この記事では青織部の謎と魅力に迫ります。
どうして茶碗がないのでしょうか?
青織部の茶碗は織部焼の中でも存在しないという謎があります。
織部焼の中でも特に有名な青織部ですが、実は茶碗がほとんど存在しないという不思議な特徴があります。緑色の美しい釉薬を持つ青織部は向付(むこうづけ)などの食器類が中心で、茶碗として作られることは極めて稀でした。
これは織部焼の謎の一つとされています。
茶碗として作られたのは主に織部黒(黒織部)で、青織部の緑釉は懐石料理の器に用いられたのです。桃山時代の茶道文化では、茶碗と食器で異なる焼き方や釉薬が選ばれていたことがわかります。
これは古田織部の美学による意図的な使い分けだった可能性があります。茶席では黒い茶碗で静けさを表現し、懐石では緑の器で華やかさを演出するという対比です。
つまり色の使い分けが重要だったということですね。
参考)http://www.oribe.gr.jp/cgi-bin/oribe/siteup.cgi?category=2amp;page=4
当時の茶会記録を見ると、織部は慶長六年(1601年)に「足付の瀬戸四方皿」など新しい食器を次々に茶会で採用しています。青織部の向付もこうした革新的な懐石道具の一つとして誕生したのです。
青織部は桃山時代後期(16世紀末から17世紀初頭)に美濃地方で焼かれ始めた陶器です。千利休の弟子であり豊臣秀吉の茶陶を務めた茶人・古田織部(ふるたおりべ)が、自らの好みで美濃の陶工に作らせたことが始まりとされています。
参考)織部焼(おりべやき)とは|古田織部が創始した緑釉陶磁器の歴史…
古田織部は千利休の「わび」を根底に持ちながら、「あえて壊す・崩す・曲げる」という発想を徹底しました。慶長四年(1599年)の茶会では、焼き上げる途中で歪んでしまった茶碗を「へうげもの(ひょうげもの)」と称して驚きと面白さを表現したという記録が残っています。
桃山時代は「茶碗1つに城1つ」と言われるほど、個性的で高価な茶道具が好まれた時代でした。織田信長と豊臣秀吉という二人の最高権力者の強力な庇護のもと、古田織部という天才芸術家が新しい茶陶文化を生み出したのです。
織部が活躍したのは天正13年(1585年)から慶長20年(1615年)までの約30年間です。その後、織部は歴史から抹殺された時期があり、これが織部焼の謎が深まった一因とされています。
参考)http://www.oribe.gr.jp/cgi-bin/oribe/siteup.cgi?category=3amp;page=1
ORIBE美術館の「織部焼き誕生の歴史的側面」ページでは、桃山時代の茶陶文化と権力者の関係について詳しく解説されています
青織部の最大の特徴は、鮮やかな緑色の釉薬です。「織部釉」とも呼ばれる銅緑釉(どうりょくゆう)を使用しており、この緑色が青織部の名前の由来となっています。
参考)美の壺「桃山の革命 織部焼」<File 563> - おもて…
器の形状は大胆に歪ませたものが多く、沓形(くつがた)や木葉形など独特の造形が特徴です。轆轤(ろくろ)で成形した後、両手で意図的に歪ませる技法が用いられました。
これが織部らしさの本質です。
参考)織部焼(おりべやき)
文様は幾何学的なデザインや松林文、梅花文などが鉄絵で描かれます。緑釉と白い素地、そして黒い鉄絵の対比が美しい調和を生み出しています。織部焼は抽象を重んじる他の茶器と一線を画す存在です。
向付は懐石料理で刺身や煮物、和え物を盛る器として使われました。17.7×5.5cm程度の手ごろなサイズが多く、存在感がありながら実用性も兼ね備えています。意匠を凝らした中鉢として現代でも人気があります。
青織部を含む織部焼の買取相場は、時代や作家によって大きく変動します。現代作家の作品では数万円から、著名作家の青織部花生で10万円程度が目安です。
参考)織部焼の買取相場!高く売れる織部焼の特徴や少しでも高く売るコ…
北大路魯山人の「織部菊平向」は30万円前後の相場とされ、巨匠の作品はコレクターに人気があります。オークションや骨董市では、これ以上の高額落札されるケースも少なくありません。
魯山人作品は特別な価値がありますね。
桃山時代から江戸初期の古い青織部は、現存数が非常に少なく歴史的価値も高いため、骨董市場では特別視されています。古田織部ゆかりの作品は博物館級とされ、現代でも研究対象となるほどの芸術的意義を持ちます。
一般的な青織部の向付であれば、数千円から入手できるものもあります。織部幾何紋向付は約2,770円(税込)で販売されており、日常使いとして楽しむこともできます。
気軽に織部の美を味わえる価格帯ですね。
骨董品として購入を検討する場合は、作家名、箱書き、保存状態を確認することが重要です。専門の買取業者や骨董店で鑑定を受けると、適正な価値を知ることができます。
ウリエルの「織部焼の買取相場」ページでは、織部焼の詳しい相場情報と高価査定のポイントが紹介されています
青織部などの織部焼は陶器(土もの)なので、使用前に適切な準備が必要です。新しい器を購入したら、まず水でよく洗い流します。
使う前には約10分以上、器を水に浸けておきましょう。陶器は土の粒子の間に隙間があり、水を含ませることで料理の汁気や油が染み込みにくくなります。また器の質感がしっとりした肌合いになり、より一層料理を引き立てます。
水に浸ける習慣が大切です。
使用後は長時間のつけ置き洗いを避け、柔らかいスポンジで洗います。陶器は他の食器の汚れを吸収してしまうため、すぐに洗うことが重要です。
洗った後は最後に熱いお湯を通すと汚れがしっかり落ち、乾きも早くなります。生乾きのままですぐに収納するとニオイやカビの原因になるので、必ず自然乾燥させてください。
完全に乾くまで待つことが条件です。
もし汚れが染み込んでしまった場合は、市販の台所用漂白剤を薄めて使えますが、上絵付の器は変色する可能性があります。使い込むことで生じる汚れも風合いとして楽しむのも、陶器ならではの味わいです。
青織部の魅力を深く理解するには、実際に手に取って触れることが重要です。写真や画像では伝わりにくい、器の重さ、手触り、歪みの絶妙なバランスを体感できます。
多くの美術館や陶芸ギャラリーでは、織部焼の展示を定期的に開催しています。実物を見ることで、緑釉の発色の違いや文様の細かさ、400年前の陶工の技術を肌で感じられます。
美術館訪問が理解を深めます。
現代では陶芸教室で織部焼の技法を学ぶことも可能です。轆轤成形から歪ませる工程、鉄絵を描く作業まで、古田織部が追求した「へうげた」美学を自分の手で再現する体験ができます。
青織部の向付を日常の食卓で使うことで、桃山時代の茶人たちが楽しんだ美意識を現代に蘇らせることができます。刺身や前菜を盛るだけで、食卓が一気に格上げされます。
器選びで食事が変わりますね。
陶芸に興味がある方は、まず手頃な価格の現代作家による青織部向付を一つ購入してみることをおすすめします。実際に使いながら、水に浸ける習慣や手入れ方法を身につけることで、陶器との付き合い方が自然と身につきます。こうした実践経験が、より深い陶芸の世界への入口となるでしょう。