KURE 5-56は、金属の防錆・潤滑剤として広く知られており、軽作業時の切削油代用として使われることがあります。潤滑性があるため、ドリルなどの工具を使う場面で摩擦を軽減し、加工面の焼き付きや工具の摩耗をある程度抑える効果が期待できます。
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ただし、KURE公式サイトでは「軽負荷(ハンドドリル程度)の場合であれば使用できますが、金属の切削には専用の潤滑油のご使用をおすすめします」と明記されています。5-56は鉱物油を含有しており、揮発性が非常に高いため、長時間の加工や重負荷の切削には適していません。
参考)5-56 シリーズ
また、5-56は切削専用に設計されていないため、本格的な機械加工では冷却性や潤滑持続性が不足します。急場の対応やDIY作業での軽い穴あけ程度であれば使用できますが、精密加工や連続作業には専用の切削油を選ぶべきです。
サラダ油やゴマ油は、潤滑性があることから簡易的な切削油の代用品として使われることがあります。特に家庭用の軽い加工やDIYレベルの作業では、一時的な代用として一定の効果を発揮します。サラダ油は200℃ほどまでであれば燃焼もせず潤滑性も持ち合わせているため、一応の代用は可能です。
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ゴマ油は「最高の切削油で本物より良い」という機械加工従事者の声もあり、実際の現場で使用されてきた実績があります。植物油は環境に優しく、生分解性が高いという利点もあります。しかし、問題点として周りに飛び散った油が後で固まるため、早めに石油などで拭き取らないと後で大変です。
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植物油は専門の切削油ではないため、一般の方が使用する場合は水で薄める水溶性切削油の方がおすすめです。また、ステンレスの穴あけにはひまわり油が効果的という情報もあり、植物系合成油・植物油を70~90%含む市販品も存在します。
参考)ステンレスの穴あけにはひまわり油
切削油の種類と代用品の詳細解説 - シモジマオンラインショップ
機械油は僅かな鋼材の穴あけ作業で切削油の代用として使われています。タッピング加工などの小規模な作業では、タッピングペーストをマシン油で溶かして刃先に塗布しながら使用する方法が有効です。また、余っている車用のオイルを塗布して使用することも可能です。
参考)https://ameblo.jp/oilboy801/entry-12597433837.html
タッピング加工では、下穴に切削油を注入することで切屑の詰まり防止や工具の寿命延長につながります。タップ加工を行う前に、下穴に十分な量の切削油(ペースト状のものも有効)を塗布または充填しておくことが推奨されています。
参考)タップ加工とは
切削用スプレーとして「〇〇〇カット」という名前で販売されている製品もあり、タッピングスプレーは小さな力で加工をスムーズにし、工具の折れ・発熱・発煙を防止します。タッピング以外にもドリル・リーマ・ブローチ作業に最適で、ステンレスなど難削材加工にも使用できます。
参考)https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0212.html
切削油の代用品を使用する際は、いくつかの重要な注意点があります。まず、代用品は専用の切削油と比較して性能や安全性に制限があることを理解する必要があります。目的や加工条件をよく理解した上で判断することが大切です。
KURE 5-56は揮発性が高く、雨や水分により流れやすい特性があるため、チェーンやギアなどの長期的な潤滑には向いていません。また、使用後はしっかりと拭き取ることが重要です。植物油を使用する場合は、周囲に飛び散った油が固まる前に早めに拭き取る必要があります。
参考)Toggle menu
代用品の使用は一時的な対応として捉え、本格的な機械加工や精密加工には必ず専用の切削油を使用すべきです。特に高速加工や重切削では、適切な冷却性と潤滑性を持つ専用切削油が必要不可欠です。安全性を最優先に、作業内容に応じた適切な選択を心がけましょう。
参考)切削油の種類ごとの特徴とは? 切削油の効果や使用時の注意点も…
切削油は大きく分けて「不水溶性切削油」と「水溶性切削油」の2種類に分類されます。不水溶性切削油は原液のまま使用し、潤滑性に非常に優れているのが特徴で、低速高荷重の加工や高い面粗度が求められる精密加工に適しています。一方、水溶性切削油は水で希釈して使用し、冷却効果が非常に高く、高速加工など熱を持ちやすい作業に用いられます。
参考)現場で役立つ!切削油の基礎知識と選び方の決定版
不水溶性切削油にはN1~N4の4種類があり、N1は最も不活性で腐食しやすい非鉄金属の加工に適しており、N2およびN3は最も汎用的で切削加工全般に適しています。不水溶性切削油は潤滑性や抗溶着性に優れているため構成刃先を抑制し、精度が要求される合金鋼や難削材の加工に適しています。
参考)切削油剤の種類その1(不水溶性切削油剤) 【通販モノタロウ】
水溶性切削油は3種類に分けられ、エマルションは汎用性が高く、ソリューブルは冷却性と浸透性に優れ、ソリューションは冷却性と耐久性が高い特徴があります。加工方法から選ぶ場合、旋盤加工は高速加工が求められるため冷却性に優れた水溶性が適しており、フライス加工ではチッピング防止のため不水溶性の潤滑性が求められます。
切削油剤の種類と選定方法 - MonotaROテクニカルガイド
以下は、切削油の種類と特徴の比較表です。
| 切削油の種類 | 潤滑性 | 冷却性 | 適した加工 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 不水溶性N1種 | ◎ | △ | 非鉄金属の軽切削 | 可燃性、引火注意 |
| 不水溶性N2-N3種 | ◎ | △ | 汎用切削加工 | オイルミスト対策必要 |
| 水溶性エマルション | ○ | ◎ | 穴あけ、汎用加工 | バクテリア繁殖に注意 |
| 水溶性ソリューブル | ○ | ◎ | 高速加工 | 頻繁なメンテナンス必要 |
切削油を選定する際は、まず法規制や安全性などの制限項目を考慮して不水溶性か水溶性かを決定し、次に加工方法や要求精度などから最適な油剤を選択します。鉄・鋳鉄を加工する場合は摩擦と発熱が比較的大きいため潤滑性に優れた油性切削油が効果的で、ステンレス・難削材を加工する場合は潤滑性が高い油性切削油が適しています。
参考)http://www.ktk-lub.com/hanasi17.htm