桃山時代に作られた瀬戸黒茶碗は、今でも8割以上が窯の中で割れてしまいます。
瀬戸黒の技法で人間国宝に認定されたのは、荒川豊蔵と加藤孝造の2人だけです。荒川豊蔵は1955年に志野焼と瀬戸黒の両方で重要無形文化財保持者に認定された第一号で、2つの技法で認定された人間国宝は豊蔵しかいません。
つまり唯一の存在です。
参考)瀬戸黒茶垸(せとぐろちゃわん) Setoguro tea b…
豊蔵が1985年に亡くなった後、瀬戸黒の重要無形文化財指定は一度解除されていました。25年の空白期間を経て、2010年に加藤孝造が瀬戸黒で2人目の人間国宝として認定され、技法が再指定されたのです。
参考)社団法人美濃陶芸協会
加藤孝造が人間国宝に認定されたのは75歳の時でした。その後の作品は円熟期の傑作と評価されています。
参考)<美のありか>漆黒に宿る人間国宝の技 瀬戸黒茶わん:中日新聞…
瀬戸黒茶碗は鉄分を約10%含んだ鉄釉をかけて焼成します。器形は端正な円筒型から、口縁部に山道(やまみち)と呼ばれるゆるやかな起伏を持つものまで様々です。高台は低めで、腰あたりまで施釉して土見せ(釉薬をかけない部分)を広くとるのが特徴です。
参考)瀬戸黒の技法
荒川豊蔵の作風は、独特の釉薬の縮れを美の極限まで推し進めたものです。桃山陶では失敗とされた釉調のちぢれを、豊蔵は美の表現として見事に昇華させました。漆黒の艶を持ちながら、ちぢれた釉薬が現代における瀬戸黒の景色となっています。
加藤孝造の作品は、厚みのある釉薬が醸し出す深い黒色と、焼成過程で生まれる赤みや灰かぶりなどの自然な景色が魅力です。
手作業ならではの温かみがあります。
参考)瀬戸黒茶道具の魅力と価値を徹底解説|特徴・歴史・査定基準と高…
引き出し黒は、瀬戸黒の漆黒を生み出す独特の技法です。鉄釉が熔ける高温帯、およそ1,200℃前後の状態で茶碗を窯の外に取り出し、水に浸けて急冷すると、釉薬に含まれる鉄分が黒く発色します。この技法は天正年間(1573〜1592)から行われており、天正黒とも呼ばれています。
参考)土岐市美濃焼の技術
焼成は6時間で900℃まで上げ、その後還元焔をかけながら1,250℃まで上昇させます。1,250℃に達してから15分ほど経過した時点で、釉薬が熔けているのを確認して茶碗を引き出し、急冷するのです。
この急冷によって生まれる黒は艶を帯び、急激な温度変化によって茶碗の表面には細かい貫入がたくさん生じます。艶のある黒色と器面を走る細かい貫入が瀬戸黒の特徴ですね。
ただし、この技法には大きなリスクがあります。急に収縮して大半の釉薬が弾け飛び、器体も割れてしまうケースが多いのです。たまたま割れなかったわずかな瀬戸黒茶碗だけが貴重な茶碗として伝世し、今や博物館や美術館に並ぶわけです。
人間国宝の作品は、作家銘が確認できる場合、真贋判定がしやすく市場での信用も高まります。オークションや専門業者の査定では、無銘のものに比べて数倍の価格がつくことも珍しくありません。
加藤孝造作の志野茶碗で参考買取価格が50,000円という例があります。人間国宝の茶碗は、作品の状態や共箱の有無によって大きく価格が変動するのです。
参考)人間国宝の買取価格相場
古田織部や千宗旦ら著名な茶人の名前が関連した茶碗は、美術館が収蔵を希望するレベルのケースもあります。来歴を示す文献や古文書が伴えば、真贋証明の裏付けとなり、他の同時代品よりも高額評価につながりやすいです。
桃山時代の瀬戸黒茶碗の陶片は、貴重となった陶片を集めて一つの茶碗にしようと考える骨董屋さんがたくさんいて、皆が売らない傾向にあります。
そのくらい希少なのです。
投資目的で人間国宝の茶碗を購入する場合は、専門家の鑑定を受けることをお勧めします。偽物や贋作も市場に出回っているため、信頼できる業者やギャラリーで購入するのが確実な方法です。
瀬戸黒茶碗を使用する際は、まず目止めを行います。米のとぎ汁や小麦粉を溶いた水に茶碗を入れ、15〜20分ほど弱火で煮沸し、鍋ごと冷まして充分に乾燥させます。
これが基本です。
参考)お手入れ方法
使うたびに、温かい食べ物を盛り付けるときにはぬるま湯をくぐらせ、冷たいお料理を盛り付けるときには冷たい水をくぐらせてください。醤油や油分がしみにくくなると共に、温度を保つことができます。
日常的な洗浄は、普通の食器と同じように柔らかいスポンジで洗っていただいて大丈夫です。
その後、十分に乾かしてください。
食器洗浄機は使わないのが原則です。
瀬戸黒茶碗は使うたびにしっとりとした肌合いになり、経年変化を楽しむことができます。長く使い込むほど味わいが増していくのが魅力ですね。
保管する際は、直射日光を避けた風通しの良い場所に置くことが大切です。桐箱に入れて保管すれば、湿気や埃から守ることができます。茶碗同士が接触しないよう、間に柔らかい布を挟んで収納するのも有効な方法です。
📚 瀬戸黒茶碗に関する詳細情報はこちら
多治見市美濃焼ミュージアムのデジタルアーカイブでは、荒川豊蔵の瀬戸黒茶碗の解説や見どころポイントが詳しく紹介されています。
📚 引き出し黒の技法について学ぶなら
桃山陶の技法解説サイトで、瀬戸黒の器形や引き出し黒の詳細な製作工程を確認できます。

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