漂白剤色落ち修復ペンで陶器食器の復元方法

漂白剤で色落ちした陶器や食器を修復ペンや補修方法で美しく蘇らせる手順を解説します。重曹や塩など家庭にあるもので対処できる方法から専門的な修復技法まで、あなたの大切な食器を守る知識をお届けします。どの方法が最適でしょうか?

漂白剤色落ち修復ペンの選び方と使用方法

この記事でわかること
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修復ペンの選び方

陶器食器に適した補修ペンの種類と特徴を理解できます

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漂白剤による色落ち対策

色落ちを防ぐ予防法と発生時の対処手順がわかります

専門的な修復技法

金継ぎなど伝統的な修復方法と現代の補修技術を紹介します

漂白剤による色落ちが陶器食器に起こる原因

 

陶器の食器に漂白剤を使用すると色落ちが発生する主な原因は、陶器の構造にあります。陶器は磁器と異なり多孔質で吸水性が高く、目に見えない小さな穴や貫入(ひび状の模様)が存在します。漂白剤の強力な化学成分が陶器の内部深くまで浸透し、釉薬や素地の色素を分解してしまうことで色落ちが起こります。
参考)器の扱い方~その3~漂白剤はご法度!

塩素系漂白剤は特に注意が必要で、陶器に使用すると釉薬の色を変色させたり、金彩や銀彩などの装飾を損なう可能性があります。また、吸水性の高い陶器では漂白剤が内部に染み込んだまま残留し、通常の洗い方では除去しにくくなることも問題です。
参考)やきもの

磁器は吸水性が低いため漂白剤を使用できる場合もありますが、陶器では基本的に漂白剤の使用は避けるべきとされています。特に色付きの陶器や装飾が施された食器には、漂白剤を使わない代替方法を選択することが大切です。
参考)【陶器の手入れ・洗い方】お気に入りを長く使うためのひと工夫

修復ペンの種類と陶器食器への適用可否

市販されている修復ペンには主に布用染色ペン、家具用補修ペン、革製品用補修ペンなどがあります。しかし、これらのペンは基本的に陶器食器の修復には適していません。革色補修ペンの注意書きにも「飲食用食器にはご使用いただけません」と明記されています。
参考)漂白剤で色落ちした黒の服を修復ペンで直す方法とおすすめ人気ラ…

布用の染色ペンは衣類の色落ち修復に特化しており、セリアやダイソーなどの100均でも入手可能ですが、食品が触れる陶器には使用できません。家具用補修ペンも木部専用で、食器への使用は安全性の観点から推奨されていません。
参考)漂白剤の色落ちは100均ペンで修復できる! - 暮らしのカラ…

陶器食器の色落ちに対しては、修復ペンではなく陶器用の専用塗料や金継ぎなどの伝統的な修復技法を検討する必要があります。ペベオ陶器用ポーセレン150などの食品安全性を考慮した陶器用塗料も存在しますが、メーカーの推奨用途を必ず確認してください。
参考)割れた食器を金粉と漆で修復!伝統技法「金継ぎ」の方法と必要な…

漂白剤色落ちを家庭で修復する実践的手順

陶器食器の色落ちを家庭で修復する際は、まず重曹を使った方法を試すことをおすすめします。水を含ませたスポンジに大さじ1杯の重曹をのせ、色落ち部分をゆっくりと擦りながら洗います。この方法は表面的なシミや着色汚れに効果的です。
参考)フリーダイヤル

次に試したいのが粗塩を使う方法です。小さじ1杯程度の食塩を色落ち部分に付け、2~3滴の水を混ぜて指で強く擦ります。茶渋やコーヒーの染みには特に効果があり、落ちない場合はナイロンタワシを使用することもできます。
参考)白い部分の茶渋などの色素が気になる場合やカビが生えてしまった…

天日干しによる乾燥も有効な対処法です。水分が染み込んでシミに見えている場合、しっかり乾燥させることで色が戻ることがあります。煮沸する方法もあり、お湯の中でぐつぐつ煮込むことで汚れを除去できる場合があります。​

陶器の目止めで漂白剤色落ちを予防する方法

陶器の色落ちを防ぐ最も効果的な予防策は、使用前に「目止め」を行うことです。目止めとは、多孔質で吸水性のある陶器にデンプン質を染み込ませることで、料理の成分や漂白剤が染み込みにくくする処理方法です。
参考)Care

目止めには米のとぎ汁、または小麦粉か片栗粉を水に溶かしたものを使用します。器が完全に浸る大きさの鍋に米のとぎ汁と器を入れ、常温の水から弱火~中火でゆっくり加熱して沸騰させます。沸騰後は火を止めて20~30分程度置いてから取り出します。
参考)陶器のお手入れ・取り扱い方法|料理家 栗原はるみ レシピ・オ…

目止めは購入後の初回使用前に必ず行い、その後も半年に1回など定期的に実施するとより効果的です。この処理により陶器表面の微細な貫入やピンホールがふさがれ、漂白剤などの化学物質の浸透を防ぐことができます。
参考)やちむんのお手入れ方法「目止め」|琉球民芸センター

漂白剤使用時の陶器食器への正しい注意点

陶器食器への漂白剤使用は基本的に避けるべきですが、磁器であれば慎重に使用できる場合があります。使用する際は、酸素系漂白剤を選び、塩素系漂白剤は絶対に使わないようにしましょう。酸素系漂白剤は塩素系よりも穏やかな性質を持ち、陶器への影響が比較的少ないとされています。
参考)【保存版】漂白剤の種類と使い方を徹底解説|正しく使って汚れ・…

漂白剤を使用する場合は、メーカーの指示に従って適切な濃度に希釈し、つけ置き時間を数十分~1時間程度に制限することが重要です。長時間のつけ置きは陶器の素地まで漂白剤が入り込む原因となり、後で除去が困難になります。
参考)陶磁器のお手入れ - うつわのセレクトショップ 宮内庁御用達…

金彩や銀彩、色絵が施された陶器には漂白剤を使用してはいけません。これらの装飾は漂白剤で変色や剥離が起こる可能性が高く、一度損傷すると元に戻すことはできません。漂白後は必ず十分にすすぎ洗いを行い、残留成分を完全に除去してください。
参考)器の扱い方と手入れ方法について|雨晴/AMAHARE

食器コレクター向けの陶器保管と手入れの工夫

陶器や食器のコレクションを長期間美しく保つためには、適切な保管環境が不可欠です。湿気の多い場所や直射日光が当たる場所での保管は避け、極度の乾燥を防ぐためにエアコンや暖房器具から離れた場所を選びましょう。
参考)ディスプレイキャビネット

ディスプレイキャビネットやコレクション棚を使用する場合は、耐荷重を守り、棚板に過度な重量をかけないよう注意してください。陶器などの割れ物や高価な品物を陳列する際は、落下防止のため棚受けダボの定期的な確認が必要です。
参考)https://www.nakabayashi.co.jp/product_files/96725/96725.pdf

日常的なお手入れは、柔らかい布でからぶきするのが基本です。汚れがひどい場合は、うすめた中性洗剤を含ませた布で軽く拭いて汚れを落とし、その後洗剤が残らないよう水拭きおよびからぶきを行います。ベンジン、シンナー、クレンザーなどの使用は陶器の表面を傷つけるため避けてください。
参考)https://www.lecreuset.co.jp/faq-maintenance-index.html

使用後の陶器は完全に乾燥させてから収納することでカビの発生を防ぎます。洗った後、完全に乾燥するまで棚にしまわないことが、長期保存のための重要なポイントです。
参考)|中川政七商店オンラインショップ

金継ぎで陶器食器を芸術的に修復する伝統技法

金継ぎは漆を用いて陶磁器の破損部分を修復し、金粉で装飾する日本の伝統工芸技法です。色落ちだけでなく、割れや欠けなどの破損も美しく修復できる方法として、近年海外からも注目を集めています。
参考)壊れた器を美しく蘇らせる伝統技術・金継ぎの魅力

本格的な金継ぎの手順は、まず破損面に漆を塗布して1日乾燥させ、次に小麦粉・木の粉・漆を混ぜた「麦漆」で接着します。接着後約2週間乾燥させ、はみ出た漆を削って平らにしてから、断面に金粉を蒔いて仕上げます。​
漆を使わない「金継ぎもどき」という方法もあり、食品用接着剤と陶器用の金色塗料を使用します。ペベオ陶器用ポーセレン150などの安全な塗料を選べば、食器としての使用も可能です。ただし、土鍋や花瓶など本漆で金継ぎできない器もあるため、素材の確認が必要です。
参考)金継ぎもどきで割れた皿を修繕|KAKAKKO(かかっこ)

重曹と酸素系漂白剤で陶器のシミを安全除去

陶器のシミや汚れを安全に除去するには、重曹と酸素系漂白剤の組み合わせが効果的です。まず重曹を使った方法を試し、それでも落ちない場合に酸素系漂白剤を使用するという段階的なアプローチがおすすめです。
参考)アンティーク食器

重曹を使う場合は、水1リットルに対し大さじ1杯程度の重曹を入れて火にかけます。重曹が完全に溶けたら十分に乾かした器を入れ、沸騰したら火を止めて一晩置きます。この方法は油じみの除去にも一定の効果があり、器全体の雰囲気が若干変わることもありますが安全性が高い方法です。​
酸素系漂白剤を使用する際は、取扱説明書の分量に従って水に溶かし、うつわをつけ込みます。成分が奥まで浸透しないよう、つけ置き時間は数十分~1時間程度にとどめることが重要です。オキシクリーンなどの市販品を使う場合は、40℃~60℃のお湯に溶かして20分ほど漬けおきします。
参考)食器の使い方を押さえてマナーやお手入れ法まで徹底解説 - 宇…

磁器と陶器で異なる漂白剤への耐性と対処法

磁器と陶器では構造が大きく異なるため、漂白剤への耐性も異なります。磁器は高温で焼成されガラス質が多く、吸水性が低いため漂白剤を使用できる場合が多いです。一方、陶器は土物で吸水性が高く、漂白剤が内部に浸透しやすいため使用は避けるべきです。​
磁器であっても、釉薬の質や焼成方法により表面に傷がつきやすい場合があります。ゴシゴシ洗うことで傷が付き、その傷に汚れが付く悪循環が生まれるため、丁寧な扱いが必要です。京焼・清水焼などの高品質な磁器は施釉の技術が高く、何十年使っても真っ白を保つことができます。​
陶器の場合は重曹や塩といった天然素材を使った洗浄方法が推奨されます。どうしても漂白が必要な場合は、食塩をこすりつけて一晩置く方法があり、漂白剤ほどの効果はありませんが安全性が高い代替手段となります。
参考)和食器の取り扱いについて - 【おとなの和食器屋 さんすい通…

色落ち修復後の陶器食器を長持ちさせる使い方

修復後の陶器食器を長持ちさせるためには、日常的な使い方に注意が必要です。使用前に毎回水にくぐらせることで、陶器の表面を水分でコーティングし、料理の色や油分が染み込みにくくなります。特に色の濃い料理や油分の多い料理を盛る前は、この習慣を徹底しましょう。​
使用後はできるだけ早く洗うことが重要です。料理を長時間盛ったままにすると、色素や油分が陶器内部に浸透しやすくなります。洗う際は中性洗剤とやわらかいスポンジを使用し、強くこすらないよう注意してください。粗熱が取れた状態で洗い始めると汚れを簡単に取ることができます。
参考)【骨董品買取の豆知識】陶器や磁器など、焼き物の掃除、お手入れ…

洗浄後は完全に乾燥させることがカビや臭い移りの防止につながります。特に陶器は吸水性が高いため、湿った状態で収納するとカビが生えやすくなります。天日干しや風通しの良い場所で十分に乾燥させてから棚にしまいましょう。​
食器用漂白剤を使用した後は、すぐにすすぐことをおすすめします。つけ置き時間が終わったら放置せず、その場を離れる場合は漂白中であることがわかるようにしておくことで、誤飲などの事故を防ぐことができます。
参考)花王

プロに依頼すべき陶器食器の修復ケースとは

陶器食器の修復をプロに依頼すべきケースは、価値の高い骨董品や美術品、思い入れのある高価な食器の場合です。家庭での修復方法では元の状態に戻せない、あるいは逆に損傷を悪化させるリスクがある場合は、専門家に相談することをおすすめします。​
金継ぎなどの伝統技法は経験や技術がなくても挑戦できますが、本格的な漆を使った修復には専門知識が必要です。漆はアレルギー性物質を含んでおり、かぶれなどを引き起こす可能性があるため、不安がある場合はプロの金継ぎ師に依頼する方が安全です。
参考)本漆で金継ぎできない器3選

色落ちが広範囲に及ぶ場合や、経年劣化による変色の場合は、再塗装が必要になることがあります。専門の塗装工場では、元の色合いに合わせた白い塗料で再塗装することで新品のような仕上がりにできます。特に白い陶器の黄ばみなどは、プロの技術により美しく復元できる可能性が高いです。
参考)白い家具の黄ばみの落とし方を予防方法とともに解説

割れや欠けがある場合、接着部分の強度や食品安全性を確保するためにも専門家への依頼を検討しましょう。食器として使用する場合は、接着剤の種類によって食品用として適さない場合もあるため、プロの判断が重要です。​