変成作用と続成作用の違いを理解する鉱物変化

堆積物が岩石に変わるプロセスで起こる変成作用と続成作用。両者はどのような環境条件で、どのようなメカニズムで岩石を変化させるのでしょうか?その違いを詳しく解説します。

変成作用と続成作用の基本的な違い

変成作用と続成作用の違い
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続成作用の定義

堆積物が固まって堆積岩になる作用。圧密作用と膠結作用が主体。地表付近での低温・低圧環境で起こる。

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変成作用の定義

既存の岩石が高温・高圧条件下で組織が変化する作用。地殻深部で起こり、変成岩を形成する。

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環境条件の差異

続成作用は常温に近い浅い地下で起こる。変成作用はより深い地下で高温・高圧条件が支配的。

堆積物から岩石へ、そして変成岩へと変わっていく地球の地質現象は、圧力と温度という二つの主要な物理条件に支配されています。続成作用と変成作用は、どちらも岩石を別の岩石に変化させるプロセスですが、作用が起こる深度、圧力・温度条件、そして岩石に生じる変化の程度において大きく異なります。

 

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変成作用と続成作用における圧密作用の役割

 

続成作用のプロセスで最初に起こるのが圧密作用です。堆積が進行して堆積層が厚くなると、上部の堆積物の重みにより下部の堆積物が圧縮を受けます。この圧縮により、間隙水は押し出され、粒子同士の隙間が狭く密になっていきます。これは物理的な荷重による単純なプロセスで、堆積物の密度を増加させ、孔隙率を低下させる作用として機能します。

 

参考)続成作用 - Wikipedia

圧密作用は続成作用の初期段階で特に重要ですが、变成作用ではより複雑な再結晶現象へと移行します。変成作用においては、温度の上昇に伴い、原岩の鉱物が新しい鉱物に再結晶化され、まったく異なる鉱物組成の岩石が形成されるのです。このため、単なる物理的な圧縮に留まらない、本質的に異なるプロセスが展開します。

 

参考)変成作用 - Wikipedia

変成作用による再結晶と鉱物の変化メカニズム

変成作用の最大の特徴は、鉱物の完全な再結晶にあります。既存の岩石が当初と異なる温度や圧力のもとで、あるいは流体による化学反応に伴い、岩石の組織が大きく変化します。高温であるほど変成作用の速度は上昇し、温度上昇が起こる期間を昇温期変成作用と呼びます。

広域変成作用において、特に低温高圧型の環境では、結晶片岩が形成され、片理面が明瞭に現れます。露天風呂の岩肌として見られる緑や赤い色合いの岩はほぼこの結晶片岩です。一方、高温低圧型では、ホルンフェルスや大理石といった異なる特性を持つ変成岩が形成されます。温度・圧力図の上にこれらの変化を表示することで、変成岩が形成された時の環境条件を推定することが可能になります。

 

参考)続成作用と変成作用の違い

続成作用における膠結作用と化学的固結プロセス

圧密作用の後、膠結作用が進行します。セメント化作用とも呼ばれるこのプロセスでは、圧密作用において間隙水に溶解していた各種のイオン、および堆積物粒子中の鉱物から溶け出した成分のうち、炭酸カルシウムや二酸化ケイ素などが堆積物粒子間に沈殿します。こうした物質により堆積物粒子は強く結びつけられ、砂は砂岩に、粘土泥岩に固結します。

膠結作用は続成作用に特有のメカニズムで、新しい鉱物を形成するというより、既存の粒子をセメント材料で接着させるプロセスです。これは変成作用のように原岩全体を再結晶させるのではなく、部分的な化学的沈殿に基づいています。炭酸塩岩においては、このプロセスがさらに複雑になり、ドロマイト化作用などの置換・交代作用が起こることもあります。

 

続成作用と変成作用の埋没深度と温度・圧力環境の相違

続成作用は一般に常温に近い条件、すなわち地表から数百メートルから数キロメートルの浅い地下で起こります。特に初期の続成作用では、地表水(海水・陸水)の影響を受けやすい近表面下続成環境で進行します。間隙水の化学組成、二酸化炭素分圧、水素イオン濃度といった化学的要因が支配的となり、膠結作用や鉱物の相転移が顕著に起こります。

一方、変成作用は地殻の内部、通常は数キロメートル以上の深部で起こります。変成作用の大半が地殻の内部で発生し、造山帯や海洋底など、地球内部における広域な運動に伴って生じます。埋没深度が深くなるにつれて圧力と温度が段階的に上昇し、やがて卓越する作用が続成作用から変成作用へと変わり、堆積岩は変成岩へ変化していくのです。

変成作用に見られる独自の広域変成メカニズムと造山作用の関係

広域変成作用は、地球内部における広域な運動、特にプレートの衝突や沈み込みに伴って発生する岩石の大規模な変成プロセスです。造山帯変成作用は、造山運動(大陸プレートや島弧どうしの衝突、海洋プレートの沈み込みなど)による変成作用で、変成岩組織がよく確認されます。これは単なる埋没や加熱ではなく、地球ダイナミクスそのものと結びついた現象です。

海洋底変成作用は中央海嶺や大洋底下において、地殻や上部マントルで発生し、原岩がマフィック岩・超マフィック岩であり、変成岩組織は見られません。また、埋没変成作用は厚い堆積岩層の下部で起こる、続成作用と造山帯変成作用の中間にあたる作用で、原岩の堆積構造や岩石組織が残ったり、不完全な再結晶作用だったりします。このように、変成作用には複数のバリエーションが存在し、各々が異なる地質環境を反映しています。

 

続成作用と変成作用の連続性と区別の困難さは、地球科学における重要なテーマです。両者は本質的には連続しており、明確な境界線を引くことは困難です。しかし、イライト結晶度やビトリナイト反射率、鉱物組み合わせの変化といった指標を用いることで、どちらのプロセスが支配的であるかを判別することができます。埋没深度が数キロメートル以上に達すると、卓越する作用が続成作用から変成作用へと転換し、岩石の性質は劇的に変わるのです。

 

参考)続成作用(ゾクセイサヨウ)とは? 意味や使い方 - コトバン…

このように、鉱物学的観点から見ると、続成作用は堆積物を固い岩石へと変える初期のプロセスであり、変成作用はその岩石を再び新しい鉱物組成へと変化させる深部のプロセスなのです。地層の沈降に伴う自然な進化の過程として、両者は密接に関連しており、地球の地殻再生サイクルの重要な一部を形成しています。

 

変成作用と続成作用の詳細な解説。
変成作用についての詳細な分類や温度・圧力条件、変成相の説明が記載されています。
続成作用のプロセスと環境要因の解説。
圧密作用、膠結作用、置換・交代作用の詳細メカニズムや、続成環境の分類に関する情報が掲載されています。

 

 


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