ストーンウェア(炻器・半磁器)は、粘土と長石、石英を混ぜ合わせた原料を使用します。焼成温度は約1200~1300℃で、磁器よりもやや低温ですが、陶器よりは高温で焼き上げます。この焼成プロセスにより、素地が緻密に焼き締まり、石のように硬い質感が生まれます。
参考)|中川政七商店オンラインショップ
高温での焼成により、気孔含有率が極めて低くなるため、ストーンウェアは非多孔性の特性を持ちます。陶器のような土の温かみを残しながら、磁器に近い強度と吸水性の低さを実現しているのが大きな特徴です。焼成前の陶土は灰色や茶色であることが多く、磁器と比べて素朴な外観になります。
参考)https://salaselect.com/blogs/topics/20220909
ストーンウェアは英語で「stone(石)」と「ware(製品)」を組み合わせた言葉で、その名の通り見た目が石のように緻密であることから名付けられました。磁器よりも厚く不透明で、一般的に素朴で土っぽい印象を与えます。
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磁器は陶石と呼ばれる岩石を主な原料として作られ、「石もの」とも呼ばれます。焼成温度は1250度以上、一般的には1300~1400℃の高温で焼き上げられます。この高温焼成により、素地の粒子間がガラス質で埋められるため、陶磁器の中で最も硬く、吸水性がほとんどありません。
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磁器の素地は美しい白色が特徴で、この白さを活かした色絵付けや装飾が多く施されます。薄くても非常に硬く、軽く叩くと「キンッ」と金属音に似た高い音がします。また、透光性があるため、明るい色目の器は光を当てるとぼんやりと光が漏れます。
磁器は目が詰まっていて耐水性があり、汚れにも強いため日常で使いやすい食器です。ストーンウェアと比較すると、磁器の方が洗練された繊細な外観を持ち、フォーマルな食事や装飾品に適しています。
参考)磁器と炻器 - Joyye
ストーンウェアは高温焼成により非常に耐久性があり、欠けたり割れたりしにくいという特徴があります。密度が高く頑丈な感触で、日常使いに最適な強度を持っています。特にル・クルーゼなどのブランドのストーンウェアは、通常の陶器よりも素材の密度が高く、より丈夫に作られています。
参考)ご自宅に最適なストーンウェア食器セットの選び方
磁器も陶器と比較すると硬く衝撃に強い素材ですが、欠けにくさという点ではストーンウェアの方が優れている場合があります。しかし磁器は傷や汚れに強く、長期的な美観の維持という面では優位性があります。どちらも耐久性は高いものの、それぞれ優れている点が異なります。
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実用面では、ストーンウェアは土器よりも耐久性が高く、磁器に匹敵する強度を持っています。一方で磁器は素地の緻密性が最も高く、陶磁器の中で最も硬いという特性があります。
参考)【#2】 磁器 – 石が化けたもの –
ストーンウェアは陶器と磁器の中間の吸水率を持ち、ほぼ非多孔性です。陶器のような土の風合いを持ちながら、磁器のように吸水性がほとんないのが特徴です。高温で焼成され、ガラス質が添加されているため、液体が浸透しにくくなっています。
参考)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000091193.html
磁器は素地の粒子間がガラス質で埋められているため、吸水性がほとんどなく完全に非多孔性です。目が詰まっていて耐水性があり、食材の色や匂いが付きにくく、汚れにも強い性質があります。使用後に拭いたらすぐに乾かせるため、カビにくく漂白剤も使用できます。
陶器は吸水性が高く、目には見えない無数の穴が開いているため、料理の色や匂いが付きやすい特徴がありますが、ストーンウェアはこの問題をほぼ解決しています。空気穴の少ないストーンウェアは耐水性があり、タレなどを入れても弾いてくれるので汚れがつきにくく、食材の匂いもつきにくいという利点があります。
参考)耐久性高く汚れが付きにくい人気のストーンウェア食器
ストーンウェアは保温性が非常に高く、熱を均一に伝え、料理を長時間温かく保つことができます。他の陶磁器よりも保温性が高いため、温かい料理を提供する際に特に優れています。陶器のように熱しにくく冷めにくい性質を持ち、ゆっくりと食事を楽しむのに適しています。
参考)ストーンウェアとセラミック
磁器は熱しやすく冷めやすい性質があり、陶器やストーンウェアと比較すると熱伝導が良好です。この特性により、磁器は冷たい飲み物を提供する際や、迅速な温度変化が必要な場合に適しています。ただし、保温性という点ではストーンウェアに劣ります。
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オーブンからテーブルへの盛り付けには、ストーンウェアの保温性により最適です。ストーンウェアはオーブン、電子レンジ、冷凍庫、食器洗い機で使用できる多用途性も持っています。ただし、製造元の情報を確認することが推奨されます。
日常使いには、扱いやすさを重視するなら磁器が適しています。磁器は熱伝導が良く耐久性にも優れており、壊れにくい素材でできているため気兼ねなく使えます。比較的薄く軽いものが多いので、女性でも難なく使い続けることができ、お手入れも簡単です。
ストーンウェアは欠けたり割れたりしにくく、日常使いに最適な耐久性を持っています。保温性が高いため、温かい料理を長く楽しみたい場合に特に優れた選択肢となります。匂いや風味をほとんど吸収しないので、料理は本来の味を保てます。
用途に応じて使い分けるのがおすすめです。普段使いには丈夫で扱いやすい磁器、ゆっくり食事を楽しむときには味わい深いストーンウェアという使い分けができます。汁物や油汚れの料理が多い場合は磁器が優れており、日常的に食洗機を使う場合も磁器が適しています。
参考)陶磁器とは?陶器と磁器の違いと特徴をやさしく解説
メリット
デメリット
メリット
デメリット
ストーンウェアの人気ブランド
ル・クルーゼのストーンウェアは、通常の陶器よりも素材の密度が高く、耐久性に優れた製品として知られています。陶器のような優しい風合いがありつつ、磁器のような耐久性も併せ持っています。高温で焼き上げられ、液体が浸透しにくいのが特徴です。
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ダルトンもストーンウェア素材の温かみが深く感じられる食器を展開しており、実用性とデザイン性を兼ね備えた製品を提供しています。
磁器の人気ブランド
日本のブランドでは、ノリタケが世界中で親しまれており、手が出しやすい価格帯から高級シリーズまで種類が豊富です。白山陶器は長崎県の波佐見焼で、モダンで使いやすいデザインが特徴です。香蘭社は佐賀県の有田焼を代表するブランドで、伝統的な磁器製品を展開しています。
参考)食器の人気ブランド厳選15個をランキングで紹介
海外ブランドでは、ロイヤルコペンハーゲンやウェッジウッドが高い人気を誇り、ファインボーンチャイナの代名詞として知られています。マイセンはヨーロッパ初の磁器を生み出したブランドで、手書きの高級磁器の代名詞です。
参考)ブランド陶器 人気ブランドランキング2025
一般的に、ストーンウェアの方が磁器よりも予算に優しい傾向がありますが、どちらの素材も価格は大きく異なります。ブランドやデザイン、製造方法によって価格帯は幅広く、高級なものから手頃なものまで選択肢があります。
購入時には以下の点に注意が必要です。まず、使用目的を明確にすることが重要です。フォーマルな食事や装飾品には磁器が適しており、日常使用や調理にはストーンウェアの方が適している場合があります。美的嗜好も考慮し、洗練された繊細な外観を好む場合は磁器、より素朴で素朴な外観を好む場合はストーンウェアを選びます。
重さの好みも重要な要素です。軽い食器がお好みなら磁器の方が適しており、重めの食器のしっかりした感触を好む方にはストーンウェアが適しています。調理習慣も考慮し、焼き物やオーブンからテーブルへの盛り付けには、ストーンウェアの保温性により最適です。
ストーンウェアは半磁器として吸水性が低いものの、陶器に近い性質を持つものは目止めが必要な場合があります。目止めは、米のとぎ汁を使用して行います。鍋に器とお米のとぎ汁を入れ、器が隠れるくらいまで水を加えます。中火から弱火で15~20分程度煮て、沸騰させないよう注意します。
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煮終わったら自然に冷まし、完全に冷めたら表面のぬめりをとるために器を洗います。よく乾燥させることが重要で、乾燥が不十分な状態でしまうとカビの原因になります。目止めはシミやにおいをつきにくくする作業ですが、完全に防ぐことはできないため、使用前に水にくぐらせてから使用するのもシミ対策に有効です。
参考)あなたは知ってる?目止めのやり方 href="https://hasamilife.com/blogs/blog/medome" target="_blank">https://hasamilife.com/blogs/blog/medomeamp;ndash; Hasam…
日常の手入れでは、使用後は中性洗剤と柔らかなスポンジで洗い、硬いスポンジやゴシゴシ強く洗うことは避けてください。ストーンウェアは食器洗い機に対応していますが、熱いまま濡れた所に置いたり、濡れた布等で取り扱わないよう注意が必要です。
参考)器のお手入れ方法
磁器は吸水性がほとんどないため、目止めは不要です。使用後は中性洗剤と柔らかなスポンジで洗ってください。色絵や金彩などは強く洗うと色が落ちることがあるため、優しく扱う必要があります。硬いスポンジで洗ったり、ゴシゴシ強く洗うことは避けましょう。
参考)うつわの「目止め」とは?陶器・磁器の違いと使い始めのお手入れ…
磁器は耐水性が高く、洗った後拭いたらすぐに乾かせるため、カビにくく管理が簡単です。漂白剤が使用できるため、吸い込む心配がなく、頑固な汚れも落としやすいという利点があります。食器洗い機や食器乾燥機にも対応しており、日常のお手入れが非常に簡単です。
保管する際は、器同士が直接触れ合わないよう、柔らかな布を挟んで重ねることをおすすめします。特にうるっと瑞々しい表情の透明釉や飴釉のものは傷がつきやすいため、収納時には注意が必要です。風通しの良い場所で保管し、湿気がこもらないようにすることが長持ちのコツです。
ストーンウェアは基本的に電子レンジ、オーブン、食器洗い機での使用が可能です。ただし、直火や高温調理のご使用は避け、製造元の情報を必ず確認することが推奨されます。調理の際は水滴をぬぐい、途中で差し水をするときは冷水を使用しないでください。
参考)https://www.lecreuset.co.jp/faq-caution-index.html
加熱後は陶器が熱くなることがありますので、必ずポット・ホルダーやグローブなどを使用し、直接触らないようにします。使用後は自然に冷ましてから(20分程度)、手洗い又は食器洗い機で洗ってください。乾燥には絶対火を使用しないでください。
磁器も電子レンジと食器洗い機の使用が可能です。磁器は耐水性が高く、洗浄後すぐに乾かせるため、食器洗い機との相性が良好です。ただし、金彩や銀彩が施されているものは電子レンジ使用不可の場合があるため、装飾品の確認が必要です。オーブン使用については、急激な温度変化に弱いため注意が必要です。
ストーンウェアは吸水性がほとんどありませんが、使用頻度が高いと汚れやにおいが目立つ場合があります。シミやにおいがついてしまった場合は、重曹や粗塩を使って洗う方法が効果的です。水を含んだスポンジに大さじ1杯の重曹をのせ、シミや着色汚れの箇所をゆっくりと擦りながら洗います。
参考)やちむんのお手入れ方法「目止め」|琉球民芸センター
使用前に水にくぐらせてから使用することで、シミ対策が可能です。油分の多い料理を盛りつける際は、10分程度水にさらしたり、懐紙を活用するなどのひと手間で油ジミを防ぐことができます。貫入のあるストーンウェアは水分を吸収しやすいため、あらかじめ目止めをしたり、使用前に水につけることが重要です。
磁器は吸水性がほとんどないため、シミがつきにくい素材です。汚れがついても漂白剤が使用できるため、頑固な汚れも落としやすいという利点があります。ただし、色絵や金彩などの装飾部分は強く洗うと色が落ちることがあるため、優しく扱う必要があります。
ストーンウェアを長持ちさせるには、急激な温度変化を避けることが最も重要です。熱いまま濡れた所に置いたり、加熱中に冷水を注ぐことは避けましょう。使用後は自然に冷ましてから洗い、完全に乾燥させてから収納することでカビを防止できます。
定期的な目止めも効果的です。使用頻度にもよりますが、半年に一度・一年に一度など、定期的に目止めを行うことで、購入時の風合いが長く続きます。収納する際は器のあいだに柔らかな布を挟んで重ね、傷つきを防ぎます。
磁器は耐久性が高い素材ですが、衝撃には注意が必要です。特に薄く軽い磁器は落とすと割れやすいため、取り扱いには注意しましょう。急激な温度変化も避け、熱いものを盛った後すぐに冷水につけるなどの行為は控えてください。色絵や金彩などの装飾部分は優しく扱い、ナイフやフォークではなくお箸を使用することで傷を防げます。風通しの良い場所で保管し、湿気がこもらないようにすることが長持ちのコツです。
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