粒子が細かいほど透明になります。
乳濁剤の粒子径は釉薬の白濁度を左右する重要な要素です。粒子が細かいほど、光が釉薬の中で乱反射する回数が増え、白さが増します。
参考)https://blog.goo.ne.jp/meisogama-ita/e/923ad3e436452fc2c7e4ea7d60afe177
具体的には、粒子が微細になると屈折率が高くなり、反射も大きくなるため、より強い乳濁効果が得られます。例えば、環境配慮型陶磁器の研究では、ガラス粉の平均粒径が13μmと42μmでは、粒径が小さい方が約30μm細かく、焼結性向上への影響が大きいことが確認されています。
参考)https://ameblo.jp/abidmeisou/entry-12924999629.html
つまり粒子径が細かいほど白くなるということですね。
ただし、酸化錫のように粒子が極めて微細な場合(8~10%程度)は、釉に完全に熔け込んでしまい、乳濁しないケースもあります。適度な粒子径を保つことが、理想的な白濁度を得るコツです。
参考)https://blog.goo.ne.jp/meisogama-ita/e/e19693174d1697944eeb08e069d692f2
焼成温度は乳濁剤の粒子径と密接に関係し、釉薬の仕上がりを決定します。一般的な乳濁釉の焼成温度は1150℃から1280℃の範囲です。
参考)https://www.itic.pref.ibaraki.jp/publication/doc/research/h24/vol41_10.pdf
石灰乳濁釉の基本調合は長石52%、石灰石23%、カオリン3%、珪石22%で構成されます。この調合で1200℃前後で焼成すると、適度な乳濁効果が得られます。
参考)陶芸サークル 釉薬のはなし(1) 基礎釉: お寺の風景と陶芸
焼成温度が高すぎると、粒子が完全に熔けて透明化するリスクがあります。逆に温度が低すぎると、熔け不足で結晶析出などの欠点が発生します。
参考)https://www.mpstpc.pref.mie.lg.jp/pdf/105012.pdf
温度管理が重要ということですね。
また、亜鉛華を使用した乳濁釉では、長石50%、石灰石10%、亜鉛華25%、珪石15%の調合で1150℃焼成が可能です。亜鉛華は焼成温度幅を広げる効果が強く、融剤と乳濁の両方の働きを持ちます。
乳濁剤には複数の種類があり、それぞれ適切な粒子径と添加量が異なります。主な乳濁剤として、酸化チタン、骨灰、蛍石、酸化錫、ジルコン失透剤などがあります。
参考)https://www.saga-itc.jp/var/rev0/0005/5476/201141211953.pdf
酸化チタンは少量(3%程度)の添加で乳濁効果を発揮し、950℃~1000℃の低温でも使用可能です。骨灰や蛍石も少量添加するだけで、釉に熔け込み分相を起こして乳濁します。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcersj1950/62/693/62_693_179/_pdf
ジルコン失透剤は1950年頃にアメリカから日本に伝来し、陶磁器釉のすぐれた乳濁剤として利用されています。透明釉100に対して3%、6%、9%と添加量を増やすことで、乳濁度を調整できます。
参考)乳濁釉のテスト。 : 作陶日記 - つぐみ製陶所だより
添加量で調整できるわけですね。
リン酸カルシウム系やリン酸ジルコニウム系の乳濁剤は、耐熱性がある一方で、釉薬に乳濁を引き起こし、結晶析出や熔け不足などの欠点も発生させる可能性があります。添加する際は、これらのリスクを考慮して慎重に量を調整する必要があります。
乳濁剤の粒子径を正確に把握するには、レーザー回折式粒度分布測定装置が使用されます。この装置により、平均粒径をマイクロメートル(μm)単位で測定できます。
陶芸用の乳濁剤として市販されている合成ワラ灰は、粒子径34μm以下に改善された製品もあります。粒子径が大きい場合、融剤的な作用よりも骨材的な作用が大きく働きます。
参考)媒溶剤・調整剤等
例えば平均粒径21μmの材料は骨材的な作用が強く、19μmの材料は融剤として働きやすいという違いがあります。この2μmの差が、釉薬の仕上がりに大きく影響するということです。
2μmの差が重要なんですね。
粒子径を調整する方法として、原料の粉砕度合いを変えるか、異なる粒子径の乳濁剤を混合する手法があります。目的とする釉調に合わせて、細かい粒子と粗い粒子をブレンドすることで、理想的な乳濁効果が得られます。
乳濁釉の調合では、シリカ成分の量が粒子径と同様に重要な役割を果たします。アルミナとシリカのモル比が1:12~14になると、次第に白く濁った釉になります。
参考)https://blog.goo.ne.jp/meisogama-ita/e/269a7273baafd35f65e5d0df21d180c9
シリカを多く入れることで「分相」という現象が起こります。これは、ガラス成分が変化を起こし、同じガラス質でありながらお互いに熔け合わない状態です。この分相が、乳濁剤の粒子径とは別のメカニズムで白濁を生み出します。
分相も白濁の原因ですね。
藁灰釉のような灰釉では、長石と藁灰の組み合わせ(長石3:土灰3:藁灰4)で乳濁釉を作ることができます。土灰や藁灰に含まれる数%のリン酸などが、分相する乳濁剤として機能します。
参考)乳濁釉
また、透明釉(長石5:石灰石1:カオリン1:硅石3)に骨灰を1割混ぜると白濁した乳濁釉が得られます。あるいは同じ透明釉に亜鉛華を2割加え、珪石を1~2割増やしても乳濁釉になります。これらの調合比率を理解しておくと、既存の透明釉から手軽に乳濁釉を作り出せます。