石英と長石が無色鉱物の中心となります。これらの違いを正確に理解することが、全体の鉱物学習の基礎になります。石英(セキエイ)は無色で透明、または白色をしており、特徴として不規則な方向に割れるという点が重要です。割れた面がランダムで、一定の規則性がないため「不規則に割れる」と覚えるのが効果的です。ガラス質の外観を持ち、光沢があり、花崗岩に含まれる透明な粒がこれです。
一方、長石(チョウセキ)は白色または薄いピンク色をしています。石英との大きな違いは、決まった方向に規則的に割れるという特徴です。細長い板状の結晶が集まった形をしており、特定の平面に沿って割れやすい性質(へき開)を持ちます。この「規則的に割れる」という特徴が最も重要な見分け方です。
無色鉱物の語呂合わせとして、「石英は不規則に割れ、長石は規則的に割れる」を覚えるのが有効です。さらに詳しく知りたい場合は、長石には複数の種類(斜長石、カリ長石など)があることも重要です。しかし中学段階では、この基本的な区別で十分対応できます。
有色鉱物は四つの代表的な種類があり、それぞれ異なる特徴を持ちます。これらを色・形・手触りの三つの観点からセットで覚えることが、長期記憶への定着に効果的です。
黒雲母(クロウンモ)は有色鉱物の中でも最も特徴的な鉱物です。黒色または褐色をしており、最大の特徴は「薄くペリペリと剥がれる」というへき開性です。薄いシート状に割れるため、指でこすると層状に剥がれ落ちます。見た目はキラキラと光沢があり、花崗岩に含まれる黒い粒のほぼすべてがこれです。この「剥がれやすい」という特徴が唯一無二の識別ポイントです。
角閃石(カクセンセキ)は濃い緑色から黒色をした鉱物です。細長い柱状の結晶が集まった形をしており、黒雲母との大きな違いは「剥がれないこと」です。結晶の断面がひし形に近い形をしているのが特徴で、色が濃く、表面が光沢を持ちます。黒雲母よりも硬く、割ると角張った破片が生じます。
輝石(キセキ)は黒っぽい色をしており、角閃石より短い柱状の結晶です。角閃石との見分け方は、結晶が短くてずんぐりしているという点です。粒子が詰まった印象で、比較的硬い鉱物です。玄武岩などの塩基性火成岩に多く含まれます。
カンラン石は他の三つとは大きく異なり、黄緑色の粒状をしています。独特のかんらん色(黄緑色)が最大の識別ポイントで、粒状で丸みを帯びた形が特徴です。鉄やマグネシウムを多く含み、加熱に強い性質があります。他の有色鉱物にはない色なので、見分けは比較的容易です。
鉱物の色がどのように決まるのかを理解すると、覚え方がより論理的になります。無色鉱物の石英(SiO₂)と長石はケイ酸塩鉱物で、珪長質(けいちょうしつ)と呼ばれます。これらに含まれる珪素と酸素の結合は、可視光線の吸収がほとんどなく、そのため透明または白色を呈します。光が通しやすいため、これらの鉱物が多い岩石は明るい色になるのです。
一方、有色鉱物は苦鉄質(くてつしつ)鉱物に分類され、鉄やマグネシウムを多く含みます。これらの元素が光と相互作用する際、特定の波長を吸収するため、黒色や濃い緑色などの濃い色を呈するのです。たとえば角閃石と輝石に含まれる鉄が、黒い色を生み出します。カンラン石が黄緑色なのは、鉄とマグネシウムの含有量と比率によるものです。
さらに知られていない重要な事実として、同じ鉱物でも産地や加熱条件によって色が変わることがあります。たとえば、通常は黒い石が加熱されると色が薄くなったり、完全に無色になったりすることもあります。これは含有されている金属イオンの酸化状態が変わるためです。このメカニズムを理解すれば、単純な暗記ではなく、科学的な視点から鉱物を学べます。
中学理科でよく使われる語呂合わせとして、「セキ・チョウ・クロ・カク・キ・カン」という六文字の略語があります。これは「セキエイ・チョウセキ・クロウンモ・カクセンセキ・キセキ・カンラン石」を短縮したものです。さらに短縮した「セキしたチョウさん運は隠せん、奇跡のホームラン」という語呂合わせもあり、これを使うと六つの鉱物がリズムよく頭に入ります。
ただし、この語呂合わせだけではなく、同時に各鉱物の「特徴をセットで覚える」ことが最も効果的です。色・形・割れ方・手触りという複数の感覚情報を組み合わせることで、記憶の定着率が格段に上がります。たとえば「黒雲母は黒くてペリペリ剥がれる」「カンラン石は黄緑色で粒状」というように、視覚と手感覚を結びつけて覚えると、実物を見たときに即座に識別できるようになります。
実践的には、博物館や野外での岩石見学で実物に触れることが、机上の学習を何倍にも高めます。実際に黒雲母をこすってみれば、その特徴は決して忘れられません。理科室の標本でも構いませんが、手に取って観察することが重要です。
実は、岩石学で最も実用的な知識は、含まれる有色鉱物の割合で岩石全体の色が決まるということです。有色鉱物がほとんど含まれていない岩石(花崗岩や流紋岩など)は白っぽくなり、有色鉱物を多く含む岩石(玄武岩や斑れい岩など)は黒っぽくなります。この特性を知っていれば、岩石を見たときにおおよその成分がわかるようになります。
有色鉱物の含有量の判定には、標準試料との比較が有効です。地質学では、有色鉱物の体積百分率を「色指数」と呼び、火成岩の分類基準の一つとしています。この指標を知ることで、見た目だけから岩石の大まかな組成を推定できるというプロの技が身につきます。
重要なポイントとして、一つの岩石に含まれるすべての鉱物を見分ける必要はないということです。黒い粒と透明な粒が見えたら、それが有色鉱物と無色鉱物の組み合わせだと気づくことが大切です。岩石全体の印象から、どちらがより多く含まれているかを判断する力が育てば、地学的思考が大きく前進します。
参考:地質を学ぶ、地球を知る - 岩石の成分と色の関係について、具体的な火成岩の分類方法や無色鉱物と有色鉱物の結晶化順序を詳しく解説しています。
地質調査総合センター 岩石や地層のでき方

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