニュウ作品は経年変化を楽しむものですが、汚れや変色が気になる場合は、漂白剤を薄めた液に一晩浸ける方法があります。ただし、釉薬によっては変色する可能性があるため、目立たない部分で試してから行うことが賢明です。


保管時は、重ね置きを避けるか、間に布や紙を挟むことをおすすめします。カンニュウ部分は通常の釉薬面より脆弱なため、直接重ねると傷がつきやすくなります。


これらの注意点を守れば、カンニュウ作品を長く安全に使用できます。適切なケアをすることで、時間とともに変化する「景色」を楽しむことができるでしょう。




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