型打ち陶芸とは?初心者向け手順とコツ

型打ち陶芸は初心者でも美しい作品が作れる成形技法です。石膏型の選び方から粘土の扱い方、失敗しないコツまで詳しく解説します。型打ちで理想の器を作るにはどんな準備が必要なのでしょうか?

型打ち陶芸の基本と魅力

型打ちで作った器は手びねりより薄く割れやすいんです。


この記事の3ポイント要約
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型打ち陶芸とは石膏型を使う成形法

粘土を石膏型に押し当てて成形する技法で、同じ形を複数作れるのが特徴です

初心者でも均一な厚みの作品が作れる

型があるため失敗が少なく、ろくろ技術がなくても綺麗な器が完成します

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粘土の水分管理と型離れが成功の鍵

粘土が柔らかすぎると型から外せず、硬すぎると型に馴染まないため調整が重要です

型打ち陶芸とは石膏型を使った成形技法


型打ち陶芸は、石膏でできた型に粘土を押し当てて器の形を作る技法です。手びねりやろくろとは異なり、型という「ガイド」があるため、陶芸経験が浅い方でも安定した形の作品を生み出せます。


型打ちが基本です。


石膏型には凹型(くぼんだ型)と凸型(盛り上がった型)の2種類があり、作りたい器の形状によって使い分けます。皿やボウルなど内側をなめらかに仕上げたい場合は凹型を、外側の装飾を重視する場合は凸型を選ぶのが一般的です。


型打ちの最大の利点は再現性の高さにあります。同じ型を使えば、ほぼ同じサイズ・形状の器を何個でも作れるため、セットで揃えたい食器作りや、商品として販売する器の制作に適しています。教室や工房でも、初心者が最初に学ぶ技法として型打ちを採用しているケースが多く見られます。


型打ち陶芸で作れる作品の種類

型打ちで作れる作品は意外と幅広く、平皿から深めのボウル、楕円皿、角皿まで多様です。型のサイズは直径10cm程度の小皿から、30cm超の大皿まで選べます。直径30cmというと、A4用紙の長辺(約30cm)とほぼ同じサイズです。


型の種類だけ作品バリエーションがあります。


具体的には以下のような作品が型打ちで制作できます。


  • 丸皿・楕円皿(ケーキ皿、パスタ皿、取り皿など)
  • ボウル類(サラダボウル、どんぶり、鉢)
  • カップやマグカップ(取っ手は別途成形して接着)
  • 小鉢・豆皿(薬味入れや醤油皿)
  • 角皿や変形皿(オリジナル型を作れば可能)

型打ちは平面的な作品が得意ですが、深さのある器も複数の型を組み合わせることで制作できます。ただし、急須の注ぎ口や複雑な立体造形は型打ちだけでは難しく、他の技法と併用する必要があります。


自分だけの型を石膏で自作すれば、世界に一つだけの形状の器も作れるため、慣れてきたらオリジナル型作りに挑戦するのもおすすめです。型作りには石膏粉と水、そして元になる形(原型)が必要で、材料費は1,500円程度から始められます。


型打ち陶芸に必要な道具と材料

型打ち陶芸を始めるには、最低限として石膏型・粘土・めん棒・カットワイヤー・スポンジが必要です。初期投資は5,000~8,000円程度で、ろくろ技法と比べて設備コストが低く抑えられます。


必要な道具リストは以下の通りです。


  • 石膏型(1個1,500~3,000円、形状やサイズによる)
  • 陶芸用粘土(1kg 300~500円、磁器土や赤土など)
  • めん棒(粘土を均一に伸ばすため、100円ショップのものでもOK)
  • カットワイヤー(粘土を切り分けるワイヤー、300円程度)
  • スポンジ(表面をなめらかにする、台所用スポンジでも代用可)
  • かき落とし道具カンナやリブ、余分な粘土を削り取る)
  • 霧吹き(粘土の乾燥を防ぐ、100円ショップで購入可)

石膏型は陶芸用品店やオンラインショップで購入できます。初心者には直径15~20cm程度の丸皿用凹型がおすすめです。


この大きさはケーキ皿1枚分くらいです。


粘土は作品の仕上がりイメージで選びます。白い磁器土は繊細で上品な印象、赤土や黒土は土の温かみが感じられる素朴な風合いになります。型打ちには可塑性(伸びやすさ)の高い粘土が適しており、商品パッケージに「型打ち用」と記載されているものを選ぶと失敗が少なくなります。


粘土の可塑性は確認が必須です。


作業台として、木製のボードやシリコンマットがあると粘土が扱いやすくなります。また、粘土の厚みを均一にするために、厚み調整用の木製ガイド棒(たたら板)を使うと、プロのような仕上がりになります。たたら板は手作りも可能で、同じ厚さの板を2枚用意してめん棒の両側に置くだけでも代用できます。


型打ち陶芸の基本的な作業手順

型打ちの工程は大きく分けて6つのステップで構成されます。一つずつ丁寧に進めれば、初めての方でも綺麗な器が完成します。


作業の流れは以下の通りです。


1. 粘土の準備(菊練り)
粘土内の気泡を抜き、硬さを均一にするため菊練りを行います。空気が残っていると焼成時に割れる原因になるため、50回程度しっかり練ることが大切です。粘土の硬さは耳たぶ程度を目安にしてください。


2. 粘土を板状に伸ばす(たたら作り)
めん棒で粘土を均一な厚さ(5~8mm程度)に伸ばします。厚みガイドを使うと初心者でも均一に仕上がります。


5mmは500円玉2枚分くらいの厚さです。


3. 型に粘土を押し当てる
伸ばした粘土を石膏型の上に置き、スポンジや手のひらで優しく押し当てて型に密着させます。空気が入らないよう中心から外側へ撫でるように押すのがコツです。


4. 余分な粘土を切り落とす
カットワイヤーやカンナで型からはみ出た粘土を切り落とし、縁を整えます。縁は後でスポンジで滑らかにするため、この段階では大まかでOKです。


5. 型から外す
粘土が半乾き状態(革硬度)になったら型から外します。完全に乾く前に外さないと、粘土が型にくっついて割れる原因になります。外すタイミングは夏場で30分~1時間、冬場で1~2時間が目安です。


6. 仕上げと乾燥
型から外した後、縁や表面をスポンジで滑らかに整え、ゆっくり乾燥させます。急激に乾燥させると歪みや割れが発生するため、ビニールをかぶせて1~2日かけて乾燥させるのが理想です。


タイミングが成功の鍵です。


型から外すタイミングを間違えると、粘土が柔らかすぎて変形したり、硬すぎて割れたりします。指で軽く押して少し弾力がある状態が革硬度の目安で、この感覚をつかむまで何度か練習する必要があります。


型打ち陶芸で失敗しないためのコツ

型打ちでよくある失敗は、型から外す際に割れる・粘土が型にくっついて外れない・厚みが不均一になる、という3つです。


それぞれに対策があります。


粘土の水分調整が最重要
粘土が柔らかすぎると型にくっつき、硬すぎると型に馴染まず空気が入ります。


最適な硬さは「耳たぶより少し固め」です。


粘土を触って指紋が残る程度なら適度な水分量と判断できます。


水分量だけ覚えておけばOKです。


石膏型の手入れ
石膏型は使用後に必ず乾燥させてください。濡れたまま保管するとカビが生えたり、吸水力が落ちて粘土がくっつきやすくなります。使用後は風通しの良い場所で半日~1日陰干しするだけで、次回も快適に使えます。


厚みを均一にする工夫
粘土を伸ばす際、厚みガイド(たたら板)を使うと失敗が減ります。市販品は1,000円程度ですが、同じ厚さの木片2本でも代用できます。厚みが不均一だと焼成時に薄い部分から割れるリスクが高まります。


型離れ剤の活用
どうしても粘土が型から外れにくい場合、型離れ剤(リリース剤)を型に薄く塗る方法があります。市販品もありますが、でんぷん粉を水で溶いたものを薄く塗るだけでも効果があります。ただし、塗りすぎると粘土が型に密着せず模様が転写されないため、ごく薄く塗るのがポイントです。


乾燥速度のコントロール
型から外した後の乾燥は、急がず1~2日かけてゆっくり進めます。扇風機やドライヤーで急速乾燥させると、内部と表面の乾燥速度差で歪みや割れが発生します。新聞紙やビニールで覆い、湿度を保ちながら乾燥させる方が安全です。


これらのコツを押さえれば、型打ち陶芸の成功率は大幅に上がります。失敗を恐れず、まずは練習用の粘土で何度か試してみることが上達の近道です。


型打ち陶芸の独自視点:市販品との差別化ポイント

型打ちで作る器は、大量生産品にはない「手作りならではの味」が出せます。型を使うと同じ形になりがちですが、表面の仕上げや装飾で個性を出す方法があります。


テクスチャーの工夫
粘土を型に押し当てる前に、布や葉っぱ、レースなどを粘土表面に押し当てると、独特の模様が転写されます。この技法を「型押し」といい、市販品にはない表情が生まれます。


釉薬の選択
焼成後に施す釉薬の色や質感を変えるだけで、同じ型から作った器でも全く違う印象になります。マットな質感の釉薬、結晶が浮き出る釉薬、グラデーションが出る釉薬など、選択肢は豊富です。釉薬は陶芸教室で試せるほか、陶芸用品店で100g 500円程度から購入できます。


縁の仕上げ方
型から外した後、縁を波型に切り取ったり、指で少しずつ凹凸をつけたりすることで、唯一無二のデザインになります。縁の処理ひとつで器の印象は大きく変わります。


複数の型の組み合わせ
異なる型で作ったパーツを組み合わせる方法もあります。例えば、型打ちで作った皿に、別途手びねりで作った脚を付ければ高台付きの器になります。


組み合わせれば可能性は無限大です。


手作りの温もりを活かしつつ、型打ちの効率性を利用できるのが最大の魅力です。陶芸教室では型のレンタルも行っているため、初期投資を抑えたい方は教室での体験から始めるのも良い選択です。体験教室の参加費は1回3,000~5,000円程度で、道具一式を借りながら型打ちの基本を学べます。




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