燃焼ガス排ガス違いと成分特徴有害物質測定

燃焼ガスと排ガスの違いを正しく理解していますか?成分や発生タイミング、測定方法まで詳しく解説します。完全燃焼と不完全燃焼の違いや有害物質への対策も知りたくありませんか?

燃焼ガスと排ガスの違い

この記事のポイント
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燃焼ガスとは

燃焼反応が完結した直後の高温気体で、二酸化炭素や水蒸気が主成分です

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排ガスとは

機関や設備から排出されるガスの総称で、有害物質を含む場合があります

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主な違い

発生タイミングと温度、有害物質の含有量が異なります

燃焼ガスの定義と成分特徴

燃焼ガスとは、燃焼反応が完結した後の気体のことを指し、既燃ガスとも呼ばれます。炭化水素系燃料を燃焼させた場合の燃焼ガスは、水蒸気、二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物などに加え、燃焼反応には関与しなかった窒素、不完全燃焼生成物などの気体の混合物で構成されています。完全燃焼した場合は、燃焼ガス中にCO2(二酸化炭素)、O2(酸素)、N2(窒素)だけが含まれる状態となります。
参考)燃焼ガス - Wikipedia

 

燃焼温度は燃焼ガスの重要な特徴の一つで、燃焼終了直後の燃焼ガスの温度を指し、火炎温度とも呼ばれます。熱損失がない場合の燃焼ガスの最終温度を断熱燃焼温度と呼び、理論混合比で完全燃焼する場合は理論断熱燃焼温度となります。木炭の燃焼では酸素の供給が十分で赤熱状態のときは1000℃程度、白く輝いている盛んな燃焼時は1000~1200℃程度の温度が数時間続きます。
参考)https://katakago.sakura.ne.jp/chem/fire/ondo2.html

 

燃料が燃えるときに熱エネルギーが生まれ、その代償に排気ガスを排出しますが、完全燃焼されたときに効率よく熱エネルギーを取り出すことができ、排気ガス中の有毒物質を減少させることができます。燃焼排ガスの主要組成は、燃料中の炭素と水素が燃焼して生成する二酸化炭素、水蒸気、燃焼に使用された空気の主要成分である窒素と余剰酸素、及び不完全燃焼生成成分である一酸化炭素などから構成されます。
参考)燃焼と排気ガスは空気で決まる

 

排ガスの定義と有害物質

排出ガス(はいしゅつガス)とは、自動車や船舶などで使用される内燃機関や、航空機で使用されるガスタービン、焼却炉、火力発電所、工場などから排出されるガスの総称です。排ガスとも呼ばれ、従来は排気系から排出される排気ガスと混用されてきましたが、近年は区別される傾向があります。日本産業規格(JIS D0108)では、自動車の排出ガスは排気ガス、ブローバイガス、蒸発ガスの三種類に分類されています。
参考)排出ガス - Wikipedia

 

排気ガスには様々な有害物質が含まれており、主な成分として二酸化炭素(CO2)、不完全燃焼によって発生する無色無臭の有毒な気体である一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、高温燃焼時に空気中の窒素と酸素が結びついて生成される窒素酸化物(NOx)があります。ディーゼル車からは硫黄分が燃焼して発生する二酸化硫黄(SO2)や、燃焼しきれなかった炭素などが粒子となって排出される粒子状物質(PM)が多く含まれます。
参考)自動車の排気ガスが及ぼす影響とは?地球環境と人体を守る対策を…

 

不完全燃焼により発生した一酸化炭素は強い毒性を持っており、体内に取り込まれると一酸化炭素中毒を起こします。一酸化炭素は無色、無味、無臭の気体で、人体の血液中における酸素の運搬をするヘモグロビンとの結合力が酸素の約250倍といわれ、少量を吸引しても中毒を起こす危険性があります。空気中における一酸化炭素濃度が0.32%の場合、5~10分間で頭痛・めまいが発生し、30分間で死亡に至る可能性があります。
参考)301 Moved Permanently

 

燃焼ガスと排ガスの測定目的

排ガス計(Exhaust Gas Analyzer)とは、自動車やボイラーなどの燃焼機械から排出されるガスの成分や濃度を測定する機器です。排ガスには酸素や一酸化炭素、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)などの有害物質が含まれているため、これらの成分を測定することで環境への影響を評価したり、燃焼効率を改善したりすることができます。
参考)排ガス計の比較表一覧 レンタルなら

 

排ガスの分析が必要な理由は、排ガスが目に見えず臭いがないものも多いため、人間の視覚や嗅覚では判断できないからです。排ガス中に二酸化炭素(CO2)、酸素(O2)、窒素(N2)だけが含まれている場合は完全燃焼していて問題がない状態ですが、一酸化炭素(CO)やススが検出された場合は不完全燃焼を起こしている状態です。一酸化炭素は臭いがなく、吸い込んでも体内に入った感覚はなく、酷い時は命に係わる危険性があるため、計測することは私たちの命を守るために重要です。
ばい煙・排ガス測定は、工場や事業所などの固定発生源から排出されるガスを分析し、その濃度を測定することで、大気汚染の防止と環境保護を目的としています。この測定は大気汚染防止法や各自治体の条例に基づいて定められた排出基準の遵守を確認するために行われ、工場や事業所のボイラー、焼却炉などから発生するばいじん濃度や硫黄酸化物濃度、窒素酸化物濃度などの大気汚染物質濃度を測定します。測定の目的は、ばい煙や排ガスに含まれる有害物質の濃度を把握し、それが環境基準値を超えていないことを確認することです。
参考)ばい煙・排ガス測定

 

完全燃焼と不完全燃焼の排ガス成分比較

完全燃焼と不完全燃焼では、排出されるガスの成分が大きく異なります。完全燃焼するとCO2(二酸化炭素)、O2(酸素)、N2(窒素)が排ガス中に含まれ、これらは有毒物質ではありません。ガスが燃焼するには新鮮な空気(酸素)が必要ですが、閉めきった室内において換気を行わずにガス機器を使用していると、酸素不足になり正常な燃焼ができず、一酸化炭素等が発生している状態を不完全燃焼といいます。
参考)排ガス測定の必要性について

 

不完全燃焼すると、その程度により排ガスには完全燃焼の成分以外にCO(一酸化炭素)、煤(スス)が含まれます。燃焼排ガス中の有害ガスには、一酸化炭素、硫黄酸化物、窒素酸化物、硫化水素、ハロゲン化水素、ホルムアルデヒドなどが含まれます。窒素酸化物の生成は、空気中の酸素と窒素が高温のもとで反応することによって発生し、火炎中で反応するとNO(一酸化窒素)はさらに酸化されてNO2(二酸化窒素)となります。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikatsueisei1957/17/4/17_4_120/_pdf

 

排気ガスと燃焼ガスの違いの一つとして、ガスに含まれる一酸化炭素や炭化水素の量があります。排ガスに含まれる一酸化炭素や炭化水素は、ブローバイガス(未燃焼ガス)のそれと比べると圧倒的に少ないです。燃料が燃えるときに熱エネルギーが生まれ、その代償に排気ガスを排出しますが、完全燃焼されたときに効率よく熱エネルギーを取り出すことができ、排気ガス中の有毒物質を減少させることができます。
参考)https://car-moby.jp/article/car-life/useful-information/blow-by-gas/

 

天然ガスとLPガスの燃焼特性違い

天然ガスとLPガス(プロパンガス)は原料が異なり、それぞれ独自の燃焼特性を持っています。都市ガスは液化天然ガス(LNG)と呼ばれ、天然ガスのメタンが主成分で、1m³あたり約10,750kcalの熱量を持ちます。一方、プロパンガスはブタンやプロパンが主成分で、1m³あたり約24,000kcalとプロパンガスの方が熱量は高いですが、熱量と火力は違い、同じガス機器ならプロパンガスも都市ガスも火力は同じです。
参考)都市ガスとは?種類やメリット、プロパンガスとの違い、使用時の…

 

天然ガスの主成分であるメタンは化学式CH4で表され、炭素原子を1つしか持たないため、石油や石炭を初めとした炭化水素の中では燃焼時のCO2(二酸化炭素)、SOx(硫黄酸化物)およびNOx(窒素酸化物)排出量がもっとも少ない化石燃料です。都市ガスの代表的な組成(13A)は、メタン89.60%、エタン5.62%、プロパン3.43%、ブタン1.35%で構成されています。
参考)都市ガスの種類・熱量・圧力・成分

 

メタンは炭素原子に4つの水素原子が結合した単純な炭化水素で、空気中の酸素と結びつくことで燃焼し、淡青色の炎を発します。このような特徴を持つ天然ガスは、地球温暖化や大気汚染のような環境負荷を減らすことが可能で、地球にも人にも優しいクリーンエネルギーとしてますます期待が高まっています。都市ガスは−162℃に冷却することで液体になり、体積が600分の1にまで小さくなるため、その特性を生かして液体の状態で一度に大量に輸入し、基地のタンカーに貯蔵した後、気化・熱量調整したものを導管ネットワークを通じて提供しています。
参考)天然ガスとは? href="https://www.godoshigen.co.jp/learn/gas/" target="_blank">https://www.godoshigen.co.jp/learn/gas/amp;#8211; 株式会社合同資源

 

排ガス処理における工業的安全管理の実践

工業施設における排ガス処理と安全管理は、環境保護と労働安全の両面から重要な取り組みです。LPガスの設備のうち、供給設備については販売店に、消費設備については消費者に管理責任があり、万一の事故を防ぐためには消費者自らが自分の目で設備や使用状況の点検・確認を行う必要があります。LPガス販売事業者は、液化石油ガス法に基づき、ガスの漏えいによる爆発や火災、不完全燃焼による一酸化炭素中毒などの事故が起こらないように、供給設備点検・消費設備点検などの保安業務を万全に行うよう義務付けられています。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/lpgas/anzen_torikumi/index.html

 

燃焼式排ガス処理装置には様々な方式があり、VOCを処理する燃焼法としては触媒燃焼法、蓄熱式触媒燃焼法、直接燃焼法、蓄熱式燃焼法が挙げられます。直接燃焼・酸化処理は幅広い排ガスに対応可能で、高沸点化合物やシリコン含有物にも対応できますが、補助燃料の所要量や外部への熱回収バランスを考慮する必要があります。低温燃焼・酸化処理は燃焼温度が低く、NOx発生量が少ないという特徴があります。
参考)他方式との比較 - 日揮ユニバーサル株式会社

 

化学設備内部で作業をする際は、事前に作業の方法・順序および作業指揮者を決定し関係者へ周知すること、ガス漏洩などを防ぐためにバルブやコックを二重に閉める、または閉止板などを用いること、作業現場周辺では可燃性ガスや有害物質の濃度を随時測定すること、防爆構造の電気機械器具を用いることが重要です。事業所から排出されるばいじんなどの有害物質は、大気汚染防止法のほか各自治体の条例によっても規制されており、排出施設の種類や規模ごとに定められた排出基準を遵守する義務があるため、事業所は定期的に排ガス測定を行い、排出される有害物質の濃度をチェックする必要があります。
参考)可燃性ガスが爆発する濃度の基準は?爆発範囲の一覧と安全対策も…

 

<参考リンク>
環境省|燃焼排ガス中主要成分分析・測定法の詳細
燃焼排ガスの主要組成と測定方法について詳しく解説されています。

 

東海テクノ|ばい煙・排ガス測定サービス
大気汚染防止法に基づく排ガス測定の実施方法と基準について説明されています。