リチウム電池には大きく分けて「リチウム電池(一次電池)」と「リチウムイオン電池(二次電池)」の2種類があります。一次電池は使い切りタイプで、一度放電すると再充電できません。これに対して二次電池のリチウムイオン電池は充電可能で、繰り返し使えるという大きな違いがあります。
参考)https://www.super-recycle.com/knowledge/181014/
リチウムは主に鉱山や塩湖から採取される貴重な資源です。世界では鉱石産とかん水産の2種類の生産方法があり、鉱石産はスポジュメン鉱石を含むペグマタイトを露天掘りで採掘し、選鉱・化学処理を経てリチウム精鉱を生成します。一方、かん水産は南米の塩湖から地下水を汲み上げ、大きな蒸発池で12~24ヶ月かけて濃縮し、炭酸リチウムを得る方法です。硬岩採掘は世界のリチウム供給量の約50%を占め、2019年時点で炭酸リチウム換算1トンあたり2,540ドルと、塩水採掘の5,580ドルを大幅に下回るコスト競争力を持っています。
参考)リチウム生産技術概略|JOGMEC金属資源情報
リチウムイオン電池はさらに正極材料によって複数の種類に分類されます。コバルト系はエネルギー密度が高く、スマートフォンなど携帯機器に使われています。三元系(ニッケルなど3つの金属元素を使用)もエネルギー密度が高く、ハイブリッド自動車や電気自動車などの車載用電池として採用されています。リン酸鉄系は熱暴走が起こりづらく安全性が高い一方、エネルギー密度は低いですが、安価でサイクル寿命が長いため蓄電システムやEVで採用が増えています。
参考)リチウムイオン電池の種類は?材料・形状の特徴と安全性・用途を…
リチウムイオン電池は充放電サイクルを繰り返すごとに、電池内部の部品が摩耗し劣化していきます。主な劣化原因として、化学反応による電解質の分解と固体電解質界面(SEI)層の形成があります。放電深度(DOD)、充電速度、サイクル頻度はすべて劣化速度を左右し、特に充電速度が速いとリチウムメッキが発生し、過充電や充電不足は電極にストレスを与えます。
参考)リチウム電池の経年劣化が性能と安全性に与える影響 — Lar…
高温や低温環境での使用も寿命を縮める大きな要因です。高温環境では充放電反応速度が上がりますが、電池内で副反応(電解液の分解など)が起こりやすくなり、電極表面の劣化を招きます。その結果、リチウムイオンの電極への吸蔵ー脱離反応が起こりにくくなり、容量損失や内部抵抗の増加につながります。経年劣化したリチウムイオン電池は内部抵抗が増加し、出力低下を引き起こします。
参考)リチウムイオン電池の寿命は?劣化する要因や長持ちさせるコツに…
満充電状態での長期保管も劣化を早める使い方の一つです。過充電や過放電は電極に大きなストレスを与え、電池の性能低下を加速させます。これらの要因が重なることで、バッテリーのエネルギー貯蔵能力が著しく低下し、動作中の電力低下や発熱、充放電サイクル中の電圧の変動といった症状が現れます。
リチウムイオン電池が膨張する主な原因は、異常発熱によるガスの発生です。スマートフォンの本体温度が35℃以上になると、バッテリー内部に可燃性ガスや有毒なガスが発生し、膨張を引き起こすことがあります。過充電や過放電といった電解液を劣化させる使い方も、膨張の原因となります。
参考)バッテリー膨張の原因は?2つの危険性と対処法を徹底解説!
外部からの衝撃も膨張の要因になります。圧迫する、高所から落とすなど外部から衝撃を加えることでガスが発生し膨張するケースもあり、衝撃により電池内部でショートが起きる危険性があります。内部の温度が急上昇すると発火・爆発も起こるため大変危険です。
参考)膨張したリチウムイオン電池の放置は危険!原因や安全な処分法を…
膨張したリチウムイオン電池には2つの重大な危険性があります。第一に、製品のバッテリー部分の蓋が閉まらなくなり機器の故障につながります。第二に、膨張によって内部の部品が破損すると、発火したり爆発の恐れがあります。充満するガスは可燃性のため、異常発熱やスパークによる発火の危険性があり、機器の利用中はもちろん、過度に膨張した電池は放置時にも発火・爆発の恐れがあるため注意が必要です。
膨張したバッテリーは、熱を持っている可能性があるため、金属製か陶器製の容器に入れ、不燃物の蓋をして密封するのが安全です。処分の際は、できるだけ衝撃を与えないように注意しながら、缶ケースなどに入れて、購入した店舗や専門の処理業者に連絡することが推奨されています。
参考)https://www.bluetti.jp/blogs/buying-guide/how-to-dispose-of-lithium-ion-batteries
リチウム電池(一次電池)は一般の不燃ごみと一緒に捨てることができますが、必ず+極と-極をセロハンテープやビニールテープで絶縁してから廃棄する必要があります。電池の端子は金属製であり、絶縁せずに廃棄すると他の金属と接触してショートを起こし、発熱・発火の恐れがあるためです。
参考)リチウム電池とは?安全な廃棄方法・捨て方やリチウムイオン電池…
リチウムイオン電池(二次電池)の廃棄方法は、リサイクルマークの有無によって異なります。リサイクルマークがある場合は、一般社団法人JBRC(Japan Portable Rechargeable Battery Recycling Center)による回収・リサイクルの対象となります。JBRC会員企業製であること、電池種類が明確であること、破損や水濡れ、膨張等の異常がないことが条件で、これらを満たす場合にJBRCによる回収対象となります。
廃棄の際には絶対に解体してはいけません。解体されたリチウムイオン電池は回収してもらえないからです。また、リチウムイオン電池を塩水につけるのは危険で、水と反応して発熱・発火するリスクがあるため、絶対に行わないでください。廃棄の際は端子部分を絶縁テープで覆い、正規の回収ルートを利用しましょう。
参考)リチウムイオン電池の廃棄方法は?電池種類別の捨て方と注意点を…
最も簡単な処分方法は、リサイクルBOXなどを設置している回収拠点に持ち込むことです。回収拠点は、一般社団法人JBRCのホームページから検索することができます。家電量販店やホームセンターなどJBRC協力店に設置された「小型充電式電池回収ボックス」に入れることが基本です。
参考)リチウムイオン電池 正しく安全な廃棄を
JBRCによる回収は、リサイクルマークがついたリチウムイオン電池等の小型充電式電池が対象で、ご家庭から排出されるものに限ります。2018年7月からは安全な回収のため、従来の段ボール箱回収から金属缶(リサイクルBOX缶・ペール缶)へ移行し、日本舶用品検定協会の認証も取得済みです。2018年度回収量実績は、9年ぶりに1,300トンを回復し、リチウムイオン電池(291トン)が増加傾向にあります。
参考)ごみから火災⁉ リチウムイオン電池等の正しい出し方
膨張・破損・変形等したリチウムイオン電池や、非純正品、JBRC会員企業製以外の小型充電式電池は、JBRC協力店で引き取ることができません。このような電池は市の清掃工場の窓口で引き取る自治体もあるため、お住まいの自治体に確認する必要があります。電池一体型の製品は、無理に分解せずにそのまま出してください。
参考)リチウムイオン電池の処分方法について|紀の川市
参考リンク(環境省によるリチウムイオン電池の正しい廃棄方法):
環境省 リチウムイオン電池関係
リチウムイオン電池は普通ごみとして廃棄し、ごみ収集車や処理施設で強い衝撃が加わったり、ほかの金属と接触してショートを起こしたりすると発熱・発火の恐れがあります。実際に全国で年間数百件もの火災が報告されており、現場で働く人々にとって深刻な問題になっています。一般ゴミやプラスチックゴミと一緒に捨ててしまうと、ゴミ収集車や処理施設で電池が発火し、火災などの事故につながる恐れがあります。
参考)4限目 リチウムイオン電池の安全な捨て方は?
自治体によってはリチウムイオン電池を「有害ごみ」(電池類)として廃棄することが定められています。誤った廃棄方法は、処理施設内で発火等の事故を引き起こすリスクがあるため、必ず「有害ごみ」として指定された場所・方法で廃棄する必要があります。リチウムイオン電池は、ごみ処理施設における「破砕処理」により押し潰された際に、ショート・発火し、周囲にあるプラスチックに着火してしまうことがあります。
参考)【注意】「リチウムイオン電池」内蔵製品の正しい廃棄方法につい…
不要になったリチウムイオン電池やリチウムイオン電池を使用している製品は、ご家庭から出る場合は、お住まいの市区町村のごみ捨てルールに従って、捨ててください。自治体での回収は、「自治体名+リチウムイオン電池+廃棄」と検索すると、情報を得ることができます。事業所や工場から出る場合は、分別して、処理が可能な産業廃棄物処理業者に委託してください。
参考)リチウムイオン電池関係
廃棄時の基本ルールとして、電池切れ(充電切れ)の状態で出し、濡らさず、電池の端子部分(金属部分)をむき出しにせずテープなどで絶縁してください。各ご家庭で保管中の電池の状態を定期的にチェックし、劣化、破損、膨らんでいる製品は、安全面に注意して扱うことが重要です。ハンディファン廃棄が増える11月は特に注意が必要で、モバイルバッテリーやスマホ、ワイヤレスイヤホンなどに搭載されているリチウムイオン電池を燃えるごみとして捨てることは大変危険です。
参考リンク(JBRC回収協力店検索):
一般社団法人JBRC 回収協力店・協力自治体検索

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