水ガラスを入れすぎるとあなたの作品がはがれなくなります。
泥漿とは、陶土を水で溶かして液状にしたもので、石膏型に流し込んで成形する鋳込み技法に使います。単に水を加えただけではなく、解膠剤(水ガラス)を添加することで少ない水分量でもサラサラの流動性を持たせている点が特徴です。
解膠剤を使わずに作ると水分量が60~80%も必要になりますが、適切に水ガラスを添加すれば25~30%程度の水分で泥漿が作れます。水分が多すぎると成形後の収縮が大きくなり、ひび割れや変形の原因になります。
つまり水ガラスは必須です。
泥漿は「どべ」とも呼ばれ、英語では「スリップ(Slip)」と表現されます。花瓶、急須、カップのハンドルなど、複雑な形状の成形に適しており、石膏型が泥漿の水分を吸収することで器の形が作られます。
泥漿作りには陶土、水、解膠剤(珪酸ソーダ)、そして攪拌機が必要です。磁器土の場合は焼成後の黒い斑点(鉄粉)を防ぐため、水は200メッシュ程度の篩を通したものを使う必要があります。
基本的な配合は、陶土10kgに対して水1400~1500cc、珪酸ソーダ20g程度が目安です。この配合で水分30~31%程度の泥漿ができます。容器は作る泥漿の量の1.5~2倍程度の容量があるものを用意しましょう。
攪拌機の回転数は1分間に200回転程度が適切です。遅すぎると混ざりにくく、早すぎると泥漿が飛び散ります。陶芸材料店では泥漿を液状のまま注文できるサービスもあります。
参考)泥漿鋳込み制作
まず容器に水1400ccと珪酸ソーダ20gを入れ、攪拌機で混ぜます。次に陶土10kgを小さくちぎりながら少しずつ投入していきます。一度に全量を入れると溶け残りが多くなるため、全量を1/3ずつに分けて溶かしていくのがコツです。
参考)[陶芸の専門店]陶芸.com 『鋳込み用石膏型』を使った鋳込…
最初の1/3を入れたら1時間程度撹拌して溶けるのを待ちます。その後、回転数を1分間に250回転程度まで上げて次の1/3を投入し、また1時間撹拌します。
最後の1/3も同様に処理します。
粘土が完全に溶けたら、手を入れて溶け残りをほぐしてバラバラにします。再度攪拌機を回して混ぜ、溶け残りがなくなり粘性が適切なら完成です。ひしゃくですくって糸を引くように流れ落ちる状態が最適です。
磁器土の鋳込み泥漿作りの詳細手順と動画解説(有限会社渕野陶磁器原料)
泥漿の粘性(サラサラ具合)が足りない場合は、珪酸ソーダを1~2g追加します。様子を見てまだ足りないようなら20cc程度の水を加えます。それでも改善しない場合は、再度1~2gの珪酸ソーダを入れて調整します。
水分30%の泥漿が鋳込み成形の基準です。水分が多すぎると収縮が大きくなり、ひび割れを起こします。逆に水分が少なすぎると流動性が悪くなり、石膏型の細部まで行き渡りません。
この水分量が成功の条件です。
参考)陶芸「泥漿鋳込み(でいしょういこみ)」を体験‼…
ただし珪酸ソーダを入れすぎると、泥漿がサラサラになりすぎて肉付きが悪くなり、石膏型からはがれにくくなります。また石膏型の傷みも早くなるため注意が必要です。珪酸ソーダの適量は含水量30%で0.3%程度が目安です。
最も多い失敗は水ガラスの入れすぎです。これにより成形品が石膏型からはずれにくくなります。もし入れすぎた場合は、その泥漿に陶土と水を加えて再調整します。このとき珪酸ソーダは追加せずに調整し直すのがポイントです。
石膏型が濡れすぎている場合や、できあがったばかりの石膏型を使った場合も、はずれにくくなります。石膏型は作成後2週間ほど完全に乾燥させる必要があります。夏場は1週間ほどで乾きますが、梅雨の時期は2週間以上かかります。
参考)鋳込み石膏型の作り方の紹介 « 陶芸用語解説 &#…
排泥鋳込みで圧力がかからない設備の場合、泥漿の調整が不適切だと粘土が好きな方向に曲がってしまい、製品を諦めるしかなくなります。圧力鋳込みの設備があればうまくいく場合もありますが、泥漿の配合を正確に守ることが最も重要です。
これは基本です。
参考)陶芸の失敗・・・
泥漿鋳込みは磁器土で行うのが一般的です。磁器土は粒子が細かく、きめ細かい仕上がりになるため鋳込みに適しています。半磁器粘土の場合、水の配合量が25~35%必要になります。
参考)【泥漿鋳込みについての質問です】こんにちは、陶芸初心者です。…
普通の練り粘土から泥漿を作る場合、水分量は5~10%程度で済みます。これは練り粘土にすでに水分が含まれているためです。陶土の水分含有率によって加える水の量を調整する必要があります。
原料粉末から調合して作る方法もありますが、初心者は既存の陶土を水で溶かす方法が確実です。粘土屋さんに注文すれば、泥漿の状態で届けてもらうこともできます。どういうことでしょうか?
参考)つくばセラミックワークス: 排泥鋳込み超入門 …
使い残した泥漿は密閉容器に入れて保管します。時間が経つと水分が蒸発して固くなるため、使用前に水を少し足してこねると柔らかくなります。定期的に状態を確認し、必要に応じて水分を補給することが大切です。
参考)超簡単!【石粉粘土の使い方・色付け・保存方法マニュアル】
ろくろ成形などで出た削りかすは乾燥させて一時保存し、バケツの中に水と一緒に入れて泥状にします。その後フルイで漉してダマを取り除き、素焼きの鉢に入れて水分を取り除きます。適度な硬さになったら荒練・菊練りしてビニール袋に入れて寝かせます。
参考)https://ameblo.jp/benraku-asobu/entry-12805520608.html
泥漿も同様に、フルイで漉すことで不純物を取り除き、再利用できます。ただし水ガラスの濃度が変化している可能性があるため、再利用時には粘性を確認し、必要に応じて水ガラスや水を追加して調整してください。
これで問題ありません。
石膏型に泥漿を流し込む前に、型が完全に乾燥していることを確認します。型を組み立て、隙間がないようにしっかり固定してから泥漿を注ぎます。流し込む速度は一定に保ち、気泡が入らないよう注意します。
石膏が泥漿の水分を吸収し、型の内側に一定の厚みの粘土層ができます。この肉付き時間は作りたい器の厚みによって調整し、5分から30分程度が目安です。時間が経ったら余分な泥漿を排出します(排泥鋳込み)。
排泥後、さらに数分待ってから型をばらします。はがれにくい場合は泥漿の配合に問題がある可能性があります。珪酸ソーダと水の両方を段階的に調整することで、サラサラでありながら型からきちんとはずれる泥漿が作れます。
泥漿作りには30リットル程度の容器が使いやすく、作る泥漿の量(18~19リットル)に対して十分な余裕があります。攪拌機は羽の回転数を調整できるものが理想的で、200~250回転/分で使用します。
作業場所は換気の良い場所を選び、粉塵が舞い上がらないよう注意します。磁器土の場合は特に鉄粉混入を防ぐため、清潔な環境を保つことが重要です。篩は200メッシュ程度のものを用意し、水だけでなく完成した泥漿も漉すとより品質が向上します。
計量は正確に行い、最初は目安の配合通りに作ることをおすすめします。慣れてきたら粘土の種類や作りたい形状に応じて微調整していきましょう。デジタル計量器があると珪酸ソーダの少量計量が正確にできます。
使えそうです。
最も重要なのは水分30%という基準を守ることです。水分が多すぎると収縮によるひび割れ、少なすぎると流動性不足で成形不良が起きます。この数値を基準に、作品の厚みや形状に応じて微調整します。
珪酸ソーダの添加量は0.3%程度が目安で、入れすぎると石膏型からはがれにくくなり、型の寿命も短くなります。少なすぎると流動性が悪くなるため、段階的に追加して最適な粘性を見つけましょう。
陶土は一度に投入せず、1/3ずつに分けて溶かすことで溶け残りを防ぎます。各段階で1時間程度撹拌し、完全に溶けてから次を加えることが成功の秘訣です。
焦らず時間をかけることが原則です。