蛙目粘土は水挽きしないと粘りが出ません。
蛙目粘土は耐火度SK16~18程度(約1400~1450℃)の高い耐火性を持つ陶芸用粘土です。粘土の粒子が粗めで、鉄分が少ないため白っぽい色合いが特徴ですね。
原料は主に愛知県瀬戸市周辺で採掘される蛙目粘土鉱床から産出されます。この地域は古くから陶磁器産業が盛んで、良質な粘土が豊富に採れることで知られています。粘土1kgあたりの価格は200~400円程度で、一般的な信楽粘土(150~300円)と比べてやや高めです。
蛙目粘土が初心者向けとされる理由は3つあります。
ただし粒子が粗いため、ろくろ成形では他の粘土より技術が必要になります。手びねりやタタラ成形での使用が向いていますね。
選ぶ際は作品の用途を考えましょう。食器など実用品を作るなら焼締まりの良い蛙目粘土が適しています。オブジェなど装飾品なら粒子の粗さを活かした質感表現ができます。
粘土の状態も重要です。購入時は適度な硬さ(耳たぶくらい)で、ひび割れや異物が混入していないか確認してください。保管状態が悪いと粘土が乾燥しすぎていることがあります。
蛙目粘土は袋から出してすぐに使うと粘りが不足しています。水挽きという作業で粘土内部の水分を均一にし、粘りを引き出す必要があるんです。
水挽きの基本手順は以下の通りです。
押し出す力加減が重要で、体重をかけすぎると粘土が硬くなります。手のひら全体で優しく圧力をかけるイメージです。作業時間は5~10分程度かかりますが、この工程を省くと成形中にひび割れが発生しやすくなります。
粘土の状態判断は触感で行います。適切に水挽きできた粘土は表面に艶があり、手に吸い付くようなしっとり感があります。逆に粘りが足りない状態だと表面がざらつき、曲げるとすぐひびが入ります。
硬すぎる場合の対処法もあります。霧吹きで粘土表面に水を少量吹きかけ、ビニール袋に入れて1~2日寝かせてください。水分が全体に行き渡り、適度な柔らかさになります。逆に柔らかすぎる場合は、新聞紙に包んで余分な水分を吸わせましょう。
菊練りという技法も効果的です。粘土内部の気泡を抜きながら均質化できるため、作品の強度が向上します。ただし初心者には難しい技術なので、まずは水挽きをしっかりマスターすることが基本ですね。
手びねりは蛙目粘土の特性を最も活かせる成形方法です。粒子の粗さが手に馴染み、独特の質感を作品に与えてくれます。
基本的な成形の流れを説明します。まず粘土を手のひらサイズ(直径10cm程度、みかん1個分)に分けてください。大きすぎると重みで変形しやすく、小さすぎると継ぎ目が増えて強度が落ちます。
器を作る場合、底の部分から始めます。粘土を円盤状に平らに伸ばし、厚さは5~8mm程度(500円玉3~4枚分)が理想的です。薄すぎると焼成時に割れやすく、厚すぎると乾燥ムラが出ます。
側面は紐状に伸ばした粘土を積み上げていきます。紐の太さは直径1~1.5cm(親指の太さ)程度が扱いやすいです。積み上げた紐同士の接合部分は指でしっかり馴染ませてください。
この作業を怠ると乾燥時に剥がれます。
成形中の水分管理も重要です。手が乾燥していると粘土が手に張り付いてしまいます。小さなスポンジを水で湿らせて手元に置き、時々指先を湿らせながら作業すると良いでしょう。ただし水を付けすぎると粘土が柔らかくなりすぎて形が崩れます。
蛙目粘土特有の注意点があります。粒子が粗いため、滑らかな表面を求める場合はスポンジで軽く叩くか、水で湿らせた布で撫でてください。逆に粗い質感を活かしたい場合は、あえて指の跡を残すのも表現の一つです。
作品の厚みは全体で均一にしましょう。厚さのばらつきは乾燥収縮の差を生み、ひび割れの原因になります。定規やノギスで測る必要はありませんが、指で触って違和感のない程度に整えてください。
成形後の乾燥工程は作品の成否を分ける重要な段階です。蛙目粘土は乾燥時の収縮率が7~9%あるため、急激に乾燥させるとひび割れが発生します。
乾燥は3つの段階に分けて行います。まず成形直後の「生乾き期」は作品全体をビニール袋で覆い、1~2日かけてゆっくり乾燥させます。この時期に急激に水分が抜けると、表面と内部の収縮差でひびが入るんです。
次の「半乾き期」では作品を袋から出し、新聞紙をかぶせて3~5日乾燥させます。この段階で削り仕上げができる硬さになります。
指で押して跡が残らない程度が目安ですね。
最後の「完全乾燥期」は新聞紙を外し、風通しの良い場所で7~10日かけて完全に水分を抜きます。作品を持ち上げて軽く感じるようになれば乾燥完了です。
削り仕上げのタイミングは半乾き期が最適です。この時期の粘土は「革状」と呼ばれる状態で、カッターやループ状の削り道具で滑らかに削れます。完全に乾燥してからでは硬すぎて削りにくく、刃物も傷めてしまいます。
削りの基本は薄く少しずつです。一度に厚く削ると表面が荒れたり、削りすぎて穴が開いたりします。特に器の底部分は3~5mm程度(1円玉2~3枚分)の厚さを残してください。
薄すぎると焼成時に割れやすくなります。
削りカスは必ず作品の近くから取り除きましょう。カスが作品に付着したまま乾燥すると、焼成時に剥がれて作品表面に跡が残ります。
季節による乾燥時間の調整も必要です。夏場は湿度が高いため乾燥に時間がかかり、冬場は乾燥が早すぎてひび割れしやすくなります。エアコンの風が直接当たる場所は避け、室温20~25℃、湿度50~60%程度の環境が理想的です。
ひび割れが発生した場合の補修方法もあります。小さなひび(幅1mm以下)なら、同じ蛙目粘土を水で溶いた「泥漿」を塗り込めば修復できます。ただし大きなひび(幅3mm以上)は構造的な問題なので、作り直した方が良いでしょう。
蛙目粘土の焼成は素焼きと本焼きの2回に分けて行います。素焼きは800~900℃、本焼きは1230~1250℃が標準的な温度設定です。
素焼きの目的は粘土中の化学結合水を完全に飛ばし、作品を多孔質の状態にすることです。この工程を経ることで釉薬が作品に染み込みやすくなります。素焼き温度が低すぎると強度が不足し、高すぎると釉薬が乗りにくくなるので注意が必要です。
窯入れ前には作品の最終チェックをします。まず作品表面のゴミや埃を柔らかい刷毛で払い落としてください。小さなゴミでも焼成後に目立つことがあります。
作品同士の間隔も重要です。窯の棚板上で作品と作品の間は最低3cm以上(単三電池の長さくらい)空けましょう。間隔が狭いと熱の流れが悪くなり、焼きムラが発生します。
素焼きは8~12時間かけてゆっくり昇温します。急激に温度を上げると作品内部の水分が急激に蒸発し、爆発する危険があるんです。特に100~200℃の温度帯は水分が最も蒸発しやすいため、この範囲は2~3時間かけて通過させてください。
本焼きでは釉薬を施した作品を1230~1250℃まで加熱します。蛙目粘土はこの温度帯で十分に焼締まり、硬く丈夫な器になります。焼成時間は素焼きより短く、6~8時間程度です。
温度管理は焼成の成否を決めます。窯に付属の温度計やゼーゲルコーンという温度指示具を使って、正確な温度を把握してください。温度が50℃違うだけで作品の仕上がりが大きく変わります。
冷却も重要な工程です。焼成後、窯の扉を開けて急冷すると作品にひびが入ります。窯内温度が200℃以下になるまで12~24時間は扉を開けずに自然冷却させましょう。焼成スケジュールを立てる際、冷却時間も考慮に入れる必要がありますね。
個人で電気窯を持っていない場合、陶芸教室や共同窯を利用する方法があります。費用は素焼き・本焼きで1作品あたり500~2000円程度です。予約制の施設が多いため、事前に確認してください。
日陶産業株式会社の電気窯ページでは、家庭用小型窯の仕様や価格が確認できます。
窯の購入を検討している方の参考になります。