絵唐津 茶碗とは|特徴・歴史・選び方

絵唐津茶碗の特徴や歴史、見分け方から価格相場まで、陶芸に興味を持つあなたが知っておくべき情報を詳しく解説します。桃山時代から続く伝統の魅力とは何でしょうか?

絵唐津 茶碗の魅力と基本

絵唐津茶碗は目止めせずに使うと茶渋が染み込みます

この記事のポイント
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鉄絵の技法が特徴

鬼板という鉄釉で草花や人物を描き、長石釉や灰釉をかけて焼成する唐津焼の代表的技法です

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桃山時代からの歴史

1590~1610年代に最盛期を迎え、茶の湯では「一楽二萩三唐津」と称される名品として高く評価されています

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価格相場は作家次第

現代作家の作品は1万円~数十万円、古唐津の名品は50万円以上の価値があります

絵唐津 茶碗の技法と表現


絵唐津とは、素地鬼板とよばれる鉄の顔料を用いて絵付をする、唐津焼を代表する技法です。鬼板は鉄釉の一種で、これを使って草、木、花、鳥、人物などの文様を筆や指で描き、上から長石釉灰釉などの透明系の釉薬をかけて焼成します。文様は李朝風の抽象文や幾何学文、風景など多彩で、奔放なタッチと力強さが身上といえます。


参考)古唐津に魅せられて−絵唐津、梅花皮(かいらぎ)、斑唐津、青唐…


焼き方によって鉄の発色が変化するのも絵唐津の見どころです。鉄絵具は蛇蝎風に発色し、厚くかかった釉薬と混和することで、深々とした調子を生み出します。


この独特の色合いが何ともいえない魅力です。



参考)https://www.umakato.jp/library/gihou/touki_gihou.html


400年の歴史を持つ唐津焼の代表的な技法として、絵唐津は遺品の数もかなり多く、桃山末から江戸初期にかけてわずかの間しか作りませんでしたが、相当の数が残っています。


量産されたことがわかりますね。



参考)絵唐津 菖蒲文 茶碗


絵唐津は茶碗のほかに、皿・鉢・火入など種類も多いのが特徴です。特に向付、向皿、鉢の類が多く、絵と同様に器形も洒落たバラエティーに富んでいます。


参考)絵唐津 えからつ とは


絵唐津 茶碗の歴史的価値

茶の湯の世界では、好ましい抹茶茶碗として「一楽二萩三唐津」と称され、唐津茶碗を珍重する風があります。中でも茶碗は桃山時代から江戸時代初期にはその価値を高く評されました。これは当時の茶人たちの審美眼を物語っています。


参考)http://kobijutu-hajime.main.jp/Show-N/N-083/index.html


絵唐津菊桐茶碗(燕庵名物)は、秀吉が文禄の役の名護屋在陣中に焼かせたと伝えられ、帰洛後敷内剣仲に授けました。この歴史的なエピソードは、絵唐津が権力者にも愛されていた証拠です。


絵唐津の有名作品として「菖蒲文茶碗」があります。胴に菖蒲一茎を描いたこの茶碗は、戦後刊行されたたいがいの陶書には発表されており、絵唐津では最も有名な茶碗です。


簡勁で深々とした趣がたまらなくいいです。



絵唐津は、二百に近い唐津諸窯のうち、かなり方々で作っています。道園・阿房谷・甕屋谷・焼山・藤の川内・高麗谷・市の瀬山・薩の元・柳の元・小溝山・李祥古場などが絵唐津の窯として有名です。


産地が多いということですね。



絵唐津 茶碗の見分け方と鑑定

絵唐津茶碗の真贋判定では、まず共箱を確認することが重要です。蓋裏に作家名が自筆で書かれていることが多く、花押や印が付いている場合もあります。茶碗の高台(底部分)に作家印があるかも重要なポイントです。


参考)唐津焼茶道具の魅力と価値を徹底解説|査定のコツと高額買取を実…


本物の釉薬は均一にかかっているのではなく、自然なムラや流れが見られるのが特徴です。贋作は釉薬が均一すぎたり、表面にざらつきがあったりします。


釉調の自然さが判断材料になります。



参考)銘や落款から見る茶道具の真贋判定法:本物の価値を見極める


銘の彫りも真贋判定の重要な証拠です。贋作は浅く均一に刻まれていることが多く、字体にも不自然さがあります。一方で本物は筆圧の強弱が見られ、彫りが深いのが特徴です。


有名作家の作品では、中里太郎右衛門窯の「三ツ星」と呼ばれる裏面の三つの点が標章とされています。こうした窯元特有の印も見分けの手がかりです。共箱や証明書が揃っていれば、専門業者に持ち込んだ際に正確な評価につながりやすくなります。


参考)十三代 中里太郎右衛門 作『絵唐津 茶碗』 買取価格相場|骨…


絵唐津 茶碗の価格相場と市場

絵唐津茶碗の価格相場は作家や作品の状態によって大きく変動します。Yahoo!オークションでの過去120日分の落札相場を見ると、約490件の落札価格は平均19,605円です。


一般的な相場の目安になります。



参考)Yahoo!オークション -「絵唐津茶碗」の落札相場・落札価…


現代作家の作品では、十三代中里太郎右衛門作の絵唐津茶碗が参考買取価格10,000円とされています。一方、十二代太郎右衛門窯の作品は人気があり、評価額では10万円前後もします。十二代は人間国宝に選ばれた方であり、その方の下で働いた職人たちが作る作品が人気である理由です。


古唐津の名品になると価格はさらに高騰します。「なんでも鑑定団」で紹介された絵唐津の茶碗は50万円の鑑定価格がつきました。また、店頭買取での実績では、絵唐津茶碗が30,000円で買取されたケースもあります。


参考)絵唐津の茶碗|開運!なんでも鑑定団|テレビ東京


作品の状態、共箱の有無、作品の欠損などが評価額を左右します。保存状態が良好であるほど、査定時の評価が高くなりますね。購入や売却を検討する際は、複数の専門業者に相談することをおすすめします。


絵唐津 茶碗の正しい使い方と手入れ

陶器製の絵唐津茶碗は吸水性が高いため、使用前の処理が必須です。そのまま使用すると茶渋やシミの原因になります。使う前には、ぬるま湯に数時間浸す「目止め」を行い、汚れの染み込みを防ぎます。


この一手間が長持ちの秘訣です。



茶会の直前には軽く湯通しすることで割れを防ぎます。急激な温度変化は陶器の大敵なので、熱湯ではなくぬるま湯を使うことが重要です。


湯通しは必須の手順です。



参考)https://www.kotopotter.jp/blogs/table_coordinate/matchabowl_handling


使用後はぬるま湯でやさしく洗い、柔らかい布やスポンジで汚れを落とします。


中性洗剤は必要最低限に抑えてください。


絵唐津の鉄絵は上から釉薬でコーティングされているため、絵自体は簡単には剥げませんが、丁寧な扱いが基本です。


乾燥は陰干しが原則です。直射日光や急激な乾燥は避け、風通しの良い場所で自然乾燥させます。保管時は湿気の少ない場所を選び、長期間使わない場合は定期的に空気に触れさせることで、カビや変色を防げます。これらの手入れ方法を守れば、絵唐津茶碗を長く美しく使い続けることができます。


抹茶碗の種類別お手入れガイド
抹茶碗全般の詳しい手入れ方法と保管のコツが解説されています。




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