溶解度求め方中学理科計算問題と飽和水溶液の濃度

中学理科で学ぶ溶解度の求め方を、計算問題や溶解度曲線を使いながら詳しく解説します。飽和水溶液の質量パーセント濃度や結晶の析出量など、テストでよく出る計算方法をマスターできますか?

溶解度求め方中学理科

この記事で学べる3つのポイント
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溶解度の基本計算

水100gあたりに溶ける物質の限界量を求める方法を学び、水の量が変わった場合の比例計算をマスターします

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溶解度曲線の読み取り

温度変化に伴う溶解度の変化をグラフから読み取り、結晶の析出量を正確に計算する技術を身につけます

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飽和水溶液の濃度

溶質と溶媒の質量から質量パーセント濃度を求め、飽和状態での濃度計算を完璧にします

溶解度の定義と基本的な求め方

 

溶解度とは、一定量の水に物質が溶ける限界の量を表す数値です。中学理科では、水100gあたりに溶ける物質の質量(g)で表現します。例えば、60℃の水100gに硝酸カリウムが110g溶けるとき、60℃における硝酸カリウムの溶解度は110gとなります。

 

参考)https://lab-brains.as-1.co.jp/enjoy-learn/2024/01/59411/

溶解度を求める基本的な手順は、まず水の量と溶けた物質の量を確認することから始まります。水の量が100gでない場合は、比例の関係を利用して計算します。例えば水300gに物質が60g溶けて飽和状態になった場合、100gあたりに換算すると60÷3=20gとなり、溶解度は20gです。

 

参考)溶解度とは?求め方の秘訣&溶解度曲線も図で即理解!計算問題付…

実験的に溶解度を測定する方法として、溶解熱を利用した温度変化の測定があります。室温から実験を開始し、物質を加えて完全に溶解させたときの温度変化を記録することで、その温度での溶解度を推定できます。

 

参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/42/11/42_KJ00003518828/_pdf/-char/ja

溶解度曲線を使った計算問題の解き方

溶解度曲線は、横軸に温度、縦軸に溶解度をとったグラフで、温度による溶解度の変化を視覚的に表現したものです。溶解度曲線の問題を解くときは、まず横軸の温度に注目し、その温度での縦軸の数値を読み取ります。

結晶の析出量を求める問題では、3つのステップを踏みます。第一に飽和水溶液に含まれる物質の質量をグラフから読み取り、第二に温度が変わったときの溶解度をグラフから読み取り、最後にその差を引き算します。例えば70℃の水100gに物質Aが120g溶けている状態から30℃まで冷却すると、30℃での溶解度50gとの差である70gが結晶として析出します。

 

参考)【中1理科】テストに出やすい!溶解度曲線の問題の解き方

水の量が100gでない場合は、溶解度を水の量の倍率に応じて調整する必要があります。水400gの場合は溶解度を4倍にし、水50gの場合は溶解度を0.5倍にします。このように水の質量と溶ける物質の質量は常に比例関係にあることを覚えておきましょう。

 

参考)【中1理科】溶解度・溶解度曲線とは ~計算問題の解き方、グラ…

飽和水溶液の質量パーセント濃度の計算

飽和水溶液の質量パーセント濃度は、溶質の質量÷溶液の質量×100で計算されます。溶液の質量は水(溶媒)と溶質を足し合わせたものです。例えば60℃の水100gに物質Xが130g溶けた飽和水溶液では、濃度は130÷(100+130)×100=56.5%となります。

 

参考)中1化学【溶解度の計算問題】

興味深いことに、飽和水溶液の濃度は水の量に関係なく温度によって一定になります。水200gに物質Xが260g溶けた場合でも、260÷(200+260)×100=56.5%と同じ結果になります。これは溶解度が水100gあたりの値として定義されているためです。

蒸発による結晶析出の問題では、蒸発させた水に溶けていた物質が結晶として現れます。例えば30℃の飽和水溶液200gから水を50g蒸発させた場合、その50gの水に溶けていた物質量を比例計算で求めることで、析出する結晶の質量が分かります。

質量パーセント濃度の詳しい計算方法と演習問題

温度変化に伴う結晶析出の計算

温度を下げると溶解度が減少し、溶けきれなくなった物質が結晶として析出します。この現象を再結晶といい、純粋な結晶を得る方法として実験でも利用されます。計算では変化前の溶質の量を求めてから、変化後の溶質の量を求めて引くのが定石です。

 

参考)溶解度とは(溶解度曲線と公式)

例えば80℃の水50gに硝酸カリウムを飽和状態まで溶かし、40℃まで冷却した場合を考えます。80℃での溶解度が160gならば50gの水には80g溶けており、40℃での溶解度が60gならば50gの水には30gしか溶けません。したがって80-30=50gの結晶が析出します。

溶解度曲線上で析出が始まる温度を求める問題では、現在溶けている物質量と同じ溶解度を示す温度を探します。例えば水100gに物質が30g溶けている場合、溶解度曲線で縦軸30gに対応する横軸の温度を読み取ると、それ以下の温度で結晶が析出し始めます。

溶解度と鉱物の関係性

溶解度の概念は鉱物や鉱石の形成過程を理解する上で重要です。地下の熱水中では温度や圧力、pH、溶液の化学組成によって鉱物の溶解度が大きく変化します。例えば硫酸バリウム(BaSO4)は純水中での溶解度が2.3mg/Lと極めて低いですが、塩化物溶液中では溶解度が増加し、温度が上がると減少します。

 

参考)https://www.gsj.jp/data/bull-gsj/26-03_02.pdf

鉱物の溶解速度は溶液の温度や化学組成などの外的因子と、鉱物自体の化学組成や構造などの内的因子によって大きく変化します。斜長石の場合、アノーサイト成分が増すほど溶解速度が増加し、最大で約10,000倍の差が生じることもあります。カンラン石はアルカリ長石と比べて約1,000倍速く溶解することが分かっています。

 

参考)https://www.cssj2.org/wp-content/uploads/clay_02.pdf

熱水鉱床では、熱水の温度低下や圧力変化、岩石との化学反応によって鉱物の溶解度が変化し、金属鉱物が沈殿して鉱床が形成されます。銅、鉛、亜鉛などの金属元素は塩化物コンプレックスとして溶液中に存在し、それぞれ異なる溶解度を持ちます。このように溶解度の原理は、鉱石の生成や鉱物資源の探査にも応用されています。

 

参考)成因別鉱床(熱水性鉱床:鉱脈鉱床):山口大学工学部 学術資料…

鉱物の溶解度積と化学量論的溶解度の詳細

水の量が変化する場合の溶解度計算

水の量が100g以外の場合、溶解度は水の量に比例して変化します。これは溶解度計算における最も基本的な原則の一つです。例えば40℃で塩化カリウムの溶解度が40gの場合、水100gには40g溶けますが、水200gには80g、水50gには20g溶けることになります。

計算式として、水xgに溶ける物質の質量をyとすると、100:溶解度=x:yという比例式が成り立ちます。この式を使えば、任意の水の量に対して溶ける物質の量を求めることができます。例えば45℃の水400gに硝酸カリウムが何g溶けるかを求める場合、溶解度曲線から45℃での溶解度が70gと分かれば、70×4=280gが答えとなります。

あとどれだけ溶けるかを知りたい場合は、その温度での溶解度から現在溶けている物質量を引くことで求められます。60℃で溶解度が100gの物質が現在25g溶けている場合、100-25=75gがあと溶ける量となります。この計算も水の量に応じて比例計算する必要があることを忘れないよう応じて比例計算する必要があることを忘れないようにしましょう。

 

 


液体の液体の溶解度(Vol-1):水と綿実油の間の低酸の分配、また水と様々な有機化合物とのギ酸の分配。