小代焼マグカップ選び魅力贈り物日常使い

400年の伝統を誇る小代焼のマグカップは、藁灰釉と流し掛け技法による独特の美しさが魅力です。日常使いから贈り物まで、窯元選びや使い方のポイントを知りたくありませんか?

小代焼マグカップの魅力

小代焼マグカップの3つの魅力
🎨
唯一無二の流し掛け技法

柄杓で釉薬を勢いよく流しかけることで生まれる偶然の模様。同じものは二つとない一点物の美しさ

🌾
400年続く伝統の藁灰釉

青小代・黄小代・白小代の深い色合い。イネ科植物の灰と鉄分が織りなす独特の風合い

💪
素朴で力強い日常の器

小岱山の鉄分豊富な粘土が生む温かみ。手作りだからこそ手にフィットする使い心地

小代焼は熊本県北部で約400年前から焼き継がれてきた伝統工芸品です。1632年に豊前藩から肥後藩へ移封された細川忠利に同行した上野焼の陶工、牝小路家源七と葛城八左衛門が小岱山に登り窯を開いたのが始まりとされています。2003年には熊本県で初めて国の伝統的工芸品に指定され、現在も小岱山麓を中心に11~12の窯元が点在しています。
参考)中目黒の夜桜をイメージしたJIMOTO Made+の熊本・小…

 

マグカップは小代焼の魅力を日常で楽しめる代表的なアイテムです。飯碗・湯呑とともに初めて小代焼を購入する方におすすめされており、価格帯は2,000円~4,000円前後が一般的です。素朴で力強い作風と深い色合いが特徴で、和洋問わず合わせやすいマットな質感を持っています。
参考)小代焼をオンラインショップで購入するならここ!おすすめ通販ガ…

 

小代焼最大の特徴は「流し掛け」と呼ばれる技法です。柄杓に取った釉薬を器物の表面に勢いよく振りかけ、その流れや滴りによって文様を表現します。職人は流し掛けをする前におおよその図柄をイメージしますが、熟練した職人の腕の淀みない動きと偶然が重なった時、世界にふたつとない作品が誕生します。
参考)小代焼とは?その魅力と歴史、特徴など詳しく解説 href="https://waknot.com/local/1961" target="_blank">https://waknot.com/local/1961amp;#8211…

 

小代焼マグカップ特有の藁灰釉による色彩

小代焼で用いられる釉薬は木炭釉・藁灰釉・笹灰釉・灰釉・鉄釉で、いずれも藁灰を混ぜています。藁灰に鉄分や木灰等を加えることにより発色の違いを出し、特徴的な「青小代」「黄小代」「白小代」の3つの系統に分類されます。藁灰と土の中の鉄分が融合すると青色に発色し青小代となります。
参考)小代焼マグカップ

 

藁灰釉の製作には大変な手間がかかります。たけみや窯の近重さんは田んぼで藁を焼いて原料の藁灰作りを自ら行い、水に浸して目の細かいザルで3回ほどに分けて濾します。この釉薬作りに1か月もの間つきっきりになるそうです。濾し終えた藁灰釉は驚くほど滑らかで、ここに鉄などを混ぜて異なる色の釉薬を作ります。
藁灰釉は変化しやすい釉薬でもあります。同じ釉薬を使用しても釉薬の濃度や焼成温度、その時の窯の雰囲気により一つとして同じものにはなりません。この予測不可能性こそが小代焼の魅力であり、マグカップを選ぶ際は一期一会の出会いを大切にすることが推奨されています。
釉薬の色味によってマグカップの印象も大きく変わります。藁灰釉は優しく柔らかい印象を与え、青流しは動きのある力強い印象を与えてくれます。色や質感の違いによって同じコーヒーでもまったく違う雰囲気を楽しめるため、自分の好みや普段使っている食器との相性を考えながら選ぶと統一感のある食卓がつくれます。

小代焼マグカップ有名窯元の特徴と作風

小代焼の代表的な窯元として、まず「小代焼ふもと窯」が挙げられます。現存する小代焼の窯では最大級の6基の登り窯を有し、多くの弟子を輩出してきた名窯です。初代の井上泰秋さんは熊本市黒髪で肥後焼として開窯し、その後民藝と雑器の美しさに惹かれて昭和40年頃(昭和43年説もあり)に窯を荒尾市府本に移して小代焼に転換しました。
参考)熊本の窯元をめぐる 熊本、うつわ便り 14 井上尚之さん

 

現在は熊本民藝館館長でもある井上泰秋氏と、ご子息の井上尚之氏、二人のお弟子さんが作陶されています。井上尚之さんは1975年に泰秋さんの長男として誕生し、小石原で修行した後に独自のスリップウェアを作っています。「土の味と窯の力だけで幾多の焼き物を生み出すところが小代焼のかっこよさ」と考える尚之さんは、小代焼の様式にこだわらずに「いいもの」を作りたいとの意も強くしています。
参考)日々の暮らし

 

その他の窯元として「小代焼中平窯」があります。中平窯の西川智成さんは、手作りマグカップの魅力について「一個一個違うこと」を挙げています。全てが違うからこそ、お客さんの手(指)に合うものを選んでいただけると考えており、常識の範囲内である程度取っ手の形やサイズが違うことは良いことだと述べています。
参考)手作りマグカップと量産マグカップ|小代焼中平窯 西川智成

 

「小代焼岱平窯」は1970年に初代岱平が古小代の研究から始めた窯元です。青小代のマグカップなどを製作しており、オンラインショップでも購入可能です。「たけみや窯」はスターバックスのJIMOTO Made+シリーズでマグカップを制作したことで知られ、藁灰釉の伝統技法を現代のデザインに融合させています。
参考)https://taiheigama.stores.jp

 

各窯元によって作風や釉薬の配合、デザインの傾向が異なるため、複数の窯元の作品を比較してみることで自分好みのマグカップに出会える可能性が高まります。オンラインショップの商品ページには使用イメージ写真やレビューも多く掲載されているので、実際の使い方を想像しやすく安心して選べます。

小代焼マグカップの日常使いと手入れ方法

小代焼は日常使いしやすい器として評価されています。マットな質感で和洋問わず合わせやすいデザインが多く、普段使いの器として取り入れやすいのも魅力です。コーヒーや紅茶、緑茶など様々な飲み物に使用でき、飲み物の香りを楽しめるよう少し丸みを帯びた形のマグカップも多く制作されています。
手作りのマグカップには手作りならではの特徴があります。ろくろ目(成形の際にろくろの回転で出来る指の跡)をあえて残し、表面に職人がひとつずつ指で押した"くぼみ"がある作品もあります。このくぼみに指をのせることで、産地や作家とのつながりを感じられる工夫が施されています。
小代焼の日常的な手入れは比較的簡単です。普通の食器用洗剤とスポンジで洗えます。ただし、焼き締め(釉薬を施していない)や粉引・刷毛目の器は使用前に数分水に浸けておくと、色やにおいが器に付きにくくなります。
参考)小代焼 器入門

 

電子レンジの使用については注意が必要です。破損していない器であれば基本的に電子レンジは使用可能ですが、陶器は急激な温度変化に弱いため、食器をより長持ちさせたい場合は電子レンジの使用頻度を控えることが推奨されます。金や銀の上絵が施された器は電子レンジでの使用ができませんので注意が必要です。
参考)普段使いにおすすめの九谷焼9選|使いやすさはどう? - 和食…

 

食洗機については、使用可能ですが手洗いが推奨されます。軽く薄い器は食洗機の水圧で動いて傷つくおそれがあるため、できるだけ手洗いをこころがけると良いでしょう。陶器は吸水性があるため、色の濃い料理・飲み物や匂いの強い食材を入れた後はできるだけ早く洗うようにし、長時間汚れや水につけっぱなしにしないことが大切です。
参考)【陶芸入門】陶磁器の特徴~お手入れと使うときの注意点

 

小代焼マグカップを贈り物として選ぶ理由

小代焼のマグカップは贈り物としても人気があります。一点物という特性から、世界に一つだけのプレゼントとして喜ばれます。流し掛け技法による即興的な模様は同じ寸法で作っても全てが一点物となるため、特別感のあるギフトとして最適です。
参考)【楽天市場】カップ&ソーサー(地域ブランド(陶磁器)小代焼)…

 

価格帯が2,000円~4,000円前後と手頃であることも贈り物として選びやすい理由の一つです。高級すぎず、かといって安すぎない適度な価格帯で、日常使いできる実用性も兼ね備えています。結婚祝いや新築祝い、誕生日プレゼントなど様々なシーンで活用できます。
参考)小代焼の値段相場はいくら?価格の理由とお得な購入方法を解説 …

 

伝統工芸品という背景も贈り物の価値を高めます。400年の歴史を持つ小代焼は2003年に国の伝統的工芸品に指定されており、文化的価値の高さが贈り物としての格を上げています。肥後藩の御用窯として始まった歴史や、細川家とのつながりなど、ストーリー性のある背景も話題になります。
参考)熊本県の伝統的工芸品【小代焼】 ~その作風と発祥を考察する~…

 

カップ&ソーサーのセットや、複数のマグカップをセットにしたギフトも人気があります。窯元によっては専用の化粧箱に入れてくれるため、贈答用としての体裁も整います。オンラインショップでも購入できるため、遠方の方への贈り物としても便利です。
小代焼のマグカップは使うほどに愛着が湧く器です。日々の暮らしの中で手に取るたびに、贈り主との思い出やつながりを感じられる特別な贈り物となるでしょう。手作りならではの温かみと、伝統的な技法が生み出す美しさは、長く大切に使ってもらえるギフトとして高い満足度を提供します。
参考)使うたびに愛着が湧く!小代焼の湯呑6選

 

小代焼マグカップとコーヒーの相性を科学する

小代焼のマグカップとコーヒーの相性について、実は科学的な側面からも興味深い関係があります。スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京が小代焼のマグカップを採用した理由の一つに「コーヒーの香りを楽しめる」形状があります。少し丸みを帯びた形のマグカップは、コーヒーの香り成分を上部に集めやすく、より豊かな香りを楽しめる設計となっています。
陶器の保温性もコーヒーとの相性を良くする要素です。小岱山で採れる鉄分の多い赤土を使った小代焼は、適度な厚みを持つことが多く、磁器と比べて保温性に優れています。コーヒーをゆっくり楽しむ時間が長くなっても、適温を保ちやすい特性があります。
手作りのマグカップならではの持ち心地も見逃せません。西川智成さんが指摘するように、手作りのマグカップは一個一個取っ手の形やサイズが違うため、実際に手に取って自分の手にフィットするものを選ぶことができます。コーヒーを飲む時間が日常の癒しとなるよう、持ちやすさは重要な要素です。
小代焼特有の色合いもコーヒーの楽しみを広げます。青小代の深い青色は視覚的にコーヒーの茶色を引き立て、黄小代や白小代は温かみのある雰囲気を醸し出します。中目黒の夜桜をイメージした茶色みを帯びた黒地に青みを帯びた白がたなびく作品のように、視覚的な美しさがコーヒータイムを豊かにします。
さらに、ろくろ目や指で押した"くぼみ"など、手作りならではの質感が手に伝わることで、五感全体でコーヒーを楽しむ体験が生まれます。機械的に作られたマグカップにはない、作家とのつながりや物語性が、日常のコーヒータイムを特別な時間に変えてくれるのです。
スターバックスと小代焼のコラボレーション事例について詳しく知りたい方はこちら
小代焼の歴史と作風の詳細な考察はこちら
小代焼ふもと窯の井上尚之さんのインタビュー記事はこちら