酸化ストレス減らす食事|抗酸化物質の摂り方と効果

活性酸素が原因となる酸化ストレスは、老化や生活習慣病を引き起こす要因として注目されています。抗酸化物質を豊富に含む食事で体内の酸化ストレスを減らすことはできるのでしょうか?

酸化ストレス減らす食事の基本

酸化ストレスを軽減する食事の3つのポイント
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抗酸化物質を含む食品を積極的に摂取

緑黄色野菜、果物、ナッツ類など、ビタミンCやビタミンE、ポリフェノールを含む食品を毎日取り入れることで活性酸素を除去

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バランスの取れた栄養摂取

単一の栄養素ではなく、様々な抗酸化成分を組み合わせて摂取することで相乗効果を発揮し、酸化ストレスを効果的に軽減

継続的な摂取習慣の確立

ポリフェノールなどの抗酸化物質は体内で2〜3時間しか持続しないため、こまめに摂取することが重要

酸化ストレスの原因と活性酸素の発生メカニズム

 

酸化ストレスとは、体内で活性酸素の産生が抗酸化力を上回った状態を指します。活性酸素は呼吸による酸素消費に伴って発生するほか、炎症反応、放射線や紫外線、喫煙やアスベストなどの化学物質への曝露、激しい運動などにより発生します。

 

参考)https://www.jaica.com/guidance_oxidative_stress/index_pc.html

摂取した栄養素は体内で分解され、細胞内のミトコンドリアの酸化反応によりエネルギー源に変換されます。この過程で過剰に発生した活性酸素によって酸化ストレスは亢進し、DNAやタンパク質といった生体成分を酸化させてしまいます。生体内の主な活性酸素種発生源はミトコンドリアであり、ミトコンドリアは生体内の約95%の酸素を消費し、そのうち1〜3%が活性酸素種に変換されています。

 

参考)酸化ストレス

活性酸素は細胞を傷つけ、老化や癌、動脈硬化、その他多くの疾患をもたらす重要な原因となります。酸化ストレスの上昇は脂質過酸化、DNA変異、タンパク質の変性、酵素の失活といった分子レベルの生体酸化損傷を増加させ、様々な疾病や老化亢進につながると考えられています。

 

参考)http://www.kenkoukyouikusidousyakousyuukai.com/img/file191.pdf

酸化ストレス減らすビタミン類の効果と摂取方法

ビタミンCは抗酸化力が非常に強く、活性酸素から細胞を守ってくれる水溶性のビタミンです。強い抗酸化作用をもち、有害な活性酸素の働きを抑えて細胞の老化を防ぐことから、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中、がんなど酸化ストレスに由来する様々な疾患の予防効果が期待されています。

 

参考)ビタミンCとは?強い抗酸化作用で体を守る、老化予防と美肌のビ…

ビタミンCを多く含む食品には、アセロラ(酸味種で1700mg/100g、甘味種で800mg/100g)、青汁のケール(1100mg/100g)、パセリ(乾燥で820mg/100g)などがあります。果物では、アセロラが群を抜いて多く、グァバにも比較的多く含まれています。レモンやゆずなどの柑橘類、キウイなども含有量が多いため、積極的に取り入れてみましょう。野菜では、パプリカ(赤・黄)、ブロッコリー、赤ピーマンなどの緑黄色野菜に豊富に含まれています。

 

参考)体の酸化を防ぐ栄養素&食べ物!何に多く含まれる?

ビタミンEは抗酸化作用が強く、細胞膜のリン脂質の酸化を防ぎ、リン脂質が酸化してできる過酸化脂質の発生を抑えてくれます。ビタミンEは植物性油脂やナッツ類、かぼちゃなどに多く含まれます。ビタミンAやビタミンCと一緒に摂取することで、相乗効果も得られます。

 

参考)病気や老化の原因にもなる「酸化」を防ぐ、抗酸化とは? 症状・…

リボフラビン(ビタミンB2)、ビタミンE、ビタミンCは、欧州食品安全機関(EFSA)の科学的証拠に基づき、酸化ストレス予防に関与するビタミンとして認められています。これらのビタミンを含む食品を日々の食事に取り入れることで、体内の活性酸素を抑制し、肌の老化を防ぐことができます。

 

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10650406/

酸化ストレス減らすポリフェノールとカロテノイドの働き

ポリフェノールは活性酸素を無害化する作用があります。主なポリフェノールと含有食品には、カテキン(緑茶)、大豆サポニン(大豆、納豆、豆乳、おから)、クルクミン(ウコン茶、カレー粉)などがあります。ポリフェノールは水に溶けやすく、多量に摂取してもその効果は2〜3時間しか持続しないので、こまめに摂ることがおすすめです。

 

参考)https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/wakayama/kouhoushi/syoku/6.pdf

その他のポリフェノールには、アントシアニン(ブルーベリー)、ルチン(そば)、ケルセチン(玉ねぎ)、クロロゲン酸(コーヒー)、レスベラトロール(ブドウ)、ゴマリグナン(ごま)などがあります。緑茶にはポリフェノールが含まれており、その約8割をカテキンが占めています。カテキンは抗酸化作用が期待できる成分です。

 

参考)https://15e-organic.com/blogs/special-contents/cont-tips-23

カロテノイドは色素成分であり、強い抗酸化力を持つ栄養素です。主なカロテノイドには、β-カロテン(緑黄色野菜)、リコピン(トマト)、β-クリプトキサンチン(みかん)、ルテイン(ケール)、アスタキサンチン(鮭、エビ、カニ)などがあります。緑黄色野菜はカロテノイドの一種であるβ-カロテンを多く含んでおり、抗酸化作用が期待できます。

にんじんには、活性酸素の発生を抑えて取り除く働きがあるβカロテンを多く含んでいる緑黄色野菜です。カリウムや食物繊維も豊富でダイエット中の食材としても向いています。

 

参考)【管理栄養士が解説】体の酸化を防ぐ食べ物はどんなもの? 食品…

酸化ストレス減らす抗酸化食品の具体的な選び方

抗酸化食品とは、体内に生じた活性酸素を消去したり過酸化脂質の生成を抑制したりする酵素などを補強する物質を含む食品のことです。新鮮な緑黄色野菜、果物、海藻類、キノコ類、豆類、芋類、穀物、ゴマ、お茶などが該当します。

 

参考)酸化ストレス撃退大作戦 - 日本食糧新聞・電子版

緑黄色野菜にはビタミンCやビタミンE、ポリフェノール、カロテノイドが豊富に含まれています。とくに、緑黄色野菜はカロテノイドの一種であるβ-カロテンを多く含んでおり、抗酸化作用が期待できます。抗酸化物質を含む主なフルーツには、みかんなどの柑橘類、りんご、柿、ブドウ、キウイフルーツ、ブルーベリー、アサイーなどがあります。

抗酸化点ランキングは、食品がもつ活性酸素消去力を数値化したものです。野菜編では、パプリカ(赤・黄)、こごみ、赤ピーマンが500点を獲得しています。果物編では、アセロラ、グァバ、じゃばら、でこぽん、レモン、キウイフルーツ、パッションフルーツ、グレープフルーツなどが500点を獲得しており、野菜と果物の合計で1日1000点を目標に取ることが推奨されています。

ナッツ類や植物油にはビタミンEが多く含まれており、緑黄色野菜や魚介類にはカロテノイド類が含まれています。セレンは強力な抗酸化作用を持つミネラルで、細胞の酸化ストレスを軽減します。ブラジルナッツ、魚介類、肉類、卵などに含まれています。

 

参考)抗酸化治療

魚肉ペプチドに含まれるイソロイシルアルギニン、アルギニルイソロイシンの抗酸化力で、疲労感のもとである活性酸素を取り除き、健康な体づくりをサポートします。栄養バランスを整えたい方は、毎日の食事にプラスしてみてはいかがでしょうか。

 

参考)抗酸化作用とは?効果や予防が期待できるサプリメントと食べ物に…

酸化ストレス減らす食生活と生活習慣の改善ポイント

酸化ストレス対策には、抗酸化物質を含む食品を適度に摂取することが重要です。抗酸化作用を高めるには、バランスの取れた食事が基本となります。抗酸化栄養素を多く含む食材を意識的に取り入れることが大切です。緑黄色野菜や果物、ナッツ類、魚介類など、さまざまな食品を組み合わせて食べましょう。

 

参考)アンチエイジングに最強の食べ物は?抗酸化作用のある食品ランキ…

「腹八部」の小食を徹底することも大切です。慢性的な満腹は酸化的ストレスをつくります。よく噛んで食べることで、唾液が多く出て食べ物の中に混入している異物や毒を解毒します。また入ってきたものが胃で消化しやすくなり、小食でも満腹感を得られます。

糖化を防ぐために低GI食品を選び、血糖値の急上昇を避けることも重要です。低GI食品には、玄米、大豆製品、全粒粉パン、ナッツ類などがあります。急激な血糖値の上昇を抑える食べ方としては、野菜から先に食べる、よく噛むといった方法が推奨されています。過剰な砂糖摂取を避け、清涼飲料水やお菓子の摂取を控えることも効果的です。

 

参考)肌の酸化ストレスを軽減する食事

腸内環境を整える食事を意識することも酸化ストレス軽減に役立ちます。腸内環境の悪化は、炎症を引き起こし、肌荒れやくすみにつながります。腸内の善玉菌を増やし、腸内フローラを整えることが、美肌作りに重要です。おすすめの食品には、ヨーグルト、納豆、キムチ、味噌などの発酵食品、ごぼう、アボカド、海藻類などの食物繊維、バナナ、玉ねぎ、大豆などのオリゴ糖があります。

十分な睡眠、適度な運動、リラックスできる趣味など、ストレスを解消することも酸化ストレス対策に欠かせません。喫煙を避ける、紫外線の対策をする、適度な運動をする、環境汚染を避けるといった日常生活の対策を心がけましょう。抗酸化食品を含むバランスのいい食生活をし、週に3日、30分程度ランニングなどの有酸素運動を行い、そして精神的なストレスもためこまないように心がけると、酸化ストレスを効果的に軽減できます。

 

参考)夢ナビ講義

意識的に気分転換することも重要です。緊張したり強い怒りに襲われたりといった精神的なストレスでも、大変な活性酸素が出ます。現代社会はストレス社会だから、意識的に気分転換をすることはとても大切です。視覚、聴覚、嗅覚など五感をフルに使いましょう。

酸化ストレスと抗酸化のバランスについて詳しく解説している大塚製薬の公式ページ
抗酸化による老化防止の効果について詳しく説明している健康長寿ネットのページ

 

 


酸化ストレス・レドックスの生化学 (シリーズ・バイオサイエンスの新世紀 5)