潤滑剤スプレー使い方:金属プラスチック素材選び方

潤滑剤スプレーには、金属、ゴム、プラスチックなど素材ごとに適した種類があります。正しい選び方と使い方を知らないと、素材を傷めたり効果が得られないこともあるのをご存じですか?

潤滑剤スプレー使い方

💡 潤滑剤スプレーの基本ポイント
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素材に合った選び方

金属・ゴム・プラスチックで使い分けが必要

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適量塗布が重要

過剰使用は汚れを引き寄せて逆効果

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浸透時間の確保

スプレー後は数分待って効果を発揮

潤滑剤スプレーの種類と特徴

 

潤滑剤スプレーには、主にオイルスプレー、シリコンスプレー、グリーススプレーの3種類があります。オイルスプレーは鉱物油と石油系溶剤を主成分とし、サビで固着した部分に素早く浸透して潤滑・防錆効果を発揮します。石油系溶剤は浸透性を向上させるために配合されており、数分で揮発するため、浸透後はオイル成分のみが残ります。シリコンスプレーは金属だけでなく、ゴム、プラスチック、紙、木材など幅広い素材に使用でき、乾きが早くベタつきにくいのが特徴です。

 

参考)https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0217.html

シリコンスプレーには石油系溶剤を含むタイプと無溶剤タイプがあり、用途に応じた使い分けが必要です。石油系溶剤タイプは金属部分への浸透性に優れ、サビ防止や機械部品の潤滑に適していますが、樹脂部品やゴム製品に使うと劣化を早める可能性があります。一方、無溶剤タイプはゴムやプラスチックにも安全に使用でき、自動車のドアシールやワイパーゴムなどのメンテナンスに最適です。グリーススプレーは粘度が高く、高負荷がかかる部分の長期潤滑に向いていますが、オイルスプレーと混ぜて使用するとグリスが流れ落ちてしまうため注意が必要です。

 

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潤滑剤スプレーの基本的な使い方

潤滑剤スプレーを効果的に使用するには、まず対象部分の清掃が重要です。汚れや古い潤滑剤が残っていると新しい潤滑剤が密着せず、効果が十分に発揮されません。清掃後、適量を均一に塗布することが必要で、過剰な量は逆効果となり汚れを引き寄せる原因になります。スプレーを吹きかけた後は、潤滑剤が対象部分に浸透するための待ち時間を設けることが大切です。この時間を短くしてしまうとスプレーが十分に浸透せず、効果を発揮できません。

 

参考)潤滑剤とは何か?効果的な使用法とおすすめ製品

自転車やバイクのチェーンメンテナンスでは、チェーン全体に均等にスプレーが行き渡るよう一箇所ずつ丁寧に吹きかけます。各リンクが均等に潤滑剤を受けるようにすることが重要で、多すぎるとベタつきを引き起こし、汚れを引き付けて摩耗を早めてしまいます。適量の判断基準としては、スプレーを拭き取った後にチェーンの表面が薄く潤滑されている程度が目安です。吹きかけた後に余分な潤滑剤を拭き取ることで、外部に露出して汚れを引き寄せるリスクを減らせます。浸透時間を確保した後は、試乗して潤滑状態を確認することをおすすめします。

 

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金属部品への潤滑剤スプレー使用法

金属部品の潤滑には、オイルスプレーや石油系溶剤タイプのシリコンスプレーが適しています。オイルスプレーは金属同士の摩擦を軽減する効果が高く、浸透性に優れているため、錆びついたネジやボルトを緩める際に効果を発揮します。サビで固着した細かなすき間にすばやく浸透し、キシミ音を解消する効果もあります。石油系溶剤タイプのシリコンスプレーは、成分が金属に深く浸透するため、機械の整備や金属部品のメンテナンスに最適です。

 

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金属部品への使用では、高温・高圧に耐えられる耐久性も重要な要素です。特に機械部品間の潤滑には、防水性・防錆性・酸化安定性に優れた製品を選ぶことで、長期間の使用に耐えられます。ただし、オイルスプレーは油分が多くホコリを引き寄せやすいため、室内での使用には適していません。また、ブレーキ関連部品には潤滑剤を使用すると、ブレーキパッドとブレーキローターの摩擦力が低下し、ブレーキ性能を著しく低下させるリスクがあるため、絶対に使用してはいけません。金属同士の回転部や摺動部などの防錆・潤滑には、用途に応じた粘度や添加剤を含む製品を選ぶことが重要です。

 

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ゴム・プラスチック素材への使い方

ゴムやプラスチック素材には、無溶剤タイプのシリコンスプレーを使用することが基本です。石油系溶剤を含む556などのオイルスプレーをプラスチックやゴムに使用すると、溶剤の影響で素材が劣化したり変形したりすることがあります。シリコンスプレーは化学的に安定しており、ほとんどのプラスチック・ゴムを侵さないため、幅広い素材に安全に使用できます。特に自動車のドアシールやワイパーゴムなどのメンテナンスでは、無溶剤のシリコンスプレーがゴムの弾力を維持しながら潤滑効果を発揮し、紫外線や乾燥によるひび割れを防ぐ役割を果たします。

 

参考)https://www.monotaro.com/s/q-%E9%95%B7%E6%9C%9F%E6%BD%A4%E6%BB%91%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%BC/

ゴム・プラスチック素材へ使用する際の注意点として、スプレーを直接吹き付けることは避けるべきです。シリコンスプレーはノズルから霧状に散布されるため、不要なところにまで付着する可能性があるためです。布やウエスにスプレーを吹き付けてから、対象部分に塗布する方法が安全です。また、バイクや車のシート、ハンドルグリップ、ガソリンタンクのニーグリップ部分には滑る危険があるため、使用を避ける必要があります。シリコングリスはプラスチックやゴム製品の潤滑に適しており、鋼対アルミ、鋼対ゴムといった異なる素材の組み合わせでも効果を発揮しやすい特性があります。

 

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潤滑剤スプレーの効果と持続時間

潤滑剤スプレーの効果持続時間は、種類や使用環境によって大きく異なります。シリコンスプレーは潤滑性能の持続性が悪く、こまめな塗布が必要です。一方、グリーススプレーは粘度が高いため、長期間潤滑効果を維持できます。高純度有機モリブデンとフッ素樹脂(PTFE)を配合したチェーン専用潤滑剤は、優れた潤滑性、耐磨耗性、耐水性を実現し、潤滑効果が長時間持続します。スプレー後の走行でも飛散せず、シールチェーンにも使用できる利点があります。

 

参考)モビリティライフ情報サービスMOBILA(モビラ)

フッ素樹脂やシリコンレジン配合のスプレーは、強い潤滑力が長持ちする傾向があります。塩水噴霧試験60時間A級をクリアした強力な防錆力を持つ製品もあり、機械部品の加工や組み立て時のサビを長期間防ぎます。水置換性能を有する製品は、水に濡れた状態でも効果を発揮し、各種ジョイント部やヒンジ、バッテリーターミナル部などで長期の防錆・潤滑効果を発揮します。効果を最大限に発揮させるには、使用環境や対象部分の材質に応じた製品選びが重要で、定期的なメンテナンスと適切な塗布量の管理が持続時間を延ばす鍵となります。

潤滑剤スプレー使用時の注意点とトラブル対処

潤滑剤スプレーの使用では、いくつかの重要な注意点があります。グリスが使われている部分にオイルスプレーを注油すると、オイルがグリスに混じって粘度が低くなり、ベアリングから流れ出てしまいます。その結果、ベアリング内の潤滑油が不足してベアリング破損などの事態を招くため、グリス使用部分へのオイル注油は避けなければなりません。また、チェーンやスプロケットなど駆動部分にグリスを注油することも避けるべきです。グリーススプレーの上にオイルスプレーをかけると、グリスが流れ落ちるため、基本的に混ぜての使用は行いません。

 

参考)https://www.rakuhen.com/userdir/miyagikensetsu/img/mypage_image1_1686547557.pdf

アクセル・ブレーキペダルやステアリングといった運転操作に関わる部品にシリコンスプレーを塗布すると、潤滑性能で滑りやすくなり運転操作のミスにつながるリスクがあります。潤滑剤を選ぶ際は、使用する機械や環境に適したものを選ぶことが大切で、過剰に使用すると逆効果になることもあるため適量を守ることが重要です。製品のラベルや仕様書をよく確認し、適切な粘度や添加剤が含まれているか確認する必要があります。石油系溶剤タイプは金属の潤滑に適していますが、塗装面やプラスチック、ゴムには使用できない場合があるため、使用前に素材との適合性を必ず確認しましょう。

 

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鉱石コレクター向け:潤滑剤スプレーの展示ケースメンテナンス活用法

鉱石コレクションの展示ケースメンテナンスでは、潤滑剤スプレーが重要な役割を果たします。展示ケースのガラス戸のスライドレールや開閉部分には、シリコンスプレーが最適です。スプレーした後サッと乾いてベタつきが残らないため、ホコリなどが付きにくく、貴重な鉱石標本への汚染リスクを最小限に抑えられます。金属、ゴム、プラスチック、木、紙など、どんな素材にも手軽に安心して使用でき、木製展示ケースにもシミを残さず使用できます。

 

参考)https://www.monotaro.com/k/store/%E6%BD%A4%E6%BB%91%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%BC/

展示ケースの照明器具や可動式棚の調整機構には、金属部品向けのオイルスプレーが効果的です。キシミ音を解消し、スムーズな開閉や高さ調整を実現します。ただし、鉱石標本に潤滑剤が付着しないよう、スプレーは布に吹き付けてから塗布する方法が安全です。湿度管理が重要な鉱石コレクションでは、水置換性能を持つ潤滑剤を選ぶことで、ケース内の湿気による金属部品のサビを長期間防げます。展示ケースのヒンジ部分には、防錆力に優れた長期潤滑タイプの製品を使用することで、メンテナンス頻度を減らし、標本への影響を最小限にできます。鉱石の美しさを長期間保つためには、定期的なケースメンテナンスと適切な潤滑剤選びが不可欠です。

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