セラミックス学会2025の年会と陶磁器の最新研究トレンド

セラミックス学会2025(日本セラミックス協会年会)では陶磁器から最先端材料まで幅広い研究が発表されました。年会の概要や注目テーマ、参加方法を詳しく解説します。あなたは学会を「専門家だけのもの」と思っていませんか?

セラミックス学会2025の年会と陶磁器部会の最新動向

陶磁器に興味があるあなたでも、非会員・学生として年会に無料参加できる制度があります。


セラミックス学会2025 ポイント早わかり
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2025年年会の開催概要

2025年3月5日〜7日、静岡大学浜松キャンパスで開催。日本セラミックス協会の年に一度の最大イベントで、研究発表・企業展示・産学連携セッションが行われた。

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陶磁器部会との深いつながり

日本セラミックス協会の陶磁器部会は1891年(明治24年)創立。年会では部会特別講演も実施され、伝統工芸と最新技術が交差する発表が並ぶ。

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一般・陶磁器愛好家でも参加できる

聴講のみを希望する学生・生徒は参加費無料。陶磁器部会講演会は会員4,000円・非会員5,000円・学生2,000円で参加可能。陶磁器に興味ある人にも開かれたイベント。


セラミックス学会2025年会の基本概要と浜松開催の意義

2025年年会は、2025年3月5日(水)から7日(金)の3日間、静岡大学浜松キャンパスを会場に開催されました。主催は公益社団法人日本セラミックス協会(The Ceramic Society of Japan)で、浜松・浜名湖ツーリズムビューローも協力しています。


浜松は光・電子産業の集積地として知られており、「ものづくり」と研究の融合が期待される会場選定でした。静岡大学浜松キャンパスは、光技術・電子工学系の研究で全国的な知名度を持つ拠点です。セラミックス研究との親和性も高い地域です。


年会では、口頭発表・ポスターセッション・企業展示に加え、「産学連携・共創セッション」が設けられました。これは企業と大学研究者が直接対話しながら共同研究の糸口を探す取り組みで、近年の年会における注目企画の一つです。


注目すべきは、参加形態の多様さです。研究発表者だけでなく、聴講目的でも参加が可能で、学生・生徒が「発表なし・聴講のみ」の場合は参加費が無料となっています。陶磁器や焼き物が好きな方にも、最先端の研究に触れられる貴重な場です。


また、年会プログラム(日本語版・英語版)やタイムテーブルは公式サイトからPDFで公開されており、事前にセッション内容を確認することができます。参加者は中学生以上から登録が必要なため、幅広い層が対象とされています。


日本セラミックス協会 2025年年会 公式サイト|開催概要・プログラム・参加登録情報を掲載


セラミックス学会2025の陶磁器部会講演会と伝統技術の現在地

日本セラミックス協会の陶磁器部会は1891年(明治24年)の創立以来、130年以上にわたって活動を続ける由緒ある基幹部会です。「陶磁器を知らずして、セラミックスを語ることなかれ」というキャッチコピーが示すように、陶磁器はあらゆる現代セラミックス技術の源流とも言えます。


2025年度の第30回陶磁器部会講演会は、2025年6月27日(金)にウインクあいち(名古屋市)で開催されました。テーマは「海外での陶磁器の最新モノづくり ~インクジェット加飾を中心とした~」です。これは注目に値するテーマです。


具体的には、以下の3つの講演が行われました。


- 「最新のインクジェット技術と業界の動向や海外フリットについて」(TORRECID Japan Marketing & Service)
- 「最新のインクジェット装置と加飾の進化、ガラス加工技術」(株式会社コーレンス)
- 「大型陶板におけるインクジェットの活用と色調管理の取り組み」(TOTOマテリア株式会社)


インクジェット技術は、従来の手描き・転写シール・スクリーン印刷に代わる「第4の加飾技術」として国内外で急速に普及しています。大型陶板(タイルや床材など)への精密なデジタル印刷は、陶磁器の意匠表現の幅を飛躍的に広げています。


参加費は会員4,000円・非会員5,000円・学生2,000円と比較的リーズナブルです。定員50名と限られているため、関心がある方は早めの申し込みが必要です。


陶磁器部会のキーワードを見ると、「強化磁器」「低温焼成磁器」「軽量材料」「無鉛化」「リサイクル」といった現代の課題が並んでいます。伝統的な素材を扱いながらも、環境対応・省エネ・機能強化という21世紀の要求に応えようとしている姿勢が見えます。


公益社団法人 日本セラミックス協会 陶磁器部会|活動履歴・講演会情報・部会キーワード掲載


セラミックス学会2025で注目された研究テーマと最新トレンド

2025年年会・秋季シンポジウムを通じて、セラミックス研究の最前線では複数のテーマが注目を集めました。つまり、2025年はセラミックス研究の多角化が加速した年といえます。


📌 焼結技術の進化


焼結(高温で粉体を固める工程)は、陶磁器・ファインセラミックス両方の根幹技術です。2025年の研究では「低温焼結」「化学反応を利用した焼結」「SPS(放電プラズマ焼結)」といった省エネ型プロセスへの関心が高まっています。従来、陶磁器の焼成には1,200℃以上が必要とされてきましたが、低温焼結技術によってその常識が変わりつつあります。


📌 電子セラミックスとIoT素材


村田製作所・TDK・日本ガイシなど国内セラミックスメーカーが協賛企業として名を連ねる年会では、電子材料部会セッションも活発です。スマートフォン・EV(電気自動車)・5G通信に欠かせない積層セラミックコンデンサ(MLCC)など、電子セラミックス分野の発表件数は年々増加しています。


📌 セラミックス×3Dプリンティング


陶磁器部会でも話題になった3Dプリンティングは、2025年の年会でも注目トレンドのひとつです。セラミックスの3D成形は従来困難とされてきましたが、スラリー(泥状原料)を用いた積層造形技術や、バインダージェット方式の進化により、複雑形状の陶磁器・工業部品が実現しています。


陶磁器愛好家にとっても、3Dプリンティングは無視できない技術です。佐賀県の香蘭社と佐賀大学は、陶磁器の「自硬成形技術」を共同開発するなど、産地レベルでのデジタル活用も始まっています。


📌 環境・サステナビリティ


「無鉛化」「リサイクル」「省エネ焼成」は2025年のキーワードです。釉薬の鉛フリー化は長年の課題であり、国際的な規制強化とともに代替釉薬の研究が加速しています。銅釉の抗菌性研究(Copper-glazed ceramic tiles combat bacteria through hydrophobicity)など、陶磁器の機能性を科学的に解明する研究も増えています。


日本セラミックス協会 産学連携ページ|年会・シンポジウムでの産学共創セッション情報


セラミックス学会2025の参加方法と陶磁器愛好家が得られるメリット

「セラミックス学会って研究者や技術者だけのものでしょ?」と思っている方は多いかもしれません。しかし実際には、陶磁器愛好家・作家・クラフト系学生にとっても参加価値が高い場です。


年会への参加登録について


年会に参加する場合、招待者を除き全員が参加登録を行います。中学生以上が登録対象です。「聴講のみ(発表なし)」を希望する学生・生徒については参加費無料という制度があります。これは意外と知られていない特典です。


一般の非会員が参加する場合は有料となりますが、会員価格での参加を希望するなら入会の手続きが必要です。入会手続きには会費納入確認を含め2〜3日程度かかるため、年会直前の申し込みには注意が必要です。


日本セラミックス協会の個人会員になるメリット


| 項目 | 詳細 |
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| 年会費(個人会員) | 12,500円(冊子版+WEB版閲覧可) |
| 会員数(2025年1月時点) | 4,504人(個人2,987・学生1,295・特別222団体) |
| 特典 | 協会誌「セラミックス」月刊、論文誌「Journal of CSJ」閲覧、年会割引参加など |


協会誌「セラミックス」では、陶磁器の歴史・製造技術・最新研究が平易な文章で掲載されており、専門家でなくても読みやすい内容も多く含まれています。


陶磁器部会講演会は非会員でも5,000円で参加可能


年会のような規模の大きいイベントに参加するのが難しい場合、陶磁器部会の年1回の講演会は参加しやすい選択肢です。非会員でも5,000円、学生なら2,000円で参加できます。最新のインクジェット加飾技術や素材トレンドを直接専門家から聞ける機会として、陶芸作家・タイル関係者・食器メーカー勤務者にとっても実用的な情報が得られます。


また、協会では「セラミックス大学 2025」という教育講座も開講しており、セラミックスの基礎から応用まで体系的に学べます。非会員の場合はベーシック3回分で45,000円・全7回分で70,000円となっています。


公益社団法人 日本セラミックス協会 入会・各種手続き|会員特典と入会方法の詳細


2025年秋季シンポジウムと2026年以降のセラミックス学会展望

2025年の活動はセラミックス学会の年会だけではありません。2025年9月17日〜19日には、群馬大学荒牧キャンパスで第38回秋季シンポジウムが開催されました。これは年会と並ぶ、年2回の大型研究発表会のうちの一つです。


秋季シンポジウムでは、一般セッション・査読セッション・ポスターセッション・企業展示のほか、「産学連携共創技術マッチング」セッションも設けられました。特定セッションでは「誘電材料の最前線 ~社会課題解決のためのイノベーション創出~」など、電子部品・エネルギー材料分野の発表が活発に行われました。


注目すべきは参加費の変化です。物価上昇の影響を受け、行事企画委員会・理事会の検討を経て参加登録費が改定されています。こういったコスト上昇への対応は、参加者にとって実際の出費に直結します。早めの事前登録を活用することで費用を抑えられます。


2026年以降の見通し


2026年年会は3月4日〜6日、横浜国立大学常盤台キャンパスでの開催が予定されています。そして2026年9月6日〜11日には、ICC11(第11回国際セラミックス会議)が札幌コンベンションセンターで開催される予定です。これは第39回秋季シンポジウムとの併催であり、世界中からセラミックス研究者が集まるグローバルな学術イベントです。


国際会議の開催は、陶磁器・ファインセラミックス双方の技術交流が一気に国際規模に拡大するタイミングです。世界の研究者と直接議論できる場として、業界内外から大きな注目を集めています。


陶磁器に興味があるなら、こうした学会の動向を把握しておくことで、材料・技術・デザインの最前線情報を早めにキャッチできます。これは得する知識です。


日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム・国際会議|開催履歴と今後の予定一覧


陶磁器愛好家が見逃しがちなセラミックス協会の活用術【独自視点】

陶磁器を愛する人の多くは、日本セラミックス協会を「産業・研究者向けの団体」として距離を感じているかもしれません。しかし協会の活動をよく見ると、陶芸愛好家・コレクター・クラフト系クリエイターにとっても有益な情報源になっています。


🏺 セラミックス博物館(無料公開)


協会公式ホームページでは「セラミックス博物館」を無料公開しています。「日本のやきもの」セクションでは、備前焼の緋襷(ひだすき)の赤色のメカニズムなど、陶磁器の色や質感を科学的に解説したコンテンツが掲載されています。たとえば岡山理科大学セラミック材料学研究室の草野先生による「備前焼『緋襷』の赤色」の解説は、日本化学会の会誌にも掲載されるほど専門性の高い内容です。


「なぜこの釉薬はこの色に発色するのか?」「なぜ備前焼は高温に耐えられるのか?」という疑問への科学的な回答が、協会サイト経由で得られます。陶磁器をより深く楽しむためのバックグラウンド知識として活用できます。


📖 協会誌「セラミックス」の活用


月刊で発行される協会誌「セラミックス」は、最新の研究トピックを平易に解説したコンテンツが含まれています。個人会員(年会費12,500円)になることでWEB版も閲覧できます。銅釉の抗菌性、ウェッジウッドの歴史、招き猫の陶磁器文化など、陶磁器愛好家が喜ぶ記事が掲載されることもあります。


🔗 工場見学・産地視察への参加


陶磁器部会では年に1回程度、工場見学・産地視察も行われています。2024年度は岡山での工場見学、2023年度は天草陶石の見学会が実施されました。こうした現場訪問は、一般の観光では見られない製造現場の実態を学ぶ機会です。天草陶石はあの有田焼波佐見焼の原料となる良質な磁器土の産地であり、日本の磁器文化の根幹を支えています。


JIS規格と陶磁器の品質基準


実用面でも役立つ情報があります。協会が関わる規格では、「JIS S 2403 ボーンチャイナ製食器の洗浄に対する化学的耐久性試験方法」が2020年12月に発行されました。食器を日常的に使う立場からすると、どの食器が化学物質の溶出に対して安全かを判断するための参考になります。陶磁器の品質基準を知ることは、消費者として賢い選択につながります。


つまり、日本セラミックス協会は研究者だけの組織ではありません。陶磁器に少しでも興味があれば、無料のWEBコンテンツから活用できる情報源です。


日本セラミックス協会 セラミックス博物館「日本のやきもの」|陶磁器の科学的解説コンテンツを無料公開