印花 陶芸で三島手 初心者向け技法 道具 失敗防ぐコツ

印花を使った陶芸の三島手技法では、粘土の乾燥具合や化粧土の落とし方が重要なポイントです。素焼き製と木製の印花の違い、象嵌技法の手順、失敗しないための道具選びまで、初心者が知っておくべき情報を詳しく解説します。あなたも印花で美しい模様を作れるようになるでしょうか?

印花 陶芸 技法

生乾きの粘土に印花を押すと作品が割れやすい。


この記事のポイント
🎯
印花とは型押しで模様をつける道具

素焼き製と木製があり、半乾きの粘土に押し付けて凹凸を作る技法です

三島手は化粧土を埋め込む象嵌技法

印花の凹みに化粧土を塗り込み、余分な土を落として模様を浮かび上がらせます

⚠️
乾燥タイミングと道具選びが成否を分ける

粘土の水分量と化粧土を落とす道具の選択が、失敗を防ぐ最大のポイントです

印花 陶芸の基本と歴史


印花(いんか)とは、型を作品に押し付けて模様をつける陶芸技法のことです。ここでいう「花」とは「模様」という意味を持ち、中国発の陶芸技法に多く見られる表現です。青花染付)、画花(描画による模様)、貼花(粘土の貼付による模様)など、さまざまな「花」のつく技法が存在します。


参考)印花の技法


印花技法は、生乾き状態の胎土に型を押し当てて模様をつける工程で行われます。この技法の歴史は古く、中国の定窯における白磁作品が有名な例として知られています。定窯では龍や草花などの型を見込み全体に押した作品が大量に出土しており、精緻で同一の模様から型押しされたことが確認されています。


日本では、印花を使った象嵌技法が三島手と呼ばれ、約350年前から武雄などで作られてきました。印花の凹んだ部分に白い化粧土をはめ込んで焼成する技法は、朝鮮から伝わったものとされています。つまり象嵌技法は東アジア全体で発展した装飾手法です。


印花 陶芸 道具の種類と選び方

印花には素焼き製と木製の2種類が存在し、それぞれに特徴があります。素焼き製の印花は水分を吸収する性質があるため、連続使用しても粘土がくっつきにくく、快適に作業が行えるのが最大の利点です。サイズは直径17mm~20mm、または正方形で16mm~18mmほどが一般的で、価格は1個あたり880円程度です。


参考)https://www.tougeishop.com/products/list.php?category_id=11


木製の印花は自作も可能で、ハンドルーターを使って枝や適切な木材に模様を彫り込んで作ります。木製印花を作る際は、凹凸を強調するために溝を深めに削り、外側の薄皮を丁寧に削ることが重要です。また、粘土の付着を防ぐ工夫として、ゴムシートや薄手のニトリル手袋を被せて使用する方法があります。


これは使えそうです。


印花は花模様、渦巻き、菊花紋など、いろいろな種類のデザインがあります。初心者の方が道具を選ぶ際は、まず素焼き製の印花を数種類揃えることをおすすめします。連続作業での失敗リスクが低く、粘土がくっつきにくい素焼き製なら、安定した模様付けが可能になるためです。


印花 陶芸 三島手の技法手順

三島手は印花による象嵌技法の代表的な呼び名で、地の粘土と模様の化粧泥に凹凸がないのが特徴です。具体的な手順は、まず生乾きの状態の作品に印花を押して凹みを作ります。その後、凹みに化粧土を塗り込み、余分な化粧土を落とすと、印花の文様がくっきりと浮かび上がります。


一般的な技法では、印花を押す→化粧土を塗る→ゴムべらで不要な化粧土を落とす→化粧土が乾いたら掻きべらで不要な化粧土を落とす、という手順で進めます。しかし、この方法は粘土と化粧土の乾き具合の見極めが難しく、印花の模様がうまく出てくれないことが多いのです。


厳しいところですね。



そこで失敗を防ぐ裏技として、スチールウールを使って余分な化粧土を落とす方法があります。スチールウールであれば、乾き具合の見極めが難しくても失敗が少なく、模様が奇麗に出ます。この技法を使えば、初心者でも三島手の美しい仕上がりを実現できます。化粧土を落とす際の道具選びが、作品の完成度を左右することを覚えておけばOKです。


印花 陶芸 粘土の乾燥タイミング

印花を押すタイミングは「半乾き」または「生乾き」と呼ばれる状態が基本です。粘土が完全に湿った状態では模様がぼやけてしまい、乾燥しすぎると粘土が割れてしまうリスクがあります。特にろくろ成形で作った作品は、削り等が終わって更なる乾燥が始まると、S字状の亀裂や辺縁の亀裂が生じてしまうケースが多々あります。


参考)失敗しない素地の乾燥 - 泰雅庵の出来事


乾燥にあたって失われる水分量に比例して粘土は収縮し、特にろくろの回転で圧を掛けて作陶した場合、粘土粒子の結晶が同じ方向に並びます。収縮の際にろくろの回転とは逆方向に収縮し始める現象が起きるため、内部の水の移動・拡散の速度が表面からの蒸発速度に追いつかないと、収縮の不均衡が生じてしまうのです。


つまり急速な乾燥は厳禁です。



印花を押す作業後は、一気に乾燥させずにゆっくりと乾かすことが重要になります。作品全体が同じ乾燥状態であれば収縮差は小さくなるため、ビニール袋や湿った布で覆ってゆっくり乾燥させる方法が効果的です。粘土粒子が細かいほど注意が必要で、蒸発速度と内部の水分移動のバランスを保つことが、印花模様を美しく仕上げる条件です。


印花 陶芸 化粧土の種類と埋め込み方

化粧土は一般的に白化粧土と黒化粧が主に使われます。白化粧土を印花の凹みに埋め込むと、白い模様が浮かび上がり、黒化粧を使えば黒い模様が表現できます。化粧土を埋め込む象嵌技法では、地の粘土と模様の化粧泥に凹凸がないのが特徴で、この平滑さが三島手の美しさを生み出します。


化粧土を塗り込む際は、印花で作った凹みにたっぷりと化粧土を入れ、ゴムべらやスポンジで表面を均一にならします。この時、凹みの中にしっかり化粧土が詰まるように、軽く押し込むようにすると良い結果が得られます。化粧土が乾く前に余分な土を落としすぎると、凹みの中の化粧土まで取れてしまうため、少し乾燥を待つのが原則です。


化粧土を落とす工程では、前述のスチールウールを使う方法が最も失敗が少ない手法です。従来のゴムべらや掻きべらでは乾き具合の見極めが難しいため、初心者はスチールウールを用意しておくことをおすすめします。この道具を使えば、粘土と化粧土の乾燥タイミングを厳密に管理しなくても、模様がくっきりと浮かび上がります。


印花 陶芸 失敗を防ぐ独自のコツ

印花を押す際の力加減は、作品の厚みや粘土の硬さによって調整が必要です。力を入れすぎると粘土が変形したり、裏側まで圧力が伝わって歪みが生じたりします。逆に力が弱すぎると模様が浅くなり、化粧土を埋め込んでも模様がはっきりしません。どういうことでしょうか?
粘土の厚みが5mm程度なら軽く押す程度で十分ですが、1cm以上の厚みがある場合は、やや強めに押して深い凹みを作る必要があります。スマートフォンの画面くらいの面積(約15cm×7cm)に印花を複数押す場合、押す順序を外側から内側へ進めると、粘土の変形を最小限に抑えられます。


これだけは例外です。


また、印花を押した直後に化粧土を塗るのではなく、10分から15分ほど乾燥させてから化粧土を塗り込む方法もあります。この待ち時間により、凹みの形が安定し、化粧土を塗った際に凹みが潰れにくくなるためです。焼成後の模様の鮮明さを高めるために、釉薬を掛ける前に印花部分を軽くサンドペーパーで磨く仕上げ方法もありますが、これは経験を積んでから試すと良いでしょう。


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