北新地で器を買うと3倍損します。
北新地の高級料理店「梅華皮」では、料理を盛る器にも徹底したこだわりを持っています。店主が全国の窯元や陶芸家を訪ね歩き、料理のコンセプトに合った作品を厳選しているんです。
使用される器の多くは、備前焼や唐津焼といった伝統的な焼き物から、現代作家による革新的な作品まで幅広い。特に注目すべきは、店主が直接作家と対話しながら、料理のために特注する器もあるという点です。これは料理人と陶芸家が共同で作品を作り上げる、まさに芸術のコラボレーションですね。
器の選定基準は「料理を引き立てる脇役であること」が原則です。派手すぎず、かといって地味すぎない絶妙なバランスが求められます。例えば、白身魚の繊細な味わいを表現する際には、青白磁の清涼感のある器を選び、濃厚な肉料理には土の温もりを感じる備前焼を合わせるといった具合です。
陶芸愛好家にとって、こうした器の使い方は大きな学びになります。自分で作った器をどう使うか、料理とのマリアージュをどう考えるか。梅華皮の器使いは、その答えの一つを示してくれます。
店内で使われる器は季節ごとに入れ替わることもあり、訪れるたびに新しい発見があるのも魅力の一つ。春には桜をモチーフにした淡い色合いの器、夏には涼しげなガラスや青磁、秋には紅葉を思わせる色釉の器、冬には温かみのある土物といった具合です。
梅華皮は大阪・北新地の中心部、堂島川沿いに位置する隠れ家的な日本料理店です。最寄り駅はJR東西線「北新地駅」から徒歩3分ほど。周辺には高級料理店やバーが軒を連ねる、大阪屈指のグルメエリアですね。
店主が器を調達する主な産地は以下の通りです。
店主は年に数回、これらの産地を訪問します。窯元や作家のアトリエで直接作品を見て、触れて、作家の思いを聞きながら器を選ぶんです。この過程で、時には店のために特別な注文をすることもあります。
例えば、ある備前焼の作家には「魚の繊細さを損なわない、ごく薄い縁の皿」を特注したそうです。通常の備前焼は厚みがあり重厚感が特徴ですが、この要望に応えるため、作家は土の配合から見直したといいます。こうした緊密なやり取りが、唯一無二の器を生み出すわけです。
陶芸愛好家がこうした産地を訪れる際の注意点があります。
多くの窯元や作家は事前予約制です。
突然訪問しても対応してもらえないことが多いので、必ず連絡を入れてから訪問しましょう。また、窯元や作家の工房では撮影禁止の場所もあります。マナーを守ることが、長く良い関係を築く秘訣ですね。
梅華皮の器使いには、陶芸愛好家が学ぶべき重要な美学が詰まっています。最も大切なのは「器は料理の引き立て役」という考え方です。
具体的な実践例を見てみましょう。刺身を盛る際、梅華皮では魚の種類や切り方によって器を変えます。マグロの赤身なら白磁の角皿で色のコントラストを際立たせ、白身魚なら青磁の丸皿で柔らかな印象を演出。これは単なる美的センスではなく、食材の特性を理解した上での選択なんです。
器の大きさにも独特の法則があります。料理を盛る際、器の表面積の約60〜70%を使うのが基本です。つまり、料理の周囲に3〜4割の「余白」を残すわけです。
この余白が、料理に品格と余裕を与えます。
器全体に料理を詰め込むと、視覚的に窮屈で美しくありません。
色彩の組み合わせも計算されています。梅華皮では、一つのコースで使う器の色調を統一せず、あえて変化をつけます。
例えば。
このように色調に変化をつけることで、コース全体にリズムが生まれます。
単調にならないことが重要です。
季節感の表現も見逃せません。夏に使う器は視覚的に涼しさを感じさせる工夫がされています。ガラスの器や青白磁はもちろん、土物でも釉薬の色を涼しげな青や水色にするなど。逆に冬は温かみのある土色や飴色の器を多用します。
陶芸愛好家がこの美学を自分の作品に活かすには、まず「誰がどんな料理を盛るか」を具体的にイメージすることです。抽象的に「美しい器」を目指すのではなく、「この魚料理を引き立てる皿」「この煮物に合う鉢」といった具体的な用途を設定すると、作品の方向性が明確になります。
梅華皮では器の裏側まで気を配ります。高台(器の底の輪)の作りが丁寧か、釉薬の仕上がりは美しいか。客の目に触れない部分でも手を抜かない作家の器だけを選んでいるんです。
これは作家の姿勢そのものを表していますね。
梅華皮は完全予約制の店です。予約は電話のみで受け付けており、最低でも3日前、できれば1週間前の予約が推奨されます。特に週末や月末は予約が取りにくいため、早めの連絡が必須です。
予約時に「器に興味がある」と伝えると、店主が器について詳しく説明してくれることがあります。ただし、繁忙時は難しい場合もあるので、平日のランチタイムや早めの時間帯が狙い目ですね。
料金は1人15,000円〜25,000円程度。これは北新地の高級店としては標準的な価格帯です。コースによって使われる器の数も変わり、フルコースなら10種類以上の異なる器で料理が提供されます。
器の鑑賞ポイントは以下の通りです。
ただし、器を過度に触ったり、写真撮影に夢中になりすぎるのはマナー違反です。他の客や店の雰囲気を壊さない範囲で楽しむことが大切ですね。
器について質問したい場合は、料理の合間に店主やスタッフに声をかけると良いでしょう。作家名や産地、制作背景など、興味深い話が聞けることが多いです。中には「この作家の工房を訪ねてみたい」と伝えると、連絡先を教えてくれることもあります。
陶芸愛好家にとって、こうした高級料理店での器鑑賞は貴重な学びの場です。自分の作品をどのように使ってもらいたいか、どんな料理に合うか、実際の使用例を目の当たりにできるからです。
北新地周辺には、陶芸作品を扱うギャラリーや骨董店がいくつかあります。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
北新地エリアの店舗は家賃が非常に高く、その分が商品価格に上乗せされているんです。同じ作家の同じ作品でも、産地の窯元で買う場合の2〜3倍の価格になることは珍しくありません。例えば、備前焼の作家の皿が窯元では15,000円のところ、北新地のギャラリーでは45,000円で販売されているケースもあります。
さらに、北新地の店舗は接客コストも高い傾向にあります。丁寧な説明や梱包、アフターサービスは素晴らしいのですが、その分が価格に反映されているわけです。限られた予算で良い器を手に入れたいなら、産地直接購入が賢明ですね。
具体的な購入戦略
この方法なら、同じ品質の器を半額以下で手に入れられることも多いです。梅華皮での鑑賞は「目利きの参考」と割り切り、実際の購入は別ルートで行うのが経済的ですね。
ただし、産地から直接購入する際は送料がかかります。また、窯元によっては個人への直接販売を行っていない場合もあります。
事前に確認が必要です。
陶器市や陶芸展も狙い目です。有田陶器市(ゴールデンウィーク)、信楽陶器まつり(10月)、備前焼まつり(10月)などでは、作家が直接販売しており、定価の2〜3割引で購入できることもあります。梅華皮で見た作家が出展していないか、事前にチェックしましょう。
オンラインでの購入も選択肢の一つです。多くの陶芸作家が自身のウェブサイトやInstagramで作品を販売しています。ただし、実物を見ずに購入するリスクはあります。色味や質感が写真と異なる場合もあるので、初めて購入する作家の場合は少額の作品から試すのが安全ですね。
梅華皮での体験を、自分の陶芸制作にどう活かすか。
これは多くの陶芸愛好家が直面する課題です。
最も重要なのは「使う場面を具体的に想定する」ことです。梅華皮の器は、すべて明確な用途を持って選ばれています。単に「きれいな皿」ではなく、「この魚料理を盛るための皿」として存在しているんです。
自宅で陶芸を楽しむ際、以下の視点を持つと作品の質が向上します。
例えば、夏野菜のマリネを盛る皿を作るとします。梅華皮の美学に従えば、青白磁や白マット釉で涼やかな印象を出し、形は浅めの平皿が適切です。トマトの赤やキュウリの緑が映えるように、器の色は主張しすぎない方が良いですね。
器のサイズ設定も重要です。直径24cm程度の皿なら、料理を盛る面積は約300平方cm(直径約20cmの円)が理想的。これは「器の約60〜70%を使う」という原則に基づいています。つまり、実際に料理を盛るスペースよりも一回り大きく作るべきなんです。
釉薬の選び方にもコツがあります。
梅華皮で多用される釉薬は。
自分の窯で再現できる釉薬の範囲で、これらの特性を理解しておくと器作りの幅が広がります。
実際に自作の器で料理を盛る練習も大切です。梅華皮のような高級店の真似をする必要はありませんが、自宅で簡単な料理を盛ってみることで、器の改善点が見えてきます。「この縁の高さだと料理が取りにくい」「この深さだと汁物が溢れそう」といった実用上の問題に気づけるわけです。
写真を撮って記録するのも効果的です。自作の器に料理を盛った写真を撮り、梅華皮での体験と比較してみましょう。色のバランス、料理と器の大きさの比率、余白の取り方など、改善すべき点が客観的に見えてきます。
陶芸教室やサークルで学んでいる方は、講師や仲間に「実際に使ってみた感想」をフィードバックしてもらうのも良いですね。作品の美しさだけでなく、使い勝手や料理との相性まで評価してもらうことで、より実用的な器作りができるようになります。
最後に、失敗を恐れないことも重要です。梅華皮で使われているような器も、作家が何度も試行錯誤を重ねた結果です。一度や二度の失敗で諦めず、継続的に作り続けることで、自分なりの「料理を引き立てる器」が生まれます。