焙り炙り違いと陶芸作品の仕上げに使う技法

焙りと炙りの使い分けを陶芸作品の仕上げや装飾技法の視点から解説します。湿気を取る焙煎と直火で焼く炙りの違いを知れば、作品づくりのヒントになるかもしれませんね。

焙り炙り違い

陶芸では焙りを使わず炙りだけ使うと作品が割れます。


この記事のポイント
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焙りは湿気を取る加熱

直火に限らず蒸し焼きも含む。焙煎やほうじ茶の「焙じる」と同じ意味で乾燥が目的

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炙りは直火で軽く焼く方法

食材を直接火に当てる技法。「炙」の字はもともと「あぶり肉」を意味する

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陶芸では両方が重要

素焼き前の焙り乾燥で水分を飛ばし、装飾では炙りで表面に変化をつける

焙りと炙りの基本的な違い


「焙り」と「炙り」は、どちらも火を使って物を温めたり焼いたりする行為を指しますが、使われる場面に違いがあります。


参考)http://www.st38.net/chigaino-zatugaku/z0019.html


「焙る」は、火に当てて湿気を取り乾かすことを主な目的とした表現です。焙煎という言葉に「焙」の字が使われていることからわかるように、直火だけでなく蒸し焼きも含む幅広い加熱方法を指します。


英語でいうとローストに近い意味です。


ほうじ茶の「焙じる」も、まさにこの意味で使われています。


一方「炙る」は、直接火を当てて軽く焼く方法としての意味が強い表現です。「炙」という字は、もともと中国語で「あぶり肉」を意味していました。「海苔を炙る」「カツオを藁で炙る」「牛肉をバーナーで炙る」など、食材を直火で焼く場面でよく使われます。


参考)「焙る」「炙る」の意味と違い - 社会人の教科書


つまり湿気取りなら焙るです。


辞書では同じ言葉として説明されており、基本的にどちらを使っても間違いではありませんが、実際の使い分けには傾向があります。「焙る」は火を入れて湿気を取る意味で、「炙る」は食べ物を直火で軽く焼く意味で使われることが多いのです。


ただし注意点があります。「焙」も「炙」も常用漢字表には含まれないため、公用文などでは使用できません。


陶芸における焙りの役割

陶芸作品を作る工程では、焙りが非常に重要な役割を果たします。


素焼き前の乾燥工程で「焙り乾燥」を行うことで、粘土に含まれる水分を徐々に飛ばしていきます。この工程を省略したり急激に加熱したりすると、作品内部の水分が急激に蒸発して亀裂や破損の原因になります。焙り乾燥は400°F以上(200°C以上)の温度でゆっくりと行われ、カラメル化とメイラード反応によって色と深い風味を生み出す効果もあります。


参考)オーブンで焼く vs. 炙る vs. ローストする 2026


焙りは間接加熱も含みます。


電気窯ガス窯で温度を徐々に上げながら乾燥させる方法も、広い意味での「焙る」に含まれます。直火に限定されない点が、炙りとの大きな違いです。


初心者の陶芸教室では、この乾燥工程の重要性を丁寧に教えることが多く、作品を長持ちさせるための基本技術として位置づけられています。乾燥が不十分な状態で本焼きに進むと、窯の中で作品が割れてしまうリスクが高まるため、焙り乾燥には十分な時間をかけることが原則です。


参考)亀井俊哉の陶芸教室がブログで集客する方法|継続できる仕組みと…


陶芸作品の装飾技法としての炙り

陶芸の装飾技法において、炙りは表面に独特の効果を生み出す手法として使われます。


釉薬を塗った後や素焼き後の表面に、バーナーやガストーチで直接火を当てることで、局所的な色の変化や質感の違いを作り出せます。炙り焼きは約500°F以上(260°C以上)の高温に達し、エネルギーを表面に直接集中させてわずか数分で素早い結果をもたらします。


表面だけを変化させられます。


金彩や銀彩などの上絵付けを施した後、炙りで定着させる技法もあります。この場合、直火で短時間加熱することで、絵具を表面に焼き付けながら独特の光沢を出すことができます。


炭火で器の表面を炙って煤(すす)を付着させる「燻し(いぶし)」技法も、炙りの一種です。この方法で作られた作品は、黒や銀色の独特な色合いを持ち、茶道具などで珍重されます。直火を当てることで炙った部分と当てていない部分にグラデーションが生まれ、一点物としての価値が高まります。


焙りと炙りの温度管理の違い

焙りと炙りでは、適切な温度管理の方法が大きく異なります。


焙り乾燥では、低温から徐々に温度を上げていく段階的な加熱が基本です。陶芸の素焼き前には、通常100°C程度から始めて数時間かけて200°C以上まで上げていきます。急激な温度変化を避けることで、粘土内部の水分が均一に蒸発し、作品全体が安定した状態で焼き上がります。


段階的な加熱が鉄則です。


対して炙りは、高温の直火を短時間当てる技法です。500°C以上の温度で数分以内に表面だけを変化させるため、温度計よりも目視での判断が重要になります。炙り過ぎると表面が焦げたり釉薬が溶けすぎたりするため、経験と勘が求められる技法といえます。


電気窯では温度を1°C単位で制御できるため、焙り乾燥に適しています。一方、炙りはガスバーナーや炭火など、直接火を扱える熱源が必要です。このように使用する道具も、焙りと炙りでは異なります。


温度管理を誤ると、焙りでは乾燥不足で本焼き時に割れ、炙りでは過加熱で表面が損傷します。どちらも作品の仕上がりを左右する重要な工程なので、適切な温度帯を守ることが大切です。


焙り炙りを使った独自の作品表現

焙りと炙りの特性を組み合わせることで、他にはない独自の作品表現が可能になります。


まず焙り乾燥の段階で、作品の一部だけを意図的にゆっくり乾かし、他の部分は早めに乾かすことで、表面に自然なひび割れ模様(貫入)を作り出す技法があります。この焙り方の違いによって生まれる模様は、計算しきれない偶然性を持つため、一点物としての価値が高まります。


乾燥速度で模様を作れます。


本焼き後に炙りを加える「後炙り」という技法では、すでに完成した作品の特定部分だけをバーナーで炙り、色調を変化させます。釉薬に含まれる金属成分が熱で還元され、青や緑、金色などに発色する効果を狙えます。この技法は現代陶芸家の間で注目されており、伝統的な焼成では得られない色彩表現として活用されています。


藁や木材を使った「藁灰炙り」も独自性のある技法です。作品表面に藁灰を塗り、バーナーで炙ることで、灰に含まれるミネラルが釉薬と反応して独特の景色(模様)を生み出します。炙る温度や時間、灰の種類によって無限のバリエーションが生まれるため、作家の個性を強く反映できる表現方法といえます。


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焙りと炙りを意識的に使い分け、組み合わせることで、あなただけの作品表現が広がります。




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